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石倉宙矢という詩人

石倉宙矢という詩人がいる 今回 石倉さんの
本を見つけていくつもの詩集と一緒にカートに
入れた 発行所は書いてあったが私家版のよう
に見える詩集だった 貶しているわけではなくて
単なる感想に過ぎない 帯がついていたが誰か
著名な人の推薦文をもらっているという訳では
ない

30年以上前のユリイカ ルイスキャロル特集
に石倉宙矢の投稿詩が載っていた 多分私も
投稿していたころの話で 石倉氏の詩にとても
感銘を受けた 建て替え という詩だった ぼく
ときみがいて やりとりのあったあの家が建て
替えになると僕と君もまっさらになるんだね と
いった内容のみずみずしくて少し苦くて 切なく
なるような詩だった たしかそれが氏の詩を目
にしたはじめだ 私がユリイカも現代詩手帖も
読まなくなった間に何度か本誌に作品を寄せて
いたようだ やはり 同時期に投稿していた
詩人で大学教授の福田拓也氏の詩書月評で近年
石倉氏の詩集が取り上げられているのを読んだ
福田氏も石倉氏の作品に関心を寄せていたの
ではないだろうか当時 そして今も

詩集の著者紹介を見たら私よりもずっと年上の
人だった そのころ私は大学でたて位の頃で
もちろん結婚などしていなかった 石倉氏は
何かで読み得たところ学校の先生をしている
という事だった 今回読んだ詩集の中で奥さん
とのけんかを描いた詩があったが それが実際
か創作かはともかく あの時若かったひょっとし
たら新婚だったかもしれない詩人は老境を描く
ようになり 子供たちも巣立って それでいて
なんとなく数十年前に読んだふたり という関係
の自分たちにしかわからない機微や 年月を
経ても積み重ねてきた思い出のみずみずしさ
やかけがえのなさ のような物を描いている
のだと思うといきなり若い頃に引き戻されたよ
うな 当事者 といっても私が一方的に石倉氏
を知っているだけだから当事者は私だけなの
だが 一人で勝手に切なくなったり 過ぎた時
間の長さに思いを馳せたり 氏がずっと詩を棄
てずに人生を生きてきたことなどを想像したり
詩以外の色々な思いを湧き上がらせられた
読書となった なんというか つまり 先方は
知らなかったとしてもこちらには思い出深く
感慨深い人物というのが長いこと生きている
といるものだなあ と感じたと同時に自分も誰か
他人にそんな存在になっていれば なんとなく
生きてきた甲斐があるのかもしれないなとさほ
どの期待もなく淡く思った

ちなみに 宙矢 というのは ちゅうや で中原中也
からとった筆名かもしれないと思っていたが
ときや と読むと初めて知った ふり仮名してあ
った 勝手にこちらの思いに寄せて好き勝手
書いてしまった 肝心の詩集にはほとんど触れも
せず




年末年始も通常投稿です どころか 投稿数増やしちゃう

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