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整形術後のEMS刺激が最強!!!


電気筋肉刺激 “Electrical Muscle Stimulation”EMSとは

 電気刺激を筋肉に与えて動かすことで、筋力トレーニングができる機器のことです。

EMSの効果

  1. 筋力の向上:EMSは筋肉を収縮させることで、筋力を向上させる効果があります。特に、通常の運動では鍛えにくい深層の筋肉(インナーマッスル)にも効果的です。

  2. リハビリテーション:怪我や手術後のリハビリテーションに利用され、動かすことが難しい筋肉に対しても、電気刺激により筋肉を動かすことができます。

  3. 血流の促進:筋肉の収縮と弛緩を繰り返すことで、血流が促進され、筋肉の回復や代謝の向上につながります。

  4. トレーニングの効率化:EMSは特定の筋肉に直接作用させることができるため、効率的に筋トレを行うことが可能です。また、他の活動をしながらでも使用できるため、時間を有効に活用できます。

  5. 怪我のリスク低減:重いウェイトを使用することなく筋肉を鍛えられるため、怪我のリスクが低減されます。

ただし、EMSを使用する際にはいくつかの注意点があります。例えば、過度な電気刺激は筋肉痛を引き起こす可能性があるため、出力レベルを徐々に上げていくことが推奨されます。また、皮膚へのやけどや水ぶくれを防ぐために、パッドの粘着力を確認し、必要に応じて交換することが大切です。感覚障害がある方には基本的に禁忌となっています。

EMSは正しく使用すれば、筋トレの効果を得ることができる便利なツールですが、実際の運動と組み合わせることで、より効果的なトレーニングが期待できます。

実体験

 膝関節に対する手術を受けた方は、大腿四頭筋の筋出力が低下している場合、EMSを使用することで膝の伸展筋力が改善されることがあります。

膝蓋骨骨折術後において
 急性期には、骨の癒合を促進するために、膝を伸ばす運動である大腿四頭筋を過度に収縮させないように注意します。これにより、大腿四頭筋の筋出力と筋力が低下することがあります。その結果、恐怖感や正しい力の入れ方がわからなくなり、膝を伸ばすことができない症例がしばしば見られます。EMSを使用すると、大腿四頭筋に刺激を与えて筋収縮を促し、膝を伸ばす際の力の入れ方を理解するのに役立ち、膝の伸展運動が改善されます。

ちなみに急性期に膝の伸展が積極的にできない理由は、
 膝蓋骨の骨折手術には、キルシュナー鋼線とテンションバンド配線法が用いられます。この方法の特徴は、膝を曲げることで膝蓋骨に圧力がかかり、骨の癒合を促進する点です。しかし、膝を伸ばす際に力を入れると、離開ストレスが生じるため、骨の癒合が不十分な段階での積極的な膝の伸展は治療を妨げる可能性があります。そのため、この時期には膝を曲げた状態での等尺性膝伸展運動が推奨されています。

文献

  1. リハビリテーションにおける電気刺激の応用: 電気刺激療法はリハビリテーションによく用いられる治療機器の一つです。手術後に力が抜けてしまった筋肉に対して、筋肉の萎縮予防目的に行われたりします。特に筋力低下が生じやすい整形外科疾患については、EMSが有効とされています。

  2. 電気刺激療法の適応と可能性: 電気刺激療法は物理療法の中でも長い歴史を持つ治療手段の一つであり、特に機能的電気刺激(FES)については中枢性下垂足に対する簡便な装置が利用できるようになり、装具としての効果「orthotic effects」だけでなく、機能改善効果「therapeutic effects」が認められています。

  3. 骨格筋電気刺激の実施頻度の違いが下肢の筋力トレーニングに及ぼす影響: 6週間のEMSの実施により週3群では筋厚、膝伸展筋力に有意な増加が認められ、その変化量は週5群と比較しても統計学的に有意な差は認められませんでした。これは、EMSは週3日という実施頻度でも十分に下肢の筋力トレーニングとしての効果が得られることを示しています。

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