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note #1〈あの日の君に伝えたい言葉〉
僕が知っている君は、とても素敵な絵を描く、クリエイティブで芯の強いひと。そんな君に憧れを抱く側面は、何も一つや二つじゃない。けれど、君と友達になる前の僕は全く正反対なイメージを抱いていた。
中学・高校と同級生だった僕らは、恐らく一度も喋ったことがなかった。互いの存在は知っていたけれど、当時突きつけられている現実とそれぞれが必死に向き合っていた。
彼女の名前はミツ。目立つ方ではなく、自分から発信するタイプでもない。僕とは違う世界を生きているのだろうと思っていた。そんなミツは学校を休みがちだった。
「ミツちゃん、今日も休んでるみたい。」
そう誰かが話していたのを何度か聞いたことがある。僕はそういった、自分の中の偏見や固定観念を通して彼女を見ていた。だから“ミツ”という人間がどんな考えを持っているのか、その真実の素晴らしさを知ることができなかったのだ。
ミツと友達になったキッカケが何だったか。実のところ明確に覚えていない。大学在学中に抑鬱状態となり、1年間の休学期間を経て大学を卒業した僕は、定職にもありつけず人生を彷徨っていた。叶えたい夢や挑戦したいことはあっても、病の性質上、生きづらい日々に必死で喰らい付いていくのがやっとだった。〈生きる〉ことに前向きになれない僕に、当時の友達から
「ミツちゃんも、じあんと同じような状況で夢に向かって頑張ってるって聞いたよ。」
と教えてもらい、連絡先を教えてもらったか、会う機会を設けてもらって彼女との距離が急激に縮まったような気がする。
ミツはあっけらかんと不登校気味だった当時の状況を僕に話してくれた。
「学校行きたくなくて、部屋に閉じ籠ったの。」
僕の目は過去最大に大きく、満月よりもまんまるだったに違いない。驚いている僕を見て、ミツは
「ふふふ。」
と軽く微笑んだ。てっきり、何かに思い悩んだ末に学校に来られなくなってしまったのだろうとばかり思っていた。
ーこの子は何て強い子なんだ。
目立たず、自ら発信もしない、僕と違った世界を生きていた筈のミツは、自分のやりたいことに真っ直ぐで、その為ならば世界へ向けて発信してしまう程の芯を持ち、僕が生きたい世界を生きていた。
あの頃のミツに会えるなら、僕はこう言うだろう。
「なぁ、ミツ。君はどうしてそんなに強くなれるんだ?僕にも教えてくれよ。」
そんな僕に彼女はきっと
「ふふふ。」
とあの微笑みを返すに違いない。
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