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理学療法士に聞いて欲しい、遠藤謙さんのお話

前回、乙武義足プロジェクトのトークイベントに参加してきたお話を書きましたが、前々からこのプロジェクトに興味があった私。テクノロジーに興味を持ったのも、これがきっかけでした。

最初、義足の練習は「乙武さんのリハビリテーション」と捉えていましたが、リハノメ チャンネルで、乙武さんが

「いつか加齢で自分の足が弱ったとき、それを切り落としてロボットにすればいいじゃないか、と考える時代が来るかもしれない」

とお話されていたのを聞いて、「なにぃ!?」と戸惑ってしまいました。

私の対象のほとんどは高齢者。毎日のように筋力の強化に努めているのに、その足を切断することを選ばれてしまったら、私はどんな顔をすればいいんだろう。選択は個人の自由です。でも、「あなたが決めたことだから…」と簡単に割り切ることができるのでしょうか?ふさわしい価値観で受け止められるのか、それ以前に、そんな時代が来てしまったら、私たち理学療法士は、必要とされるのでしょうか?

そんな懸念を抱きつつも、実際に乙武さんが歩いているのを見たとき、歩いているご本人はもちろんなのですが、「この壮大なプロジェクトをやろう!」って言い出したのは一体どんな人なんだろう?という興味が湧きました。そうして調べていくと、義足エンジニアの遠藤謙さん(@kenendoという方に辿り着きました。

遠藤さんは、ロボット義足やパラリンピックで使用される競技用義足などの開発に取り組むエンジニアです。他にも、発展途上国に出向いて義肢を製作・普及するなど幅広くご活躍されています。

Twitterをフォローした途端、私は遠藤さんのファンになりました。医療と異なった領域から、障害に対して真剣に考えている人がいる!と感動したのはもちろんです。でも、話の切り口や視点の鋭さはおそらく職種の違いだけではなく、遠藤さん自身の人となりによるものなのではないか、と。

遠藤さんは、元々は二足歩行ロボットの研究者だったそうですが、高校時代の友人が骨肉腫により義足ユーザーとなったことをきっかけに、「本当に人のためになる研究がしたい」と考えるように。ちょうどその時期に自身も義足ユーザーであり、ロッククライマーでもあるMITのヒュー・ハー教授と出会い、義足の研究を始めたそうです。

あの落合陽一さんが代表を務めるxDiversityのプロジェクトメンバーでもあるそうで、実は私、こちらのイベントにも伺ってきました。

シンポジウムでは乙武義足プロジェクトのお話も。その中で、遠藤さんが紹介されていたヒュー・ハー教授の言葉がこちらです。

There is no such a thing as disabled person. There is only physically disabled    technology.

「世の中には身体障害者はいない。ただ技術のほうに障害があるだけだ」

障害はグラデーションです。今はまだ、深い闇に覆われている障害(Disabled)の部分も、テクノロジーによって明るくしていけるのではないか、遠藤さんはそんな風に考えているんだそうです。

※写真の撮り方が下手くそで申し訳ありません…


遠藤さんのお話を聞いて、純粋に「かっこいいなぁ」と思いました。

私たち理学療法士は、対象となる方の身体をアップグレードさせることが一番の使命です。でも、限界ってあると思うんですよね。そんなことを素直に言ってしまったら、偉い人たちから怒られるんじゃないかと心配になります。だから、私のようなへっぽこは「受容」とか「目標の達成」とか、便利な言葉を使って逃げているんだなぁ、と後ろめたい気持ちがありました。でも、異なる分野の方から、こんな風に言われてしまうと、どうしても正面から向き合わざるを得ません。

おそらく、遠藤さんのようなエンジニアの方々の活躍は、純粋に障害のある方たちだけではなく、医療やリハビリテーションなど、あらゆる形で障害に伴走している、そんな職種の人間が抱える苦しみや葛藤までをも救っているのだろう、と思います(ご本人たちにそんなつもりはないかもしれませんが)。だからこそ、私たちは「今できること」を頑張らないといけないんだなぁ、と。逃げちゃダメですね。

遠藤さんについて、詳しい記事がありましたのよろしければ。TEDの動画は、とても勉強になります。


xDivercityのイベントに参加して、もっと多くのリハ職の方に遠藤さんの話を聞いてほしいな、と思いました。だから、前回の記事で書いた乙武義足プロジェクトのトークイベントに、たくさんの理学療法士の方が参加されていたのは、とても嬉しいことでした。

最後に、ミーハーな私はバッチリ写真も撮っていただいてあるので、自慢がてら載せておきます笑。

微力ながら、陰ながら、これからも応援しています!!!╰(*´︶`*)╯♡



読んでいただきありがとうございます。まだまだ修行中ですが、感想など教えていただけると嬉しいです。