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「ミッドフット着地」と「プロネーションが加速する」ことのリスク


ミッドフット着地、実は危険!

ミッドフット着地に限らず、フォアフットで着地してもそうなんですけど
足部の外側から着地することに関しては
適切にリスクマネジメントされてないんじゃないかなーと。

上の画像見ていただくと
左から二番目の赤シューズのランナーは
めっちゃ外側から着地しそうになってますよね?

この感じだと、外側ミッドフットでの着地になるんでしょうけど
そこからの「ランニングタイムライン」を想像してみてください。

あ、「ランニングタイムライン」ってのは
僕の造語っす(多分誰も使ってない、はず・・・)。
言ってみたら「ランニングの時系列の流れ」。

で、外側から着地した後のランニングタイムライン(言いたいだけw)を追うと
母趾球側に体重がシフトしてくわけですけど・・・

ここ!ここに大きな問題が潜んでます。

上の画像のランナーみたいに、めっちゃくちゃ外側から着地したら
その後、足部の回内運動(プロネーション)が加速します

そんでそれが、過回内運動(オーバープロネーション)を誘発してしまう。

こんなイメージ⬇︎⬇︎⬇︎

それによって、足部〜下腿〜膝〜大腿骨〜股関節〜仙腸関節〜脊柱に
過度な捻れが伝わる。

Knee-in / Toe-out っていう、つま先は外向いてるのに
膝のお皿はまっすぐ向いてる、みたいな
足関節、膝関節の捻れを伴う異常運動です。

もちろん、この捻れは足関節や膝関節だけに留まりません。
股関節よりも上の関節にも波及します。

ミッドフット着地にトライして
「足底筋膜炎になっちゃった」
「アキレス腱が痛くなった」
「ふくらはぎを痛めた」
なんてランナーは、筋力が着地様式に見合ってなかった・・・っていうより
この「プロネーションの加速」に対するリスクマネジメントの問題かもです。

プロネーションの加速をどのように防ぐか?

ちなみに、筋力をアップさせればいいかっていう考え方もあるかもしれませんね。

プロネーションの加速を、筋力でカバーする。

でもこれって・・・
「何回も車で事故っちゃうから、ボディをもっと頑丈にしなきゃね!」
ってのと同義だと思うんですよ。

ボディの問題?それとも、ドライバーの問題?果たして・・・?w


ミッドフット着地が危険っていうよりは・・・


ここまでお話しすると
「ミッドフット着地ってやべーじゃん」
みたいに感じられるかもですけど、実はそうではありません。

問題は「プロネーションが加速すること」です。

もっと言うと「母趾球に体重が乗るタイミング」の問題。

プロネーションが加速することで、母趾球に体重が乗るタイミングが
適切ではなくなります。具体的に言うと
母趾球に体重が乗るタイミングが早いわけです。

それによってランニングタイムラインに滞りが生まれます。

その滞りが、筋肉の無駄遣いを引き起こします。
んにゃ、筋肉だけじゃなく、骨にも過度なストレスをかけます。

脛骨の疲労骨折とか、シンスプリントなんかは最たる例ですね。

僕としては、ランニングタイムラインで母趾球に体重が乗る局面は
離地の直前が適切なんじゃないかなーって考えてます。

だけど体の真下くらい(加速具合によってはそれよりも前方)で
母趾球に体重乗せちゃうと、前進する動きに対して
ブレーキをかけるようなストレスがかかります。

このタイムラインでは、むしろ小趾側で地面を捉えてる方が
重力を活用して前進できます(この件はまた別稿でお伝えします)。

だから、ミッドフット着地が良くないって言うよりは
母趾球に体重が乗るタイミングが早くなっちゃうことの方が
問題なわけです。

ちなみに、外側ミッドフットで着地してなくても
母趾球に乗るタイミングがランニングタイムライン上、適切じゃなかったら
やっぱり異常運動を誘発します。

ってことは、シンプルに考えると
「母趾球に体重が乗るタイミングを整える」ってことが
重要だということになります。


ミッドフットでフラットに着地する

そこで提案したいのが
「ミッドフットで地面に対してフラットに着地する」
ってことです。

外側ミッドフットで着地するとプロネーションが加速し
母趾球に体重が乗るタイミングが早くなっちゃうし
それによってオーバープロネーションを誘発してしまうので
それを防ぐために、ミッドフットでフラットに着地する。

そして着地したら
そこから足のアウトエッジに体重を移動させる感じ。
こんな流れですね。

「最速で身につく 最新ミッドフットランメソッド/金城みどり・高岡 尚司著(主婦の友社)」より引用

イメージとしては、母趾球から着地するようにすると
結果、フラットに着地できる感じです。

ただ、大事なのは「足先だけ」でこの着地を操作しようとしないこと。

股関節や胴体の使い方がミソになります。
(詳しくは上の本に書いてますw)

こうすることで、母趾球に体重が乗るタイミングを
最適化できます。

ちなみに、この動画のクライアントさんは
ずーっと続くふくらはぎの痛みで悩んでらっしゃったんですけど
着地をフラットに最適化したら
痛みが改善されました。
(YouTubeに飛びます。チャンネル登録してもらえると嬉しいっす!)

スピードが上がれば上がるほど
フラットに着地するのは難しくなりますけど
スピードが上がれば股関節伸展スピードも上がりますから
母趾球に体重が乗るタイミングは適切になりやすい。

ただし、スピードは上がっても股関節伸展のタイミングが遅かったり
膝から先が盛大に前方に伸びてしまってたら
母趾球に体重が乗るタイミングはズレますから
怪我のリスクは格段に上がります。

要はですね・・・
「ランニングタイムライン上で、できる限り滞りを作らないこと」
です。

ランニングタイムラインを、スムースに循環させることかなーと。

高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員