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2024年5月から7月上旬までに読んだ65冊からおすすめを紹介

昨年までの3年間は、1年に500冊本を読んでいた医師です(雑誌、マンガをのぞく)。
今年は読書の時間を減らして語学学習にあてますが
5月から7月上旬の間に読んだ本が65冊あり、その中からおすすめを紹介します。
最後の2冊は洋書(英語)です。

前回の「1月から4月までに読んだ156冊からのおすすめ」はこちら。


「八ヶ岳南麓から」 上野千鶴子


東大名誉教授の上野先生、初のエッセイだそうです。
この本の何が良かったって、田舎ぐらしの「虫」情報が書かれていること。
八ヶ岳だけでなく、私が今後旅行する予定の外国についても「どんな虫がいて、どう困ったか」という情報が、有益すぎました。
上野先生は著書でプライベートを赤裸々に書かれている印象があり、
これが初のエッセイとは少し意外でした。
週刊誌で話題になった男性との関係も書かれています。


「結婚しても一人」 下重暁子


テレビをほとんど見ないので、アナウンサーでいらした著者のことも
存じ上げませんでした。
自立した考えが素敵です。
プロフィールを見るとなんと御年87歳!
依存しあう夫婦が苦手なので、共感しまくりでした。

「心の病気はどう治す?」 佐藤光展


精神医学の問題点がよくわかります。
また、自殺を考えている友人がいたらどうしたらいいか?など
非常に有益な内容です。
医師の私も勉強になりました。

「ソニー再生 変革を成し遂げた異端のリーダーシップ」 平井一夫


ソニー製品のデザインが好きで、若かりし頃はSONYのデジカメやMDウォークマンを愛用していました。
社長の仕事がどういうものかを垣間見ることができ、改めて仕事って面白いなと思わせてくれました。
平井一夫さんは帰国子女で英語が話せ、背が高いようで白人と一緒の写真でも体格がいいのがわかります。そういうところもグローバル企業の社長に向いていると感じました。
老害たちが口出ししてくるのをキッパリ無視したところは痛快です。

「統合失調症の一族 遺伝か、環境か」ロバート・コルカー


12人の子供たちのうち6人が統合失調症になったという
衝撃の家族について取材されています。
統合失調症だけでなく、きょうだい間での暴力や性暴力など
「親、何やってんだよ!止めろよ!」と思わずにいられませんが
そこを放置する親だから、ワンオペ育児なのに、
医者が止めるのも聞かずに12人も子どもを作ったのでしょうか。

「中学受験生を見守る最強メンタル!」おおたとしまさ


中学受験の本はたくさん(40冊くらい?)読みましたが
おおたとしまささんの本が一番おすすめです。
この本は実際の親からの悩みにおおたさんが答えます。
私はひとり親なので、「結婚している人は中学受験も夫婦で相談&分担しながらサポートできていいなあ」と思っていましたが、そうでもない夫婦もいるようです(夫婦で相談して解決できるなら他人に相談しないか)。
『子育てって「答え」じゃなくて、「問い」を持ち続けなきゃいけないの。』
という一文が響きました。

「なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか」ジョナサン・マレシック


著者自身もバーンアウトを経験しており、執筆のきっかけになったそうです。
私のような医療従事者には燃え尽き症候群が多いといわれており、
自分にも当てはまると感じた部分がありました。
燃え尽き症候群の「なぜ」だけでなく「どうしたらいいか」についても言及されています。

「鴻上尚史のおっとこどっこい ほがらか人生相談」鴻上尚史


演出家の鴻上尚史さんが答えた人生相談の連載をまとめた本です。
これは人生相談シリーズの4冊めです。
たとえ自分にはない悩みであっても、鴻上さんの回答は思いやりにあふれ、
読みながら涙しそうになります。
鴻上尚史さんの本のすごいところは、日本社会の問題点をクリアに言語化しているところだと思います。

「大学教授こそこそ日記」多井学



三五館シンシャのお仕事シリーズは
自分が「しなかったし、これからもしないであろう仕事」の実際が
よくわかるので何冊も読んでいます。
ディズニーキャスト、交通誘導員、ケアマネジャー、マンション管理人など。

「令和元年の人生ゲーム」 麻布競馬場


意識高い若者と、意識低い若者が出てきます。
私も東京に住み、同じ時代を生きているのですが
職業柄「ふつうの就活」をしていないため
非常に新鮮でした。

「中国人が日本を買う理由」 中島恵


コロナ禍以降、都心ではさらに中国人が増えました。
私も「3S1Kのチャイナタウン化」についてnote記事にしています。
この本は豊富な中国人へのインタビューから、
現代の中国そして中国人への理解が深まります。

「半暮刻」 月村了衛


2人の対照的な青年が主人公です。
うち1人は、東京に裕福な実家があって私立大学に行かせてもらい、
顔も頭もよく、先輩に取り入るのも上手いしモテます。
こんなに恵まれているのに、人を人とも思わない。
恐ろしいですが実際にこういう人を知っています。
いくつかの実際の事件がモチーフになっており、
被害者のこれからを知っている身としては
読みながら胸が痛みました。

「燕は戻ってこない」 桐野夏生


代理母出産をする女性が主人公。
田舎から都会に脱出した若い女性なら
「あるある!」と共感すること必至のエピソードが描写されています。
中高生が亡くなる痛ましい事件で話題の北海道旭川市なども
こんな感じなのかなと想像します。
主人公の行動・決断には共感はしませんが
最後の最後までどうなるのかわからず夢中で読みました。

「トヨトミの世襲」 梶山三郎


トヨタ自動車をモデルにした小説で、非常にリアリティがあります。
フィクション「とは」…。
トヨトミという巨大企業を通して現代社会がみえてきます。
たまたま堀江貴文さんのvoicyを聞いたらおすすめされていて、
読んでみたら本当に面白かったシリーズです。

'Project Hail Mary'  Andy Weir


「プロジェクト・ヘイル・メアリー」という日本語訳も出ています。
が、可能であれば英語の原書で読むことをおすすめします。

宇宙飛行士になった主人公が、地球外生命体と交流するシーンがあるのですが、地球外生命体がつたない英語でコミュニケーションをとるところが
なんとも愛らしい!のです

(映画『アバター』でナヴィと仲良くなるような、
最初は不気味だと思った相手に次第に愛着がわく感じ)。

物理や化学の知識があるに越したことはないですが、なくても楽しめると思います。
主人公はアメリカ人で同僚クルーは中国人とロシア人。こういう多様性も好きです。天照大神が出てくるなんて日本のこともよく勉強されていますね!

なお、読む前に、映画「ロッキー」を観ておく&
ビートルズのメンバーを知っておくと、より楽しめます。

'Listen to Me' Tess Gerritsen


シリーズもので、ボストン市警のリゾーリ刑事と法医学者のアイルス医師
2人が主人公です。これは13冊のうち13冊め、2022年の出版です。

私には「睡眠時間を削ってでも続きが気になるので読むのをやめられない」本の著者がおり、宮部みゆきさん、東野圭吾さん、そしてこのTess Gerritsenさんです。
章の最後の一文が「続きがどうなるのか気になりすぎる!!」ので、
続きを読まざるをえません。

このシリーズも日本語訳があり、ドラマ化もされていますが、司法解剖のシーンに医学用語がでてくる以外はそれほど難しい英語ではないので、原書をおすすめします。
犯人は誰?なミステリー要素以外に、人間ドラマも読ませます。

ちなみにアイルス先生の愛車はレクサスです。


※前回のように4カ月分で1つの記事にすると紹介したい本が多すぎるので
今回は2か月半でまとめました。

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