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⑤滋賀県はとばっちりでDVシェルターの場所を暴露された

嘉田由紀子議員の問題発言の中核部分については、こちらで触れました。

ここでは、問題部分の少し前から、どういった文脈でその発言に至ったかを検証してみます。
発言書き起こしは、ありしんさんのnoteを引用します。

(嘉田由紀子)
いま、弁護士が連れ去りビジネス、養育費ビジネスをやるわけでしょ?
その弁護士たちに「共同養育計画を作ったらお金が出ますよ」というような弁護士費用なんていうのも税金から払っていくと弁護士にも収入になるし、それからサポートしてもらう方も出口で見えてくる。法テラスとかその辺のところで。

ありしん@共同親権反対です

一見「連れ去り弁護士」を批判しているようで、共同親権を推している「共同養育計画」を作る弁護士も批判している、というおかしな事になっています。まるで弁護士が離婚事案に関わること自体(しかも法テラス案件をも)を批判したいかのようです。


(嘉田由紀子)
単独親権のほうがいいと思う人?
DVのときに逃げられる。それが今一番強いです。逆に、共同親権になるとDVから逃げられない。それで、共同親権になると、夫と妻が仲悪いときに子どものことを決められない。病気になったらどうするとか、学校をどうするとか。決められないから結局、子どもにとって不利益になるから共同親権はダメと。それからDVで逃げられないから共同親権はダメ。この2つが一番大きいですね、共同親権反対派の言い分は。

ありしん@共同親権反対です

・DVから逃げられない
・重要事項が決められない
その2点から共同親権に反対している、と認識はされていますね。

(嘉田由紀子)
そうです。はい、DVは日本だけがDVあるんじゃなくて(笑)。他の海外もDVあるんですよ。
DVがあるから共同親権にしないっていうところはほとんどないです。だから今、日本はとっても「DVがあるからできない」という人たちの声がとっても大きいんです。

(笑)によく嘉田氏の態度が表れていると思います。
諸外国のDV対策の在り方との比較は全くせずに、離婚後の子の監護養育の制度だけ、変えていこうとしている様です。
そして日本のDV被害者・支援者の声を「大きいもの」として捉えているのです。
(注:共同親権廃案を求める声が増えてきた現在の話ではありません。2年前、2021年の発言です。)

(嘉田由紀子)
それが男女共同参画センターを母体にして、さっきKさん(注:イニシャルにしました)が男女共同参画センターはどっちかっていうと離婚させたがっている。
シェルターネットってご存知ですか? シェルターネット。
あの、御前崎にはない? DVとか受けたときに逃げ込むシェルターネット、シェルターという。逃げ込むところの母体、拠点が全国にネットワークを作ったんです。150カ所くらいあるんです、民間で。

ここは問題発言の直前の部分です。
冒頭の弁護士同様、ここではDV支援者への嫌悪感が見て取れます。
この話題に入るきっかけが、Kさん(男性)が「男女共同参画センターにDVを受けていることを相談した」との話でした。
その男女共同参画センターに対してすら、「離婚させたがっている」というのが嘉田氏の評価です。

それから、唐突に「シェルターネット」が出てきます。これは「全国女性シェルターネット」を指すでしょう。嘉田氏も言うように、民間のネットワークです。


それから、滋賀県だったら、あの、ある意味で隠してあるんですけど(苦笑)、女性が逃げ込むところのアパートみたいのを。×××にあります、滋賀は。
Kさん、その辺ご存知ですか?シェルターのこと?
(注:所在地がわかってしまうため、ここでは×××と伏字にしました)

(嘉田由紀子)
シェルターがあるんです。これは県が運営しているんですけど。

嘉田氏はそれまで「民間」のシェルターネットの事を話していたのに、
なんと驚く事に「滋賀県が運営しているDVシェルターの場所についての情報」を話してしまったのです。

滋賀県は本当に迷惑なとばっちりを受けた形になります。

(嘉田由紀子)
女性しか入れないんです。すごいだからあの(笑)。でも、シェルターに入れてくれって言ったのは、シェルターの存在はご存知だった?

(嘉田由紀子)
DVは男性が加害で、被害は女性って思いこまれているんです。で、それを思いこませようという社会的勢力があります。でも、夫側はDVされているって、まあ、ある意味で言いにくいので。実際はもっと、私はもう半々くらいあるんじゃないかと想像するんですけど、みなさんどう思います?

嘉田氏は、話の流れに全く必要のない「滋賀県が運営しているDVシェルターの場所を暴露した」のです。

そしてこの文脈を通して見るに、嘉田氏はシェルターネットに対して嫌悪感を持ち、そして女性支援を強烈に蔑視しているように伺えます。

つい最近知ったのですが、この翌年2022年に可決された困難女性支援法に、嘉田由紀子議員は反対したとのこと。その一貫した姿勢を、私は恐ろしく感じます。


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