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すっかり忘れていた感覚を

くどうれいんさんの「私を空腹にしないほうがいい」を読んでいる。
ISBNが振られていない本。
13刷と書いてある。すごい。

想像していたより小さな本で、かわいらしい文庫サイズだ。

初めて見かけたのは実はずっと前だ。

吉祥寺の「百年」で、なんとなく気になって手に取ったのを覚えている。その日は何も買わずにいた。
ここしばらく、村上春樹のエッセイと漫画以外はずっと活字を趣味で読まずにいた。仕事でたくさんの文章に触れるからか貧血っぽく、読もうとすると頭に力が入らないというか、本に入り込めなくて紙の表面を視線がふらふらしてしまう。

今日からまた読めるだろうか、と期待が浮かぶ。

現実逃避のために読むのではなく
楽しむために読めるだろうか。

くどうれいんさんの「うたうおばけ」も買った。
とても素直な文章ですっと入ってきて、そうだ、私も中学生の時は文章を書くのがただ楽しい時期があったんじゃなかったかと思った。鬱屈していたけれど、それでも言葉で気持ちを表現することで、やっと世界が輪郭を持ちはじめるあの瞬間を楽しんでいたんじゃなかったか。

私はずっと怖かった。
楽しむためでも学ぶためでもなく、実は私は逃げるために本を読んでいるのではないか。何一つわからず何一つ心に留めないまま、ポーズをとって分かったフリをしているだけではないか。

ただ楽しむために読書をするように、自分を解放したい。

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