のぞむの活動終了とVTuber切り抜き文化の変化

お久しぶりです。

ある日のぞむのツイートを見かけて思うことがあり、それ関連でちょっと書きたい事が生まれたのでまとめようと思います。
初めてもくじや太字等入れてみましたが見づらかったらすみません(万が一もくじ反映されてなかったらやだな……)。

のぞむに一切興味ない方は「天音かなたとベートーヴェン」か「本間ひまわりの神対応」から読んで頂ければ幸いです。


のぞむの活動終了


のぞむ天音かなたの中の人と言われています。
以下にある天音かなたのツイートを見ると、片耳失聴の影響が大きいのかなぁ……って考えてしまいます。
こないだコロナも罹っていて色々大変かもしれませんね。

デビューしてからちょくちょく人の話をオウム返しする癖があって、これは耳が聴こえにくい人によくある癖だそうです。耳が遠くなった老人が聞き返すのと似ていますね。
その時にはもう片耳が聴こえづらくなっていたようで、それを逆にネタにしていましたがこのツイートで片耳失聴していることをカミングアウトしました。
それ以前にどこかしらの配信で失聴した事を話したかもしれませんが、何時間もある配信を全て視聴するリスナーでないと知るのは難しく、このツイートで初めて知ったリスナーも多かったと思います。

“のぞむ”として活動しなくなるだけでなく、何かを伝える場所が一つ無くなったわけです。その名義で活動する道を絶ったのは私として相当な覚悟を感じさせました。

のぞむ天音かなたと知っているリスナーは少なからずいると思います。
“のぞむ”名義で活動をしなくなるという事は、“天音かなた”の活動が停止した後に活動を再開する道が絶たれている。
桐生ココから卒業したksonだけでなく、引退した潤羽るしあの中の人であるみけねこ魔乃アロエの中の人であるでるたやも元々の中の人が得た人気だけでなく、ホロライブで見ていたリスナーも流れてきているはず。
この二つで得た知名度を棄ててわざわざ新しく活動するって、一から新しく知名度を上げていかないといけない。それはとても難しいと思います。

ホロライブと合わせて二足の草鞋を履く中の人はそこそこいますが、ホロライブで活動して中の人の活動をわざわざ“棄てる”ホロメンは少ないはず。
のぞむはアカウントを消さず残す選択肢を取った。全てを棄てたのではなく、“のぞむ”という存在を捨てたって事かもしれません。
何を考えてこうしたのかは知る由もないですが“天音かなた”として応援してあげたいですね。


天音かなたは聴力が完全に失うまでこれからも歌い続けるでしょう。
いつかホロライブが衰退して“天音かなた”という存在が消えても、のぞむでない名義で歌い続けるのかそれとも天音かなたとしてそのまま終わるのかは本人のみぞ知る……。






天音かなたとベートーヴェン


天音かなたは病気により片耳を中途失聴しましたが、中途失聴者の音楽家は珍しい事ではなく1700〜1800年代に活躍された天才ピアニストルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンという人も20代後半で殆どの聴力を失ったと言われてます(最高度難聴と言われていたが、症状的に耳硬化症説もある)。
作曲家の命である聴力を失うことは“死”と同等で、遺書を書いて自殺を考えるほど悩みながらも作曲を続け、交響曲第3番(英雄)以降は殆どの聴力を失せながらも完成されたそうです。音楽に触れていれば一度は聞いたであろう交響曲第9番(第九)は完全に聴力が失せる全聾と言われる時期に作曲している。
色んな要因で難聴になり活動が続けられないVTuberもいる中、天音かなたはVTuber界隈のベートーヴェンになり得る存在になるのだろうか。

誤解なきように補足しますが、難聴になりVTuberを辞めた人達は耳が聴こえにくいから辞めた訳ではなく難聴とは別の症状目眩耳鳴り聴覚過敏等)で人の会話や継続した活動が困難になる事が多いです。
最近だとにじさんじ郡道美玲も左耳が失聴しただけでなく、目眩や聴覚過敏の症状もあるそう。

ストレス等で免疫力が下がって色んな病気になるので、VTuber達は生活環境に気をつけて活動していって欲しいですね。





本間ひまわりの神対応


天音かなたと群道美鈴の難聴からふと思い出した事があって。
最近切り抜きで一時バズったにじさんじ本間ひまわり神対応を見て欲しい。

耳が聴こえないリスナーに神対応したVTuberは本間ひまわりだけでなく他にもいて切り抜かれていたが、殆ど文字だけで対応してあげるパターンが多いように感じました。

それぞれのVTuberで微妙に対応の変化はありましたが、この本間ひまわりは2Dモデルを通して表情で伝える手段も合わせていました。

実はこの切り抜きの数か月後に天音かなたも同じ対応しています。

これらの対応は恐らく、耳が聴こえない人やそれに関わりが深い健聴者でないと自然に思いつかないのかなと思いました。耳が聴こえない人って目であらゆる情報を追いかけているので2Dモデルを活かした対応ですね。

※他に耳が聴こえないリスナーを対応したVTuberを見たい方はYouTubeで「ホロライブ 神対応 切り抜き」「にじさんじ 神対応 切り抜き」で検索してみてください。



切り抜き文化の変化


私は2020年12月からVTuberの切り抜きを漁っています。
当時の切り抜きでテロップ(字幕)があって視聴していたのはのりプロの公式切り抜き、にじさんじの有志切り抜き、ホロライブの有志切り抜きでした。ホロライブやにじさんじの字幕入り切り抜きは2022年現在と比べると全然少ないものでした。アーカイブから見やすいように要点カット編集してそのまま投稿する切り抜きchもそれなりにあったように思います。
その切り抜き文化に様々な影響を与えたのはこの一つの切り抜きからだと思っています。

さっきも言ったように耳が聴こえない人は目で情報を追いかけています。
耳が聴こえない人の会話方法は主に手話(聴覚障がい者の言語)、読唇術(唇で読み取る)、ジェスチャー(身振り)、筆談(文字で読み書き)等で目を使って理解していると思います。
テレビでそれなりに字幕放送テロップが当たり前になりつつありますが、YouTubeのライブ配信はリアルタイムで文字起こし出来ないと思います(私は使えませんでした)。
ゲームの内容だけ理解出来ても雑談等は動きも一定的で目だけで得られる情報が少なく、そうなれば文字で追うしかない。かといって、YouTubeで使える自動文字起こし文字起こしソフトは100%正確ではない。
意思のある有人が聞き取って字幕を入れてあげるしか正確な情報を得られないのです。

上の2つの切り抜きも併せて耳が聴こえない当事者達が実際にコメントで、
天音かなたのリスナー「字幕がないと言っていることが分からない」
本間ひまわりのリスナー「ひまちゃんが突然太陽のような笑顔になって可愛いなぁと思っていたら『ありがとう!』の字幕が出て凄く驚きました」
獅白ぼたんのリスナー「(リアルタイムで)何で点呼されたか分からなかった」
とおっしゃっています。
こうして切り抜いてくれれば、対応された本人も内容を理解して感謝のコメントを残してくれるんですね。切り抜いた切り抜き師も本人に見てもらえて嬉しいと思います。そうでなきゃわざわざ切り抜いて字幕を入れた意味がありませんから。

獅白ぼたんの切り抜きがバズり、それまで積極的に切り抜きに字幕を入れなかったカット編集だけの切り抜きchが字幕編集し始める現象を私はいくつか見かけました。そこからどんどん切り抜きに字幕編集するのが当たり前になってきたように思います。
こういう切り抜きでバズればYouTubeのおすすめに出てきて、当事者に気付いて貰いやすいと思います。
私は上記の切り抜きをおすすめで見かけて知りました。こういう神対応切り抜きもVTuber本人の登録者や再生数が増えて知名度も上がる……まさにWin-Winですね。

獅白ぼたんは切り抜きがバズる事で登録者や再生数が伸びたのを実感しているのか、切り抜き文化の良し悪しを置いた上で個人的に「切り抜き文化っていうのは絶対無くさない方がいい」とおっしゃっています。
悪意ある切り抜きは切り抜かれたVTuberのイメージを下げてしまいますが、基本的にデメリットは少ないはずです。色んな媒体で切り抜かれ、それを見て気になった人達がそのVTuberの配信を見に行ってそのままハマっていくと思います。ハマらなくても他のVTuberの切り抜きを見て気に入れば結局はVTuber界隈としてプラスになりますよね。

日本以外の視聴者向けに英語や様々な翻訳の切り抜きがありますが、グローバル文化があるからこそ当たり前に普及していると思っています。
私は耳が聴こえない人は文字起こし文化のないYouTuber、実況動画、VTuberを見ないだろうと思っていましたが、当事者はVTuber自体興味を持ってくれて諦めず工夫して見てくれている事を獅白ぼたんの切り抜きのコメントで知りました。
VTuber界隈を盛り上げるには限られたリスナーだけでなく、界隈を知らない人も見てもらう。壱百満天原サロメが爆発的に伸びたのも元々色んなVTuberを見てきたリスナーだけでなく、VTuber界隈を知らない人が見始めたからというのが大きいと思います。
VTuberや切り抜き師、布教するリスナーもどうすれば見て貰えるのか頑張ってほしいですね。



角巻わための手話


おまけですが、天音かなたがカミングアウトした時期から少し経った頃に同期である角巻わためが3Dで手話をお披露目しています。
覚えたてでちょっと拙い手話でしたが可愛いのでまだ見てない方は良ければ是非。

これは天音かなたの件は関係なく、3Dという環境を活かしてこの動画を発信されたそうです。
この手話動画を見て、理由を知るまで天音かなたの為に覚えて下さったのかな、それとも獅白ぼたんの切り抜きにいた耳が聴こえないリスナーを知り、思いついたのかなと考えていましたがそうではありませんでした。

目で追う楽しみが増えるのは3Dだと思います。
3Dの身振りで楽しむリスナーもいるでしょう。可愛い動き、面白い動き……動きでしか得れない情報もあると思います。
手話を選択肢の一つに選んだ角巻わためは私から見て凄いと言わざるを得ません。私なら選択肢すら入らないでしょう。

いつかVTuberの3Dライブで手話歌が出てくるかもしれませんね(既にあったらすみません)。