”同じクラブを応援する仲間だから仲良くできるはず”は、もしかしたら考える手順が逆なんじゃないか?という話
どうも、ゼロファジです。
サッカーの楽しみ方っていろいろあるじゃないですか。スタジアムで声を出して飛び跳ねる”声だしサポ”とか、選手の姿を写真におさめることが好きなサポとか。あるいは自分みたいに試合のレビューを書くのが好きなブロガーとか。それぞれに同好の士がいて、同じ関わり方をするひとたちで交流していたりね。サッカーというくくりの中で、さらに好みや関心領域によっていくつかの緩やかなグループに分かれるというか、そういうイメージを持っています。
ひとくちに〇〇サポーターと言ってみても、実際はサッカーとの関わり方、スタンスにおいてかなり違った立場をとる人がいるんですよね。で、なんかの拍子にそういう違いが摩擦を起こしてモメる、みたいなことが起こります。そういうときに、よく、”同じクラブを応援する仲間だから仲良くできるはず”という言葉を耳にすることがあります。
内部でイザコザはあるけれど、そもそもみんな「同じクラブを応援する」というスタンスを共有しているじゃないかと。みんな同じなんだから仲良できるはずじゃないか?という。
この言葉を単純に言うと、
みんないっしょ。だから、仲良くできるでしょう?
ってことじゃないですか。
実は最近、この考え方はもしかしたら手順が逆さまなんじゃないか?と思うようになりました。
イングループバイアス、という言葉があるそうです。これは、自分の所属しない集団(アウトグループ)よりも、自分が所属する集団(イングループ)の方に好意的に協力的に行動する傾向のことらしいです。ようするに身内びいきの心理ってことですね。
たとえば自分だと戦術分析系ブロガーというタイプなので、同じように試合を観察したりレビューを書いたりしている人たちを勝手に仲間だと感じています。その反面、声出しサポーターのように現場で体を張って応援する世界はあまり知らない世界なので、縁遠いものを感じています。もし、この両者のうちどちらか一人を飲みにさそわなければならないという条件があったとしたらどうか?そりゃ、やっぱり前者を選んでしまうでしょう。
冒頭で述べたようにひとくちに同じクラブのサポーターと言っても、タイプ、好み、関心領域などなど、条件によって緩やかなグループが無数に存在しています。そして、そのグループのメンバーにもイングループバイアスは作用していることでしょう。つまり、それぞれのグループのメンバーには同じグループを身内びいきしていく力が働きます。そうすると、自然とグループ内の結束が高まりやすくなっていくんですね。
一方そのグループの外にある他所のグループ(アウトグループ)は、自分のグループよりもなじみが薄く、よく知らない、自分とは違う人たちの世界が広がっています。そしてグループの境界を越えて中に入ってみないことには、その世界に触れることはないでしょう。触れてみないことにはその良さや楽しさは理解しようがありません。ついつい、自分とは違う楽しみ方をしている人を見て「あんなのやってて何が楽しいんだろう?」と考える人もいますが、それはまさにイングループバイアスがマシマシ状態にあると言ってもいいかもしれません。
スタジアムに集まっているサポーターは同じクラブを応援する仲間。これに間違いはありません。しかしながら、中身をよくよく考えてみると、カラーの異なるグループが無数にあって、それが一つ所に集結することでモザイクのようにして出来上がっているのがスタジアムの姿なのだと言っていいでしょう。
ですから、自分の考えとしては、
みんな違う。だから、仲よくしよう?
と考えていくのがいいんじゃないかなと。
つまり、最初から「みんないっしょだから」と考えるのではなくて、「みんな違うのだから」をスタート地点にしてみない?ということですね。そんなスタジアムになっていったらいいなと思っています。
・この記事を書くきっかけとなった本
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