なりたいもの①

どんな脈略があったかは覚えていないが(というよりなかったのかもしれない)

「外界からの刺激が何もない、ただ朝と夜が訪れる部屋に入った人間を観察してみたいよね。もちろん食事とか生命維持に必要なものはついてるよ。ダメかな?」

バイト終わりの休憩室で、話していた。

世間の良識とか常識みたいなことをふまえると、前出の質問の答えは「ダメ。」なのだが、彼はとても優秀な科学者(と私は思っている)なので、その好奇心に応えたかった。
それに私はグータラな人間なので、特段不便に感じることもないと思う。

「いいですね、その部屋の住人になってみたいです。」
「ええ、俺は絶対嫌だけどね。」

私がなにも生み出さず、暑さを睨みつけながら過ぎた今日も
彼が見れば、何か素晴らしい発見があるのだろうか。



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