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『ビューティフル・デイ』

原題「You Were Never Really Here」

◆あらすじ◆
トラウマを抱え、暴力を恐れない元軍人のジョー。年老いた母と暮らす彼は、行方不明の少女たちを捜し出す報酬で生計を立てていた。そんな彼のもとに、政治家の娘ニーナを捜してほしいとの依頼が舞い込む。しかし見つけ出したニーナは、怯える様子もなく人形のように感情を失っていた。やがてニーナはジョーの目の前で再びさらわれてしまい……。


鳴り続ける不協和音。
永遠に刻まれる不揃いなリズム。


重なる過去のトラウマから裏の世界で生きる男が或る少女と出会う事で自分の存在の肯定を得ていく。

贅肉を出来る限り削ぎ落としシャープに作り出された映像とジョニー・グリーンウッドの研ぎ澄まされた音楽の融合が素晴らしい!

オープニングから聴覚が翻弄される。

核心に迫る重要なシーンの演出が余りにも好みで参った。

このシーンで流れるのがシャーリーンの『I've Never Been To Me(愛はかげろうのように)』だ。

この曲の歌詞は当時の大ヒットを経験してたらもしかして覚えてるかもしれないが曲調からは想像出来ない【高級娼婦】の歌なのだ。

この曲の原題の意味は「本当の自分が分からないまま」とでも訳せばいいのか?

🎵ずっと身も心も売って生きてきた
自由を求める代償がこんなにも大きかったなんて
いま私はパラダイスを知っている
でも自分のことはわからないまま🎵

誰もが思い通りに人生を送ってるわけじゃない。
やりたく無い事だってやらなきゃならない時がある。

殺し合った男二人が隣に横たわり何故か心を通わすシーンに心が締め付けられる様だった。


ホアキン・フェニックスの嵌り方が半端無い。
その存在感に引き摺られる。

そして、原題の『You Were Never Really Here』(初めからお前なんて存在しなかった)の意味が深い。

前知識無く鑑賞すべき作品。

あらすじなんて読まないでぇ!

そうすればエンディングの余韻が更に倍だ。



音を立ててミルクシェイクを飲み干すジョーがサイコーなんだ。

これが現実の音だとでも言うかの様に…



とにかく映像と音楽の融合が半端無い1作。

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