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「結果が出れば、関係性はよくなる」なんて発想…"破滅へのデスロード"へようこそ

はじめに

私は、仕事の特性上、対立が絶えない、お互い協力できない組織の相談を受ける。大概、業績も悪化中だ。

その経験からすると、比較的発言権のある、声の大きい立場の方から…

「結果さえ出れば、関係性なんかよくなる。まずは結果。」
「関係性なんて取るに足らない。サークルじゃないんだ。」

…というような持論を、自信満々 or オラオラムンムン or 悟り顔で言われることが多い思う。

結論から言うと、僕の経験上、業績も関係性も悪化している組織の場合、成果が出ることはないです。

今日は、そんな経験に基づいた考察をしてみたい。

インタビューから見えてくるもの

例えば、過去こんな相談を受けたことがある。

・マーケティング部門とインサイドセールス部門が仲悪い
・インサイドセールス部門とフィールドセールス部門が仲悪い
・開発部門と運用部門が仲悪い
・サービス企画部門と開発部門の意思疎通が取れない
・開発部門とパートナー会社の関係性が悪化
・同じ部署のメンバー同士で戦争が起きている("時間が止められるなら、あいつを殺してやりたい"と言われたことも…)

あまりにも関係性が悪過ぎて、もはや組織として機能していなく、成果も出ていないので、改善の糸口を見つけるために、相談を受ける。

そんな時、まずは、個人インタビューをする。

すると、よくこんな言葉を耳にする。

"結果さえ出れば、関係性なんて、どうせよくなるんだから。まずは結果!"(組織の中で、発言権を持つベテラン重鎮社員)

"関係性?取るに足らない… まずは結果を出せばいいんですよ。なんでそんな甘っちょろいこと言ってるんですか?サークルじゃあるまいし"(取締役営業管掌)

結果が出れば、みんなハッピーになる。達成感を味わえる。そしたら、過去の恨み辛みも思い出話にして、仲良くなって勝利の美酒も味わえる…って感じだろうか?

さらに驚きなのは、続けてこんなことをいう。

"そのために、私のいうとおりにすれば、ちゃんと結果なんて出るんだから… 変に刃向かったり主張してくるから、こういうことになるんだよ。"

あなたが正しい…あなたに黙って従えと…?

言葉は、ここまでダイレクトじゃないことの方が多い。こんな感じだ。

"やるべきことやったら、ちゃんと成果出るんだから。今はやるべきことをやろうぜ"

"基本さえちゃんとやれば成果は出る。まずはちゃんと正確な情報をレポートして、正しい判断ができる材料をあげてほしい”

この手の言葉を発するのは、これまで数々の至難を乗り越えてきた百戦錬磨の重鎮社員や役職が高いマネージャー、オラオラ意識高いドヤ顔系エースの方が発することが多い。(本人は、自覚ないけど)

アイデンティティ上、「私は正しくなければならない」「私ができることを"立証"しなければならない」という思い込みが強い人ほど、よくこの言葉を発する。

これまでの人生経験で…

「成果を出すことに拘ってきて、成果を出してきたからこそ、成果を出すことが自分の存在価値を証明する唯一の手段で、そんな自分の存在価値を証明することで、自分がいてもいい!という許可をもらいたいと無意識に思っている」

…パターンかな。

側から見ると、通称…

 「成果を出さなければ死んでしまう十字架」

…を背負っている方。

「自分が言っていることに従う。」
   ▼
「結果が出る」
   ▼
「関係性がよくなる」
   ▼
「ほら、自分すごいでしょ!価値あるでしょ!」
   ▼
「周りから褒められる・賞賛される」

という、無意識のサクセスストーリー物語(=妄想)が、潜在意識にあって、自動駆動させて、それを組織やチームに持ち込んでいる感じかな。

Welcome to "破滅へのデスロード"

いずれにしても、この2つの言葉「結果が出れば関係性はよくなる」「自分が正しい感」の匂いが漂っている組織は、要注意な気がする。

結果が出て、関係性が良くなったパターンを見たことがない。

むしろその逆だ。負のスパイラルがはじまり、関係性も結果も悪化する。

Welcome to 破滅へのデスロードだ。

映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」より、こんな感じ。使ってみたかっただけ。

対立が激化して、死人(=退職者、メンタル不全、契約打ち切り)が出る。

対立が激化している分、恨み辛みの感情も半端ない。まるで復讐のように、組織に襲いかかってきて、死人が出た後のインパクトがクソ馬鹿でかい。

<営業だった方が、退職代行サービスを使って突然退職>
引き継ぎも何も残っていない。知らない案件について、後日突然顧客からクレームが殺到し始め、残されたメンバーでそのクレーム処理をさせられる。本業の遅延。自分悪くないのに顧客に怒られる。

<エンジニア社員の退職、パートナー会社、業務委託との契約打ち切り>
開発していたアプリケーションの仕様やドキュメントが全く残っていない。残っていても、かなりズサンな内容。残されたメンバーは、仕様を解明するために、ただひたすらリバースエンジニアリングに多大な時間を費やし、生産性が低下。残業の日々。アプリ開発の遅延。顧客からのクレーム嵐。殺伐とした社内の空気。

すると… 

残されたメンバーからも死人が出てくる。
  ▼
人手が足りなくて、人材採用や業務委託で補完する
  ▼
戦力化するまでコミュニケーションコストが上がる。
  ▼
ついでに人件費も嵩んでいる。
  ▼
とはいえど、「私が正しい。結果さえ出れば、関係性はよくなる」という考え方が、組織に蔓延したままの状態 or 発言権の大きい誰かが相変わらずいるため、対立や分断を助長する組織の癖は健在で鉈を振るう
  ▼
歴史は繰り返される
  ▼
赤字化へのデスロード。

心当たりがあるあなたに伝えたいこと

どうだろうか?
心当たりがある人はいるだろうか?

そんな方々に、この時点で、まず私がお伝えしたいことは…

これまで、がんばってきたよね。
成果を出すことに必死だったよね。

だからこそ、ここまで成長してきたし、ここまでたくさんの人に価値を提供できてきたよね。

そんなあなたのこれまでの努力や成果、みんなちゃんと見てきてるよ。

でもね、あなたの存在価値なんて証明する必要はないよ。
だって、すでに存在しているんだから。それが何よりもの証明だよ。

それだけで価値があるんだよ。

…です。

それを受け止めて欲しいな。

理論「成功の循環モデル」を用いた解説

じゃあ、どうしたら良いのか?

とても使い古された概念だが、なんだかんだでこの状況を解説するのに1番わかりやすいので、成功の循環モデルを使って解説してみる。

この理論をざっくり説明すると…

「結果の質」をあげたいのであれば、「関係の質」をあげよう!

…と、「結果の質」が悪化して、焦り始めている方々にとっては、なんとも呑気な理論です。

とはいえど、そこが大事なので、解説します。

①関係の質
相互理解や信頼関係があり、オープンなコミュニケーションを取ることができる
②思考の質
理解が浸透しており、アイデアがたくさん出る
③行動の質
積極的に効果的な行動をとり、新しいことを取り入れることができる
④結果の質
目標を達成する、高い成果・業績を得る

https://leaders.seattleconsulting.co.jp/relevance/a-core-theory-of-success/

つまりは…

お互いを尊重し合って、一緒に考えられる関係が築けている(関係の質)と、前向きに考えたり、発想が広がったり、一生懸命になれる(思考の質)

前向きに考えたり、発想が広がったり、一生懸命になる(思考の質)と、チャレンジングな行動をとったり、自分の意見を臆することなく発する(行動の質)

チャレンジングな行動をとったり、自分の意見を臆することなくいう(行動の質)と、業績が上がりやすい。(結果の質)

…というようなことが起きる。こう書いてみると、極めて当たり前のことだ。

この理論に基づくと、上で挙げたケースでいう「結果がでれば、関係性がよくなる。」という主張は間違っていないように見える。

そこで、バッドサイクルについて具体的に紹介したい。

<バッドサイクルとは?>
関係・思考・行動・結果の質がマイナスに作用しあって循環している状態を示します。
結果を追い求め、目先の業績を上げようとすることからサイクルが周り始まります。
無理にでも成果を出そうとするため、押しつけや命令、対立などが生じ、「関係の質」が下がります。
「関係の質」が低下すると、「思考の質」と「行動の質」も低下します。
メンバーは受け身になり、自発的・積極的に行動しなくなるため、成果が上がりません。
「結果の質」が低下することで、さらに人間関係が悪化し、悪循環に陥ってしまいます。一時的に業績が上がる可能性はあるとしても、継続的な発展は見込めません。

https://leaders.seattleconsulting.co.jp/relevance/a-core-theory-of-success/

「結果の質」が悪い時、冷静を装いながらも、内心私たちは焦ってしまわないだろうか?

そして、上で挙げたケースのように、「私が正しい、私に従え意識」からくる「押し付け」や「命令」などを通じて、対立や分断が助長されていく。

仮に「押し付け」や「命令」などの荒技によって、一時的に業績が出たとしても、その過程で「関係の質」を低下させているので、長期視点で見ると組織は崩壊の方向に向かっている。

僕なりに解説してみると…

ポイントは、「結果の質」を上げることに固執して、そこを起点として活動してしまうと、「結果の質」はどんどん低下していくということだ。

そこで、この理論では、「関係の質」を上げることに起点を置いて取り組むと、結果的に「結果の質」があがっていくよ。と言っている。

<グッドサイクルとは?>
関係・思考・行動・結果の質がプラスに作用しあって循環している状態を示します。
組織の「関係の質」を高めようとすることからサイクルが周り始まります。
メンバーの相互理解や相互尊重を深め、快適なコミュニケーションができるようになると、「思考の質」「行動の質」が向上します。
自発的に考え行動するメンバーが増えることで、業績が上がり「結果の質」が高まります。
それによって「関係の質」が向上するというように、好循環が続いていきます。

https://leaders.seattleconsulting.co.jp/relevance/a-core-theory-of-success/

結論、「急がば回れ」です。

実践的な取り組み

まず、やってみたことが良いこととして…

「結果の質」が悪かったとしても、一旦その結果は脇に置いて、犯人探しとか、責任追及とか、自分が正しいとかっていうものも一旦脇に置いて、「関係の質」向上に取り組むこと。

…もしくは…

チームで集まって…

「結果の質」を生み出したのは、どんな「行動の質」だったのか。
そんな「行動の質」を生み出したのは、どんな「思考の質」だったのか。
そんな「思考の質」を生み出したのは、どんな「関係の質」だったのか。

…について、チーム全体で振り返ってみる。

…と良いのではないでしょうか?いずれにしても、「関係の質」に取り組むしかない。

ただ、無論、超・心理的安全性が必要なので、激化しているチームでやろうとすると、却って火に油を注ぐこともある。

そんな時は、第三者の介入を検討してみるのは、いかがでしょうか?

どんなに関係が激化していても、どんなに関係が複雑でも扱えます。ただ、激化し過ぎる前にご相談いただいた方が、悲劇は少なくて済むし、立て直しは早い。私個人の願いとしては、人が必要以上に傷ついてほしくないという願いがあるので、早めにご相談されると嬉しいな。

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