マガジンのカバー画像

映画感想2024

19
観た映画の羅列場
運営しているクリエイター

記事一覧

映画感想『マッドマックス:フュリオサ』

原題「FURIOSA: A MAD MAX SAGA」 前作の荒涼感、疾走感をそのままにあの世界観をまた体感出来るのは楽しい。 冒頭の物語性がかなり重要と感じた。 前作との違いは描かれる期間と目的。 今作はフュリオサの復讐劇に従事した15年間のストーリーだ。 凄いのは子役からアニャに「いつ切り替わった?」な所。 いやぁ、結果分かるんだけど分からんかったわぁ。(何だそれ!) そしてアニャにハズレ無しだと再確認されられる。 前作のS・セロンが素晴らしかっただけにプレッシ

映画感想『関心領域』

原題「THE ZONE OF INTEREST」 ※タイトルの「The Zone of Interest(関心領域)」は、第2次世界大戦中、ナチス親衛隊がポーランド・オシフィエンチム郊外にあるアウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表現するために使った言葉で、映画の中では強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む収容所の所長とその家族の暮らしを描いていく。 【人間は自分に都合の悪い事から如何に目を反らせられるか】 そこはプール付きの屋敷、近くには水遊びの

映画感想『帰って来た あぶない刑事』

作品そのものは次世代を担う若い監督のファンサービスとも取れるがプロットの甘さを感じてしまうのは私だけか? 始終中途半端さが目立つ。 めっちゃニュージーランドスルーだし(笑) 彼等の探偵としての活動ぶりがもう少しあっても良くないですかね? まぁ、さすがにニュージーランドロケは無理でしょうけど… 例えば迷い猫探しとかね❣️ だって2人とも「ネコちゃんどこ行ったのぉ〜」「何処かなぁ?隠れてないで出ておいで〜」とか言いながらノウハウ無しの行き当たりばったりで探し出しちゃいそうだか

映画感想『猿の惑星/キングダム』

原題「Kingdom of the Planet of the Apes」 「この世界は猿のものではない!」 いやいや、人間のものでもないですけどね。 CMでめちゃ流れてるけど違和感あるわぁ。 その逆に終盤のノアの台詞が印象的だ。 そして台詞で言えば劇中に使われるウィリアム・H・メイシーの「壊してもまた築くぞ」と言う言葉が非常に皮肉に映るラストだった。 人類が造った近代都市が猿に支配された年月で草木に覆われた世界が映し出された時脳裏に過ったのはコロナ感染で人々が姿を消し

映画感想『ゴジラ×コング 新たなる帝国』

原題「GODZILLA X KONG: THE NEW EMPIRE」 モスラの女王っぷりったら素晴らしく美しかったわぁ!! あの鱗粉なら浴びてもイイ~~~位にはねww やっぱ世の中女で回ってるじゃん!なんて思ったりしてさッ!(≖ᴗ≖ )ww 結構見応えもあってコングとゴジラの戦いも見せつつそれぞれの【居場所】と言うテーマをきちんと見せてくれたのには感心した。 でもピラミッドあんなに壊したらバチ当たらんかね? 前作でコングちゃんは自分の故郷に帰ったけどその後の展開として

映画感想『異人たち』

原題「ALL OF US STRANGERS」 原作は未読。 ドラマは何作か見たがこの作家の本を読んでみたいと思った事も無いので全く傾向も解らない。 古い付き合いである自称“昭和のゲイ”の親友はこの作品を観て「身につまされた」と言っていた。 彼が何を以ってそう感じたのかは解ってるつもりだ。 LGBTQを主張する声も多い今の世代には今作で描かれるクローゼット的要素は理解されない部分もあるかも知れない。 確かに家族を含め誰にも話せずひっそりと自分の性を隠し生きる主人公アダム

映画感想『オッペンハイマー』

原題「OPPENHEIMER」 冒頭、アインシュタインとオッペンハイマーの印象的な“密談”シーン。 印象的なアングルでこの2人の会話に疑問を持たせる。 そしてこの物語を締め括る“事の発端”がまさしくこの会話シーンだったと明かすまるで探偵ものの様なネタのばらし方。 シナリオ構成としては実に自分の好きな作家さんの作り方と似ていて嫌いじゃない。 今作は『オッペンハイマーと言う人間と原爆開発』『ルイス・ストローズの企て』『ストローズの議会公聴会招集』と言う3つのテーマが織り込ま

映画感想『DOGMAN ドッグマン』

原題「DOGMAN」 絶望的な人生を犬たちに助けられ人間より犬を愛し犬と意思疎通する男の話。 そして宗教を絡ませた背景に児童虐待、身体障碍、保護犬、女装家とマイノリティに寄り添ったアンチヒーローものだ。 観る前はリュック・ベッソンぽく無いのでは?と思ったけど観終わったらしっかりリュック・ベッソンだった。 今回の主人公は下半身麻痺と言うハンデを持ちながらも創意工夫で立ち回りを見せ、何処か『レオン』や『ニキータ』『ANNA』に通ずるものがある。 犬達を使って懲悪する姿はどこ

映画感想『犯罪都市 NO WAY OUT』

原題「THE ROUNDUP: NO WAY OUT」 ジャジャーン!いやぁ、パワーアップしてたねぇソクト兄貴! もうこうなったら『ゴジラvsコングvsソクト兄貴』みたいな? いや1人アベンジャーズとも言えるか。 身体はハルクだし筋肉スーツビルトアップさせる鉄人だし飛び道具無しの接近戦はキャプテンだしね。 このシリーズの勧善懲悪はいつ見ても気持ちイイ! 今作はヤンチャだけど善良な警察 対 汚職刑事 対 日本ヤクザの構図なんだが未だに日本のヤクザが刃物振り回してるっていう設

映画感想『落下の解剖学』

原題「仏 ANATOMIE D'UNE CHUTE/英 ANATOMY OF A FALL」 前半で問題提起し後半の法廷劇で魅せる。 監督でもあるジュスティーヌ・トリエとアルチュール・アラリコンビの脚本がとにかく冴え渡ってる。 このお二人、実生活でもパートナーという事で前作から引き続きの共同脚本なんだそうな。 物証が無く状況証拠のみでの裁判だが様々な事実が出てくる中、妻が夫を殺したのか否か?と裁判の行方は大きく揺さぶられ、最後の最後まで緊張感に満ちた仕上がりは見事。 が

映画感想『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』

もうなんだか決戦が始まる前の何度も観た研磨と翔陽の出会いでウルウルしちゃってね。 試合始まってからは心の中でいろいろメチャ叫んで、結果・・・泣いたww。 烏vs猫の戦いだが研磨と翔陽の個人戦でもある今作、ホント彼等の心情がよ~く表わされてて「やっぱハイキュー最高だな!」って思ったよ。 スクリーンならではの迫力あるカメラワークやアングル、絵のタッチ、アニメでしかできない息遣いなどどのシーンを取っても興奮のひとコマひとコマが成立してる。 特にクライマックスの研磨目線!ボールを

映画感想『ボーはおそれている』

原題「BEAU IS AFRAID」 最新作はホラーじゃなくてブラックホームコメディだったかぁ! 愛情を履き違えた母親の支配欲に縛られ何ひとつ自分で判断出来ないまま中年になってしまったボー。 そして祖父も父も腹上死だったと吹き込まれ未だ童貞で自己肯定感ゼロの不安症だ。 今作は、そんなボーがやむ無く外界へと走り出すロードムービーファンタジー。 人それぞれの内的世界などひとつの視点では測れない。 ましてや同じ事象に対する二者の見解の相違やその善悪をどうして第三者が判断出来

映画感想『Pearl パール』

原題「PEARL」 ミア・ゴス無双! いやぁ、今作の彼女は見事に演技が炸裂してた。 今作が前日譚となる同監督作『Ⅹエックス』は観てないがちょっと観たくなるくらいの傑作。 ホラーと言うカテゴリーでなかなか賞レースに上ってこなかったがいやぁ構成も映像も主演もかなり来てるわ。 要素としては・・・ 第一次世界大戦 スペイン風邪のパンデミック 田舎農場暮らしの閉塞感 清教徒的母親から成る不自由 全身不随な父親の介護 まるで抱えてる問題が現代と変わらないんですけど~。 いやい

映画感想『哀れなるものたち』

原題「POOR THINGS」 原作は1992年に出版だそうだがまさに“今”がタイミングの完成度高き現代の逸話。 こういうアート系の作品は理解されにくい部分はあるがこの物語は“女性そのものの歴史”と言ってイイのだろう。 或る経緯から成人女性の姿で赤ん坊の脳を組み込まれ物凄い速さで世の中を学習し知識を得ていくベラ。 先入観を持たない彼女は、何にも束縛されずに行動する。 その過程で成熟していく女性の生(性)と男権主義や格差社会の現実を見せつける展開は見事。 大胆な性描写