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映画感想『CLOSE/クロース』
原題「CLOSE」
◆あらすじ◆
13歳のレオとレミは、小さい頃からいつも一緒に過ごしている幼馴染の大親友。家族ぐるみの付き合いで、兄弟のようにして育ってきた。ところが中学校に入学すると、仲が良すぎる2人をクラスメイトはただの友だちとは受け止めず、いろいろ勘ぐるようになる。そんな周囲の目が気になり、レミと距離を置くようになっていくレオだったが…。
※『Girl/ガール』のルーカス・ドン監督による第75回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作。主演はともに本作が俳優デビューとなるエデン・ダンブリンとグスタフ・ドゥ・ヴァール。
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ティーンのトランスジェンダーを主人公に衝撃的なラストを描いた『Girl/ガール』とは異なり、こちらはセクシャリティ自体を描くのでは無くそれに関係する或る出来事から大切な人を失った気持ちを登場人物それぞれの立場で静かに起伏を抑え描かれる叙情的な作品。
失ってしまった要因に苦しみ葛藤し答えを導き出していく少年の姿を描く。
そして“少年2人”と言う設定は同じだが『怪物』とは完全に異なる内容だった。
単なるからかいの軽口が様々な感情を呼び起こしいったい何を引き起こすのか?
今作が初演技のティーン2人がとにかく素晴らしく等身大の13歳が生きる環境を見事に体現していた。
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自分の見る世界だけが全てだった少年が他人目線の現実を体感する。
自分の性自認など考えもせずただ一緒に居て楽しい、だからいつも一緒に居たい気持ちが優先する純粋な子供時代から次第に成長し【性】を意識し始める思春期の未熟さと自我の目覚めの狭間の時。
そしてセクシャリティの自覚。
無邪気な子供では居られない【最初の社会】との遭遇。
初めて経験する意地悪な揶揄。
『怪物』より少し年齢が高い分、残酷さは増す。
人の言葉に惑わされず生きるにはどうすればよいのか?
自分の気持ちの一番深い部分に在る想いに蓋をし、大切なものに目を瞑る事だけはやってはいけない。
自分に嘘をつくとどれほどの大きな贖罪を抱える事になるのか?
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レオがレミの母親に自分の【罪】を打ち明けたあとのシークエンスは本当に複雑だ。
息子と兄弟同然だった親友レオ…
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レミの母親の心境を思えばあの一連の言動は責められないし赦しと責めの狭間の葛藤が見事に描写されていると思う。
レオの顔を見れば辛く、でも「赦さなければいけない」と言う強迫観念じみた思いに囚われてしまうだろう【これから】を背負ってはいけなかったのだろう。
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最後、レオがレミの家を訪れるシーンはこの映画のラストとしては申し分無いものだと思った。
このラストにはとても複雑な感情が映し出されていて少年が対峙する現実の厳しさはもちろんだが他者の気持ちを受け入れ理解するという難題を突き付けたように感じた。
あの覗き込んだ窓からの情景で全ての気持ちが表されているのが素晴らしい!
余計な憶測などは差し込まずただただ当事者達の心境とその交錯を映し出す演出がジワジワと伝わる秀作。
そして自分が背負った贖罪とどう向き合い、乗り越えるか?
大人たちは何をし、どう対応すべきなのか?
正解など無いだろうが今作での描き方は感情としてリアルだと思った。
特にレオの兄の存在の意味が大きい。
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登場人物たちの心の機微が生々しく感じ取れる演出力、演技力の高さに驚いた。
なんだか公開初日に観終わってからずっと忘れられず頭の中をぐるぐるぐるぐるしてる。
こういう作品大好きだ。
レオ少年の風に消える様な「会いたい・・・」と言う言葉が胸に刺さる。
それにしても風景の美しさと少年達のコントラストが素晴らしい!
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