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【塾なし大学受験】Part1計画の立て方の極意

 計画をいかに立てるかというのは、独学で大学受験をする上で最重要ポイントのひとつです。一方で、「計画の立て方が全くわかりません」という声もよく聞きます。「計画を試行錯誤して立ててみたが、ここが上手くいかなかった」というようなピンポイントの質問は驚くほど少ないです。
確かに、計画の立て方は自分から学ぼうとしない限り、勝手に身につくことはありません。また、世の中にはスケジュールマネジメント術が氾濫しており、どのように取り入れていけばいいかわからないという人も少なくないでしょう。
計画の立て方に絶対の正解はありませんが、今回の記事では、大学受験で第一志望合格を目指すというゴールのみならず、その他の資格試験等でも幅広く通用するであろう計画の立て方をお伝えします。


計画の種類

 計画には大きく分けて「短期計画」、「中期計画」、「長期計画」の3つの種類があります。
 ここでは、短期計画は、だいたいここ1,2週間で何をするのか、中期計画は夏休みあるいは1学期間といった、2,3ヶ月程度の期間で何をするのか、長期計画は1年間あるいは入試本番までといった年単位の長いスパンで何をするのかを指すこととします。

計画の三要素

計画を立てるには、次の計画の三要素を考慮する必要があります。
1. 自分の学力と志望校のレベル
2. 可処分時間
3. 使用するテキストとその分量

まず一つ目の、自分の学力と志望校のレベルについて。
例えば、Aさんは偏差値56で偏差値62の学校が第一志望です。
一方、Bさんは偏差値54で偏差値56の学校が第一志望です。
この場合、Aさんの方が学力が高いにも関わらず、Bさんよりかなり多くの勉強量が必要となります。
このように、現時点での自分の学力と志望校のレベルは、必要な学習量及び計画に大きな影響を及ぼしますので、大雑把に把握しておきましょう。

次に二つ目の可処分時間について。これも重要な要素です。
可処分時間とは、だいたい自分が自由に使える時間と考えたら良いです。
これも、部活の忙しさや睡眠時間の長さなどに依存するため、個人差が大きいものとなります。
いわゆる勉強時間とも強い相関がありますが、多少人より少なめでも心配する必要はありません。多い人には多い人なりの、少ない人には少ない人なりの戦い方を考えれば良いのです。

最後に、使用するテキストとその分量。これが決まると、かなり勉強計画が具体的なものとなります。
ここで、まず考えるべきは自分の現時点での学力です。最初は、自分の学力に合ったものを選び、その段階がクリアできたら次の段階にレベルアップするサイクルを繰り返し、高3の秋くらいには自分の第1志望のレベルに到達するのが理想的です。
また、同じレベルのテキストでも、かなり網羅性が高く分量が多いもの、最重要項目がコンパクトにまとめられているものなどさまざまな種類がありますので、自分の可処分時間や入試までの残り時間を考慮して選びましょう。

実際の計画の立て方

ここからは、架空のCさんの英語の学習計画を事例に、実際の計画の立て方を考えてみましょう。

Cさん:東京外国語大志望の高校1年生
ステップ1:現状把握
学力面:今の英語の偏差値は58だが、東京外国語大は偏差値62.5なので、もう少し成績を伸ばしたい。
生活面:卓球部に所属しており、平日の週3回の活動のほか、土日に試合が入ることもある。睡眠時間は7時間ほど。平日は、部活がある日は2時間、無い日は3~4時間ほど勉強できそうだ。土日は、遊びの予定や試合が入ると、丸1日潰れてしまう。

ステップ2:短期、中期、長期の目標を立てる
短期目標:2週間後にある定期テストの英語で85点以上取りたい
中期目標:4ヶ月後の次回の英検で2級に合格したい
長期目標:2年後に東京外国語大に合格したい

ステップ3:それぞれの目標に応じたざっくりとした計画を立てる
短期計画:学校の文法のテキストの例文を全て暗記する
     長文読解の音読と問題のとき直しを行う
中期計画:「出る順パス単2級」の単語を全て覚える
     英検の過去問6回分を解いて形式に慣れる
長期計画:高3の夏までに英検準1級に合格する
     単語帳「鉄壁」を全て覚える
     河合塾の「やっておきたい英語長文」シリーズで長文読解に慣れる
     スピーキングテスト対策として、オンライン英会話をやる

ステップ4:より詳細な計画を立てる
⒈ 定期考査まで
・学校の文法のテキストを毎日1章ずつ復習して、例文の書き取りテストを行う
・学校のリーディングのテキストの長文を1日5回ずつ音読する
 15回音読したら、次の長文に移る
・予定の入っていない土日に、テキストの練習問題を解き直す

2.英検まで
・パス単を1週間で1セクションずつ覚えていき、セルフで書き取りテストを行う
・週に1回ずつ過去問を解いていき、間違えたものは全ての過去問が解き終わった後に、もう1度解き直す

中期計画までは見通しが比較的立ちやすいので、どの頻度でいつ何をやるのかまで具体的に考えてみましょう。

3.入試本番まで
・2級に合格したら、「出る順パス単準1級」「英検準1級集中ゼミ」に取り組む
・「やっておきたい英語長文500」を週2回ペースで定期考査後に解き始める
 終わったら、(同じシリーズの)700、1000に順次移行する
・オンライン英会話を週2回受講し、スピーキングに慣れる

入試本番までの計画はスパンが長いので、少し計画が曖昧になりがちです。
ざっくり使うテキスト、ツールをピックアップできていれば、十分です。

この4つのステップを踏むことで、いつ何をやればいいのか、だいぶクリアになったのではないでしょうか。この順序で計画を立てることで、自分の学力を着実にあげながら、入試本番までに志望校のレベルに到達できるようになります。
もちろん、その後の自分の学力の伸びや志望校変更などで、長期計画が変わる可能性もありますが、その時は柔軟に変えていきましょう。
ぜひ皆さんも、ステップ1から4まで自分の場合に当てはめて考えてみて下さい。

計画崩れの防ぎ方

「時間をかけて計画を立てたはいいが、思うように進まずモチベーションが下がってしまった」という声もよく聞きます。
これは、あるひとつの考え方によって防止しやすくなります。
それは、自分ができる、やりたいと思った3〜5割の量で計画を立てることです。
そもそも、計画を立てているとき、多くの人は自分の明るい未来を想像し、モチベーションに満ち溢れています。
でも、実際、毎日やる気いっぱいの人なんていません。
疲れた、やる気出ないという日もあれば、想定外の予定が入ってしまうこともあるかもしれません。自分が思っているほど、多くのことはできないのです。
だから、毎日同じテンポで勉強を進めていくためにも、自分の能力をあえて過小評価して計画を立てることが大切です。
もし、問題集を1日6問ずつ進めたいと思ったら、そこはあえて1日2、3問ずつに留めておきましょう。もっとやれそうだけどなあというくらいの量に抑えておくのが長く受験勉強を継続する秘訣です。

計画の話をしてきたが…

ここまで計画の話をしてきましたが、なんか考えることが多くてめんどくさいと思った人もいたことでしょう。
実をいうと、ここまでかっちりと計画を立てる必要は必ずしもありません。
計画を立てるのに時間を使いすぎて、肝心の勉強時間が減ってしまっては本末転倒ですから。でも、「今、自分が何をすべきかわからない」「志望校合格までの道のりが全く見えない」という人にとっては、計画を立てるのが良い助けとなる場合もあります。
実際、難関大に合格している人の多くは、詳細な学習計画を立てていたかはともかくとして、自分が今やるべきことは何で、それは志望校合格という目標達成にどんな意義があるのか理解しながら、勉強できていた人が多いです。
計画をしっかり立てそれを実行できるのであれば、独学での大学受験は十分可能です。ぜひ、今回の記事の方法を参考に、学習計画をたててみてください。



     



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