カレシが結婚してるかも知れません5
三井さんとの不思議な関係
今日のLOVEランキング♡アキトくん
『DVD借りてウチで一緒に見ない?』
とのお誘いLINE。
相手は三井。
社長だけど年下だし仕事も請けていないからもはや呼び捨て。
日曜でお客様もすんなり帰り家でマッタリしていたアタシは、ちょっとメンドいなぁと思いながらOK。
相変わらずバルが忙しくて人と接することに疲れていた。そこに、
《 誰かの家でDVDを見る 》だ。
今どきネトフリとかあるのになんてアナログな。
でも、カレシいない歴の長いアタシにとって、それは郷愁を誘った。
高校生の頃、付き合ったばかりのカレシとまだ一緒にいたいのに
夕日と共に帰路につく甘酸っぱく懐かしい響きだった。
今じゃ朝日と共に帰路につくのだが。
あれ以来、アキトくんとのネタもなく連絡も途絶えがちになっていたから
三井の部屋で青春ごっこも悪くないと思った。
重い腰を上げて敢えて自分を鼓舞させるようにオシャレをした。
そして気分転換にチャリに乗った。
三井の家に行くのは、アキトくんと3年ぶりに再会した日以来だ。
あの日は色んなことがあった。
夏の終わり。
今日は夜風が心地よい。
夜空には星が瞬いている。
どんなDVDを観るのだろう。
風を感じながらなんだかウキウキしてきた。
そして三井の家に着いた。
先ずはお酒を飲みながら例の近況報告会。
報告することなんてないけども。
三井はいつも盛りだくさんで。
あろうことか、外注デザイナーのアキトくんと意見の食い違いでトラブってるとのこと。
はぁ~、いつもなにかしらトラブってるなぁ。
しかもあろうことかアキトくんとトラブルって。
重い。話が重いよ。
まぁ仕事をしていればいろいろある。
二人は仲良くてプライベートも共有しすぎてるだけに尚更だ。
そんな二人の共通の人物であるアタシに話すのは楽だろう。
でも、アタシとしてはどっちがどうとか正解とかわからない。
大人だし二人ならどちらからともなく和解するでしょ。
でも、なんかなぁ。
アキトくんはそんなこと微塵も見せないのに。
三井は若いのかな。
いずれにしても知り合いや友達とは仕事をしない方がイイ。うん。
と、愚痴を軽めに受け流しDVDを見始めた。
それがとてつもなくクソつまらない映画で。
あくびを咬み殺しながら、このチョイスをした三井を呪った。
「コレ内容が入ってこないんですけど」
面目なさげに三井が言ってきた。
「うん。だよねー」
クソつまらない意見が一致したことに安堵した。
そしてもう二度とあのシリーズは見まいと心に誓った。
朝方になり、三井はベッドへ。
アタシはそのままソファベッドで寝た。
「スバルちゃん、ベッドで寝た方が楽だよ」
「大丈夫」
「いいからおいで」
珍しく譲らない三井。
大の大人が朝方にどこで寝るかで押し問答をしているのもバカバカしいので、ため息をついてベッドに入った。
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