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今非昔比ーー新しき悪き時代?
(1216字・この記事を読む所要時間:約3分 ※1分あたり400字で計算)
【今非昔比】
ピンイン:jīn fēi xī bǐ
意味:今は昔の比でない、今は昔よりずっとすばらしいということ。
『新しき悪き時代?』
「やはり気に入らん」
最近、わが社の会長はちょっぴりご機嫌ななめである。
「仕事というのは、人と人との付き合い!会社に来て元気良く大きな声で挨拶して、顔を合わせてやるもんだろう!」
ぷりぷりしながら、会長は訴えるように私の顔を見て言った。
「全く!どこもかしこも『テレワーク』と......!」
2020年。
とあるウイルスの影響で、わが社も在宅勤務を余儀なくされ、今は職務上どうしても出社しなければならないメンバーを除き、ほとんどの人が家で仕事をしている。
それを会長は「けしからん」と言う。
「モーレツ社員」として、昭和時代を生き抜き戦ってきた70代の者にとって、会社にも出勤せず自宅で働くなんて怠けているようなものなのだ。
「でもまぁ、これも時代だよな」
ため息をつくと、会長は続けた。
「私が遅れているのだとは承知している。中々飲み込めないが、これも流れの一つだ」
さすがハイテク機器メーカーの会長。
悔しくても、何とかこれを受け入れようと、努力はしているようだ。
「まぁ、竹子のような若者にとってはこれらも違和感なく受け入れるだろうなーー」
「いえ、そうでもないですよ」
きりりと背筋を伸ばし、私は5G技術の発展についての調査資料を会長の前で開いた。
「こちらの記事ご覧くださいーー」
「5Gになると、通信ラグがなくなり、世界のどこにいてもまるでその場にいるようにテレビ会議が出来るそうです」
会長が真剣に資料を覗く。
「よって、今後はそもそも会社という建物、空間がなくなるのではという仮説まである程です。不動産屋はこれによって損害を被るとも言われています」
「ほぉ~......」
「更にこれを最新の投影技術と組み合わせれば、ボタン一つでリビングが瞬時オフィスに模様替えすることだって夢ではありません。
モニターには社員のアバターが映し出され、会議が始まる......これからはこういった働き方がますます普及すると思われます」
「ふぅ~っ」と深いため息。
椅子を後ろに引き、会長は天井を仰ぎながらつぶやいた。
「そうなっていくんだろうね、世の中は」
「はい。でも私はこれを読んで、非常に違和感を感じたんです」
返された資料をまとめつつ、私は続けた。
「いくら高精度な映像でも、生身の人間に代わることは出来ません。
便利だからといって何から何まで通信技術に頼ることなんていけないと思います」
「お前のような若者でもそう思うのか」
会長はややびっくりしているようだ。
「更にいつかは、いや数年後にもきっと私はこう言っていますよーー
『近頃の若者はけしからん。
私達の頃はインターネットに頼ることがあっても、それでも生身の人間とはしっかり向き合って付き合っていたものなんだ』と。」
「いやはや全く、お前の言う通りだ。社会の発展は速い」
会長は大きな口を開き、「呵々」と笑った。
「お前が『年寄り』となる日も、そう遠くはないだろうな」
📚私達の未来は、これからどうなっていくのだろう
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