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ほろ苦く甘酸っぱい初恋

突然ですが皆さんの初恋はいつですか?
私は小学5年生です。(嘘)

高学年ともなれば、周りは当然のように初恋を済ませており、当然のように常に好きな人がいて、当然のように恋バナで盛り上がっています。

私はというと、小学3年生ぐらいまでは人間の友達はいなく、毎日家の裏にあるちょっとした広場で野良猫と虫と日向ぼっこをするのが日課でした。

なので勿論、人を好きになるという感情は知らないどころか、家族というのも、
"男女のお付き合いから始まり、子を産み家庭を築く"
というものではなく、「東田家・6人家族」「山田家・4人家族」のようにポンっと始めから神によって作られたものだと、母と父が離婚するまで思っていたのです。

なので、離婚すると聞いた時はもちろん、
母から
「あれ、あんたのお父さん違うで」
と言われた時も私は、
「全く…妹らが連れ去られたっていう時に何の冗談を言ってんだい」
としか思いませんでした。

いえ、嘘です。
実際は訳が分からなすぎて頭痛・腹痛が酷かったです。


そんな私にも人間の友達ができ、周りについていこうと必死になっている時。
どうやら女の子は恋バナが好きで、恋バナをしている時の顔は、とても可愛らしい顔をしているではありませんか。

その様子を見た私は、
「私も恋バナしてあんな顔してみたーい。キャーって言われたーい。」
と、思うのです。

すると直ぐに好機は訪れます。
それが小学5年生の時です。


A「皆んな好きな人おるん?因みに私はおる!」

恋バナというのは唐突に始まります。

B,C,D「おる…///」

A「零は?」(どうせおらんやろの顔で)

私「おる…///(大嘘)」
A,B,C,D「キャーーーー///」

(キャーーーー!コレコレー!コレがやりたかったー!満足満z…)

A「因みに誰ー?皆んな1人ずつ言っていこ!私は〇〇くん!」

(やばい…好きな人決めてない…)

B「私も〇〇くん…。いやでもっ!大丈夫!Aに譲るよ!」

(なるほど…好きな人は被ったらダメと…)

C「私は〇〇くん…」
D「私は〇〇くん…」

(あまりイケイケ過ぎず、誰とも被らず、だからと言って誰それってならんぐらいの丁度いいのおらんかな?あ、、、、)

私「実は………〇〇くん…///」

A「えー!意外ー!いいやんー!」

(合ってた…よし、これで一安心一安s…)

A「因みに皆んなその人のどこが好きなん?」

(名前出したものの話したことない…)

A「私は面白いところかな〜」
B「私も!」
C「私は優しくて面白いところ!」
D「私も優しいところかな〜」

私「私も優しいところかな〜。なんか前に1人で黙々と掃除してたところ見たし、なんかいつもニコニコしてる気するし!なんか誰かのこと手伝ってたような気もする!」

嘘をつくと人は口数が増えるというのはどうやら本当らしい。

A「知らんかったー!やっぱ好きやからよう見てんねんな〜。」

(何とか合わせれたぞ…もう終わってくれ…恋バナなんてもう懲り懲r…)

A「じゃあさ!じゃあさ!皆んなで明日告白せえへん?」

(KOKUHA-KU?ナンデスカソレ?)

C,D「えー、ほんまに言ってんのー?///」
B「私はAに譲るからいいかなー笑」

(なんか……KOKUHA-KUって面白そう!)

私「えー、やっちゃうー?笑」

A「じゃあ、約束な!絶対やで!」



ということで、人生初の告白イベントが思いもよらぬタイミングで到来した訳ですが、告白なんぞ知らない私は帰り道にAに、
「告白ってどんなことするん?」
と意を決して聞きました。

すると…

「えー、ラブレターに、『一年生の頃から好きでした!付き合ってください!』とか書くねん。」

告白のことを1ミリも知らない私は、

ラブレターに一年生の頃から好きでした!付き合ってください!と書く=告白

という式が簡単に成り立ってしまい、家に着くなり持ってる中で1番可愛い便箋を選んで、
『一年生の頃から好きでした!付き合ってください!』
とそのまま書くのでした。(大馬鹿者)

女の子やってる〜♪とウキウキで母親に、
「私明日告白してくるねん!こ・く・は・く!」
と、超浮かれ顔で報告をし、ついにその日が。

放課後、皆んなが帰るタイミングでそれぞれが勢いのまま渡す。
私も流れになり、家で読んで!と無理矢理渡す。


そして渡した次の日。

なんとAは成功したらしく付き合うことになったらしい。他2人は覚えていません。

私はというと、放課後に男の子から返事の手紙を渡された。
「何が書かれてるんやろ〜」
とワクワクで開くとその中には、


『ごめん。俺小学3年生の時にこの学校に転校してきてん。だから付き合われへん。』


なにその展開…!そんなパターン知らん!
なんで転校してきてるねん!1年の時からおれよ!
好きじゃないの確実にバレたやん…
ていうかめっちゃ失礼なことしたやん!(遅い)

などと思いながらも、ヘラヘラしつつ皆んなに結果報告をすると、なぜか私が慰められるというカオスな状況になった。
そこでやっと失恋したことに気づき、呆気なく私の初恋は終わった。



完全に私利私欲を満たすためだけに利用したので、今までの人生で1番謝らなくてはいけない人です。

なので、まるで本当の初恋かのようにその人のことが何十年経った今でも忘れられません。

そんな私のほろ苦く甘酸っぱい初恋でした。
(大たわけ)

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