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農薬のリスクについて考えよう~リスクゼロなんて無い?!~

みなさんは「がん」と聞いてどう思いますか?
怖い、死ぬかもしれない、などなど不安に感じるのではないでしょうか?
最近、農業に関する界隈では、「グリホサートに発がん性がある」など、農薬の健康リスクについての話題が絶えません。
そこで今回は、「リスク」について一緒に考えてみましょう。

申し遅れました、私は千葉で農業を営んでいるものです。
また工学修士であり、科学的なことに関しては多少レクチャーできると思います。

この記事を読むことで、「リスク」との付き合い方について理解を深めることができると思います。
では早速始めていきましょう。

リスクって何だ?

最初に・・・農薬の安全性についてはここで議論しないことにします。
農薬については、youtubeなどで多くの方が安全性について議論されていますので、そちらをご確認ください。ここでは、農薬に極小の健康リスクがあると仮定して話を進めていきます

リスクとは、簡単に言うと危険性のようなものでしょう。
例えば、投資には元本割れのリスクがあります。
近年、右肩上がりの米国株でも、最近はインフレ抑制の金利上昇などの影響で右肩下がりです。元本割れした人も多いことでしょう。

(;´・ω・)<投資するからだよ、貯金しておけば良かったのに

と思う方も居るかと思います。
しかし、貯金にもリスクがあるとご存知ですか?
限りなくゼロに近いですが、預金している銀行が破産して、あなたの貯金が引き出せなくなる、もしくは1000万円までしか引き出せない(ペイオフ)というパターンもあります。
これは紛れもないリスクですよね?ちょっと屁理屈っぽいけど。

このように、大きさが違うだけで、どんな行動にもリスクは付きまといます。「どんなことにも」です。

(;´・ω・)<いやいや、家で引きこもってたらリスク無いでしょ?

と思うかもしれませんが、家に引きこもっていても死んでしまう可能性があります。

2021年10月、カナダにルース・ハミルトンさんという方が住んでいましたが、就寝中の顔のすぐ横に隕石が落下しました。もう少しズレていたら…とんでもない結果になっていたことでしょう。

何度も屁理屈っぽいことを言ってしまいますが、ご理解頂きたいのはあなたの行動にはどんなことにも多かれ少なかれリスクが伴うということです。
極端な話、リスクゼロという状態は無いのです。

リスク許容とは?

例えば車を運転したことはありますか?
車は便利ですが、一歩間違えれば悲惨な事故を起こします。
平成30年のデータになりますが、この年の交通事故件数は約43万件、その事故で3532人の尊い命が犠牲になりました。全てが自家用車による事故ではありませんが、あなたがハンドル操作を間違えたら、誰かを傷つけ、最悪の場合、命を奪ってしまう可能性があります。

こんなリスキーな乗り物になぜ乗るのですか?

それは、リスクを上回るリターンがあるからではありませんか?
例えば、車を使えば職場に楽に通勤できます。
買い物も楽になるでしょう。誰かと一緒に食事に行くのも簡単になります。

また、リスクは行動によって最小限に抑えることができますよね?

例えば、制限速度40キロの道路を80キロで走るのはどうですか?
明らかに危険…というか道路交通法違反ですよね。
ちゃんと制限速度を守って走れば安全と言えるでしょう。
法律を守り、安全に注意すれば滅多に事故は起きません。
最近は安全支援システムも拡充してますからね。

このように、リスクはあれど、法律を守り、安全に注意することでリスクを最小限に抑え、車によって得られるリターンを最大限得ることができます。

意外かもしれませんが、あなたも気づかぬうちに、安全運転をすることで、車を使う利益を得ているんです。リスクを受け入れて生活しているんです。

こういうのをリスク許容…なんて表現したりします。
(本来リスク許容は投資に関する言葉なのですが)

農薬のリスク許容

ちょっと農薬についても考えてみませんか?
車と同じ考え方で良いんです。

農薬のリスク
毒性(色々あると思いますが、この点に尽きるかと)

農薬のリターン
生産性の向上
(安価で栽培できる・流通量も安定する)

こんな感じですね。確かに農薬には毒性がありますが、スーパーなどで安価で新鮮な野菜を安定して購入できるのは農薬のおかげとも言えます。
では、リスク(毒性)を抑えるための施策はあるでしょうか?

リスクを抑える施策
残留農薬の設定
(基本的に100人前食べても無毒性量になっている)
農薬取締法
(登録されていない農薬は農場に使えない、違反したら懲役3年以下or罰金100万円以下)

一例として、こんなのがあります。
私は千葉で大根・トマト・キャベツ・ほうれん草を栽培しています。
もちろん自分の生活がかかっているんだから、キッチリ使用方法を守って農薬を使っていますよ?

こう見ると、健康リスクは抑えられて、野菜が安定して市場に流通するリターンを得られていると考えられませんか?

リスク許容度は人によって違う

さいごに、リスク許容度について説明しましょう。
次のゲームをすると考えてみて下さい。

あなたは1000円貰える。
だけど、この1000円を払って1回だけコイントスできる。
コイントスで表が出れば3000円、裏が出れば0円になる。

さて、あなたはどうしますか?
確実に1000円貰いますか?もしくはギャンブルしてみますか?
期待値的にはコイントスした方がお得かもしれません。
人によってこのゲーム(1000円を失うリスク)の捉え方が違うと思います。

また、次のゲームについても考えてみて下さい。

あなたは1億円貰える。
だけど、この1億円を払って1回だけコイントスできる。
コイントスで表が出れば3億円、裏が出れば0円になる。

このパターンはどうですか?
おそらく、先ほどのパターンよりも1億確実に貰う人が増えるのではないでしょうか?

このように、考え方や状況に応じて、その人がリスクをどう捉えるかは違います。なので、いくら農薬が安全に設計されているとはいえ、そのリスクを許容できない人もいます。
そういう方は有機栽培や特別栽培の作物を選べば良いのです。
大事なのは、リスクの捉え方や考え方を強要してはいけないのです。
その人なりの考え方がありますからね。

まとめ

この記事で伝えたいのは・・・

  1. リスクゼロという状態は無い

  2. リスクは怖いけど、リターンについても考えないといけない

  3. 人によってリスクの捉え方は違うので、考え方を強要してはいけない

こんな感じです。どうですか?
農薬に関する見方は変わりましたか?
もしくは最近流行りの注射に関する見方も変わりましたか?

この記事が皆様のお役に立てれば幸栄です。

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