見出し画像

J2第3節 栃木vs岡山 ゼロ式【図解】レビュー

どうも、ゼロファジ(@Zerofagi)です。


全文無料で公開しています。記事の内容がよかったら投げ銭、RTやいいね、スキをいただけたらうれしいです。また感想を引用RTいただけますとすべて目を通してこちらからRTさせていただきます!どうぞよろしくお願いいたします。

甲府、徳島に1勝1分けで勝点4。2位で迎えた今季初アウェイは栃木の地。昨季まで栃木でキャプテンを務めていたCB柳にとっては早々の古巣対戦となった試合でした。時崎監督に交代し、フォーメーションもスタイルも変わりつつある栃木に対しどのようなサッカーができるか?注目の試合でした。

写真提供:AKティガ(@kimukimufagiku)

2022 J2 第2節
3/5 14:00K.O. @カンセキスタジアム

栃木SC 0-1 ファジアーノ岡山

48分バイス

こちらの記事はDAZNの中継の試合時間を付記してあります。該当する時間のシーンをDAZNで見ていただくと楽しさがよりアップしますのでお時間ある方はぜひそのようにお楽しみください。


前半の流れ


後方からボールを動かす岡山と、セットして構える栃木という構図で進んだ前半。序盤にうまくスペースを活用しチャンスをつかんだ岡山が攻勢をつよめるも得点には至らず。一方の栃木も4141でセットする岡山の守備を攻略する糸口をつかめず一進一退。どちらかというと穏やかな前半となった。

0.両チームのスタメンとフォーメーション

433vs3421

栃木は3421、岡山は433。岡山にとっては甲府戦以来の3421との対戦になりました。一応かみ合わせをチェックしておきましょうか。

甲府戦のときはシャドーをMFとしてみた場合の話をしましたが、栃木のシャドーをFWとしてみた場合はこのようにこちらのDF4人に対して栃木の3トップがマッチアップすることになります。中央のエリアでは栃木のダブルボランチに対し、こちらは3枚なので優位。とくにアンカーの本山は浮いてきやすい特徴があります。しかし、栃木のWBは誰が見るのか?処理が難しいなという感じになります。

1.栃木の守備の配置と考え方をみる


この試合の前半では主に岡山がボールを持ち、栃木が523でセットして守るというシチュエーションが多かったので栃木がどのように守備をしていたのか?を見ていきましょう。

523でセットする栃木

栃木は523の形で守備をセットします。ここから、栃木のどの選手が岡山のどの選手を担当しているのか?マッチアップを確認してみると、

MF、FWをロックする栃木

このようになります。岡山のFWにはCBが。インサイドハーフにはダブルボランチが監視することになっており、岡山の中盤より前はロックされていることがわかります。一方で柔軟な対応を求められるのが栃木の3トップとWBの5枚のところ。

アンカーを消す栃木

まず、重要なポイントは岡山の”浮いてくるはずの”アンカー本山に対して、栃木のFW小堀あるいは両シャドーのどっちかが状況に合わせて監視することで、CB→アンカーへのパスコースを遮断します。

さらにCBがボールを持ったらシャドーかFWがプレッシングに出て、SBに対してはWBが足をのばしてマークにつく。基本的にはこのようにして岡山の前進をストップする。そういう狙いがうかがえる栃木の守備でした。

2.栃木の守備をどう攻める?岡山の攻撃をチェックする


では、一方の岡山はどのように栃木の守備を攻略しようとしていたのか?をチェックしていきましょう。とくに、前半2分のシーンには学ぶべきポイントがいくつかありますのでしっかりチェックしていきたいところです。

DAZN見直しポイント 前半2:14 バイスのボール

アンカーにボールは持たせない栃木。このシーンで本山は栃木の森ー小堀の間に立ちます。このように選手と選手の間に立つことを”中間ポジション”に立つというのですが、これにより誰が本山をケアするのか?判断があやふやになります。そしてさらに右シャドーの森が徳元を見ることができなくなったため、フリーでボールをうけることができました。

岡山のSBに対して主にWBを張り出してマークするのが栃木のやり方でしたが、このシーンではそうできなかったので徳元がフリーになりました。では、栃木のWBには何が起こっていたのか?

チアゴのピン留め

岡山のSBにはWBをぶつけるのが栃木の守り方でしたが、このシーンでは距離的にもタイミング的にも合わない状況でした。さらに、WBがSB徳元に飛び出せなかったもうひとつの理由がチアゴのピン留めです。

ピン留めとは、自分を相手にマークさせてその場に足止めさせることを言います。この場合だと、本来、FWであるチアゴを担当するのは右CBの鈴木の役割でした。ところが、チアゴがタッチライン際にポジションを移したために鈴木は右WBの大島にマークを委ねます。すると、チアゴを見なければならない大島はその場で足止めされることとなり、SB徳元にプレッシャーをかけに出ることを規制されてしまっていたわけです。(ちなみに、ボールを受ける前の徳元の視線を見てみてください。チアゴがピン留めしてWBが出てこれないことを確認していることがわかります)

栃木の第一プレッシャーのラインを突破

こうしてフリーになった徳元は今度はインサイドの本山にパス。またしても本山がフリーでボールを受けました。先述の通り、マークがあやふやになった分本山が自由を得たわけですね。このように、相手の守備の最初のプレッシャーをかいくぐって中盤で前を向けているシーンを見つけたら「よしっ!」と思いましょう。組み立てがうまくいっている場合が多いからです。

その後は右サイドにボールを流し、サイドの奥から宮崎幾笑の折り返しをデュークが落とし本山のミドルシュート。という流れになりました。

次に取り上げたい岡山の攻撃は、デュークのポストプレーを使った組み立てです。これは前半何度か繰り返されたシーンでしたので、岡山として狙っていた形だったのだろうと推測できます。

DAZN見直しポイント 前半14:40 バイスのボール

降りてくるデューク

バイスからロングボールをデュークの頭へ。デュークはきれいにサイドへ流し込み、デュークが競り勝つことを信じて走っていた田中雄大が抜け出すというシーンです。さきほども述べた通り、前向きにプレーできる選手をなるべく相手ゴールの近いところで作り出すことが大切です。このシーンはとてもうまくいってますよね。

栃木のダブルボランチの周辺にデュークが落ちてきて、ボールをはたいて前進していくというパターンはこの前半で何度か繰り返された形でした。栃木のグティエレスに阻まれるシーンもありましたが、全体的にデュークの勝率は高く、攻撃の手としては有効に機能していたと思います。

3.前半の岡山の攻撃の印象について


まとめておくと、まず何が何でもショートパスで組み立てて崩すんや!という考えはあまり持っていないことがわかりました。デュークの力もありますしバイスや柳といったロングフィードに強みのある選手もいるので、長短織り交ぜて前進していくぞ!ということなのでしょう。

またセットプレーが脅威であることは再確認できました。ボックス内で先に触る率も高いですし、デューク・バイス・柳とポイントが多いのでマークも分散します。ただ、キックの質にバラつきがあるのでこのあたりがバシッとあってくるとFK,CKからの得点もさらに増えてくるんじゃなかろーか?と思います。

後半の流れ

後半開始早々チアゴ・アウベスが獲得したFKをヨルディ・バイスが見事に決め岡山が先制する。栃木は2枚代えで3421から4231へとシフト。ライン間を攻略され守りに回るシーンが増えるも、大きなピンチには至らず。岡山がクリーンシートで勝利した。

4.試合を決めたかった2つの決定機


バイスの見事な直接FKで先制することに成功した岡山はなおも勢いに乗って栃木ゴールに迫ります。

DAZN見直しポイント 後半56:31 柳→河野のシーン

さきほどの徳元がフリーになったパターンと同様に、こちらのシーンでも右SB河野がフリーになっています。SBにはWBをぶつけるのが栃木のやり方なので、河野には左WB谷内田が寄せに出る。

3421の泣き所に落ちるデューク

するとやはりボランチの脇のスペースへ落ちてきたデュークへパスが通り、グティエレスを個の力ねじ伏せ、右サイドの奥へ宮崎幾笑を走らせるパスを送る。

宮崎幾笑は得意の左足にもちかえることなくスピードに乗ったまま右足でクロスをあげる。すると、ボックスに入ってきた田中雄大にドンピシャ。残念ながらヘッドはGK真正面をつき追加点はなりませんでした。

栃木はこの後選手交代を行って4バックに移行するのですが、ピッチ上の選手たちもどういう立ち位置にするのか把握できていなかったようで、両者とも立ち位置の整理に時間がかかります。なお、さらなる2枚代えで矢野貴章と瀬沼が投入されると明確に4231の立ち位置をとることになりました。

DAZN見直しポイント 後半66:37 グティエレス→山本のシーン

2つ目の決定機は前プレからのショートカウンターでした。栃木は4バックに形を変えており、CBのグティエレスからボランチの山本へとボールが渡ります。そこに岡山のプレッシングが襲い掛かる。

近場のパスコースはロックされている

挟みこむようにしてボールを奪った岡山は田中→デュークでショートカウンターへ移行。

デュークのクロスにチアゴがダイレクトで合わせるも、惜しくもポストを叩く。これもビッグチャンスでした。このうちどちらかが決まっていればかなり楽になる展開だったので、徳島戦につづき追加点を奪うことについては課題がのこる試合だったなと思います。


5.俺の瀬沼と矢野貴章で4231へ移行する栃木


後半の70分を過ぎたところで栃木が再び動きます。”俺の瀬沼”こと瀬沼優司選手と矢野貴章選手を投入。185㎝、187㎝という長身FWをタテ関係にならべます。ちなみに、瀬沼選手は昔から大好きな選手。一度でいいから岡山に来てほしかった・・・清水時代に一目ぼれしてそれ以来ずっと気になっている選手です。

守備時岡山の陣形はおもに451、あるいは4141で守ります。

4141のブロックで守る岡山


栃木は4231へ移行すると、攻撃時にSBを押し上げてタッチライン際に立たせるようになります。いわゆる”幅をとる”というプレーですね。すると、4231の③のMF部隊は両SBに挟まれるようになります。

そうすると、栃木の中盤の選手は岡山のDFラインとMFのラインの間に位置取ることが増えてきます。なお、岡山は1トップなので栃木の2CBを一人ではつかまえられない。ですから、(CBに対しては徳島戦同様にIHを押し出してけん制するシーンはみられたものの)栃木のCBが縦パスを撃ち込む機会をうかがうシーンが増えます。

したがって、このように岡山の2列目のプレッシャーラインを栃木に越えさせてしまい、テクニックとスピードのある森に前を向かれてしまいました。こういうシーンを見つけたら「おや?おかしいぞ?」と反応できるときっと発見があるはずなのでおすすめです。

こうした変化に加えて栃木は瀬沼、矢野と前線に頼りがいのあるポストプレーヤーを得たので、そこにめがけて縦パスも入るようになったのでパススピードもテンポもあがってじわりじわりといい時間帯を迎えます。

しかし、栃木の追い上げもここまで。終始優勢にゲームを進めた岡山が今季アウェイ初勝利を挙げ2勝1分としました。

試合全体を通しての雑感


栃木は前節かなりの勢いで前プレに出て東京Vを慌てさせていたので、この試合でも同じように出てくるかな?と思っていましたが、かなり慎重な構えで臨んだ試合になりました。もしかしたら、前プレをひっくり返されてカウンターから失点したこと、岡山の前線に個の力の高い選手がいることがそういう対応につながったのかもしれません。

その分、岡山は終始余裕をもってゲームをすすめることができましたので、順当に勝てた試合であったかなと思います。栃木に与えた決定機はミスがらみでありましたが、チームとして態勢を崩されたシーンは少なく、問題なく守れていました。

攻撃の方では決定機をゴールシーン以外に2つ作れており決まっていれば、2-0、3-0もありえたのでそのあたりさらに優位に試合を進めるためにもしっかりととるべきところをとっていけるといいですね。

ポゼッションについてはまずまずこんなもんじゃないか?というところで、徳島のような巧みな展開力はまだまだ。ですが、個の力の高さを生かして結果を残せているのでチームとしてできることが増えていけば相乗効果が見込めるのではないでしょうかね。

ともかく、いいすべりだしだ!

次も強い町田ゼルビアなのでしっかりと準備していい試合をしたいですね。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?