「3分間」という7分の映画
「ラヴソング」(1997年製作)という大好きな映画がある。監督は陈可辛、ピーター・チャンとも呼ばれる。
ピーター・チャン監督はその後も何本も映画を撮ったけど、僕にとってはどれもイマイチな感じで、見ていない映画もあったりする。
2011年の「捜査官X 」という、なんともダサイ題名の映画はよく出来ていて、まだまだピーター・チャンやるな!、と思ったが、またそのまま忘れていた。
それが、最近中国のネットテレビで「陈可辛」という名前を見つけ、陈可辛がピーター・チャンだと思い出すのに時間がかかった。
調べてみたら日本のサイトにも出ていたのだけど、ピーター・チャン監督、iPhone Xだけを使って、この春節に、7分ほどの短編映画を作ったという。
タイトルは「三分钟(三分鐘、3分間)」
さっそく見る、短いので何回か見る、日本では考えられない設定の映画だ。
以下・ネタバレあり。
列車の車掌をしている母親がいる、ある駅で3分間の停車をする、その3分の間に離れて暮らしている子供に会う。
駅に着く列車、当然、母親には車掌としての仕事がある、降りる人の手助けをして、乗る人のチケットのチェックをする。
乗り降りの客がひと段落する、残りの時間は1分半ぐらいか、ここで母親は子供と出会い、抱き合う、子供は覚えたての九九(2×2=4...とか)を母親に聞かせたい・・・発車の時間が迫り、母親は列車に乗り込む・・・。
ある意味、感動の話だけど、仕事中にナニやってんだ、という気持ちもある、中国なら許されるだろうが、日本では受け入れられないだろう。
僕は感動より、{仕事中だろ!}というキモチになってしまった、冷たい人間と言われればそうだが、仕方ない。
これが許されるなら仕事中にスマフォを見るのもOKになってしまう、子供に会うなら良くて、不倫相手に会うなら? どうなんだ? やはり勤務中にすべき事ではないだろう。
日本なら炎上動画になりかねない要素を含んでいる。
あと、中国では(中国全土の事はわからないけど)基本、チケットが無いとホームに降りられないのに、子供がいる(付き添いの大人もいる)のも気になる。
中国では感動で泣いている人もいたらしい。が、僕は中国人の仕事に対する姿勢にいらだってしまった。
実話をもとにした話の映画化だという。
もうひとつ、すべてiPhone Xで撮影されたという件。もちろん、そう言っている以上、すべてiPhone Xなのだろう。
しかし、スタッフロールを見ればわかるとおり、おそらくピーター・チャン監督の映画スタッフがちゃんとついている、ネットテレビにはオマケでメイキングがついているのだが、軽いiPhoneを固定するアタッチメント、クレーンや、大型カメラも乗せられる三脚、小型のスタビライザー、何台ものiPhone・・・
そしてドローンによる空撮。
中国サイトにはデカイ望遠レンズをiPhoneにつけている写真もあった。
iPhoneXはカメラとしてもイイ物なのだろうけど、これ1台でキレイな映画が撮れると思わないほうがイイ。
7分の映画だが、撮影日数は3日だという。
ちゃんとしたレンズがあり、カメラマン、照明技師がいて、キレイな画が撮れる。撮影はiPhoneでも音までiPhoneで録った訳では無いだろう、ちゃんとした録音技師がついている。
確かに画はキレイだがiPhoneらしさが皆無の映画でもあった。
これならSDカードに録画出来るミラーレス一眼のほうが、レンズ交換もラク、映像の取り出しもラクでキレイさも大差ないだろう。
レンズを取り付けられない、本体にしか映像を入れられないiPhoneで撮影する利点が思いつかない。
百聞は一見にしかず・動画があった。
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