ロシア語一日一善(301)

レフ・トルストイ編著  八島雅彦訳注  東洋書店から


ロシア語一日一善(301)

Трусость - в том, чтобы знать, что должно делать, и не делать этого.

Конфуций


試訳
小心とは、しなければならないことを知っていながら、それをしないことである。
孔子

Трусость - в том とダッシュで結ばれているから、есть の省略で、「臆病とは〜にある」と訳せる。「臆病」が「〜の中に存在する」だから「〜の中にある性質を臆病とする」というふうにも取れる。A в том B という構文は、よくよく考えてみると、「Bという属性の中にAがある」だから、AとBはイコールではなくて、AはBに含まれている、と考えるといいのかもしれない。чтобы の説明に困るが、それに続く文が仮定であることを示している。「しなければならないことを知っていって、それをしない」ということは実際に起こっていることではなくて、あくまで話者の心の中の話。日本語に反映するならば「しなければならないことを知っていて、それをしないようなこと」のようになるが、「ような」はつけるとぼかした表現になってしまって、「他にもあるんだけどね」というニュアンスがついてしまう感じが付くので、個人的にはあまり使いたくない。

訳注によれば、『論語』為政第2・24に「義を見てせざるは、勇なきなり」という言葉があるそう。

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