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「メイカーズを支援するアルミ金型と小ロット成形町工場」(株)ミヨシ 杉山さん、機楽(株) 石渡さん

本記事は2014年に対談したものです。情報はその当時のものですので、ご了承ください。

MMS本編

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enmono 本日は株式会社ミヨシからお送りします。ミヨシの代表取締役 杉山さんです。そして今回は、ゲストがもう一人いらっしゃいます。機楽の代表取締役 石渡さんです。

杉山 よろしくお願いします。弊社はもともとプラスチック製品を一品製作していましたが、自動車部品などの試作品製作に携わるようになると「試作品だけれども数量がほしい」というような要望があり、少量生産をするようになっていきました。また、設計担当者から「金型製作をして製品を検証したくてもコストがかかる」と相談されると、安価で早く少量生産できる方法を模索しました。1983年にはアルミ合金を開発しているメーカーさんと一緒に、アルミで金型を作る研究を始めました。

enmono それは、お父様が社長だった頃ですね。

杉山 そうです。その当時は、「アルミで作った金型は金型じゃない」と言われる事もあったようです。論文もいくつか出し、1988年頃には金型専門誌に掲載され、認知されるようになりました。30年以上前から取り組んでいるアルミ金型には自信があります。現在は量産金型製作はもちろん、用途によってアルミ金型を製作しています。

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enmono お父様、チャレンジャーですね。杉山さんはメーカーズの方達と一緒にモノづくりをされていますよね。クラウドファンディングサイトのKickstarterで話題なっているプロジェクトを「すごいな」と思いながら見ていたら、知っているミヨシさんのお名前が出ていて驚きました。そのプロジェクトを企画したのが石渡さんです。機楽さんはどのようなお仕事をされているのですか?

石渡 主に大企業の製品の、企画開発設計の受託設計や受託開発をしています。テクノロジーとクリエイティブの両方が求められる仕事が得意です。「企画書だけでは予算取りできないので実際に動くタイプのプロトタイプを作りたい」とか、「新しいコンセプトを実現するためにどういう仕様にすれば良いか」という相談をいただきます。

enmono Kickstarterで資金調達されたのが、こちらのロボットですね。

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石渡 RAPIROという、自分で組み立てるロボットキットです。

enmono RAPIROのボディは、ミヨシさんの方で金型を製作されたそうですね。

石渡 プラスチックの筐体部分の製造を全てお願いしました。

enmono かなりパーツがありますね。外観も合わせも綺麗です。

杉山 削ったままだと表面がかなり粗かったので、デザインをきちんと生かせるところまでずっと磨いていました。合わせについては石渡さんのこだわりもあって、きっちり合うように調整しました。

石渡 小ロットの場合は国内の工場にお願いするのですが、RAPIROは3000個を予定していて、海外と国内どちらにするか考えました。こういったものを製造しているのは玩具の工場です。桁が何万個と出るような玩具をやっているところに「3000個作りたいんですけれども」とお願いするのは無理な話なので、作った経験がない工場に初めての挑戦をしていただくことになります。パーツ数も多く合わせが必要だし、コミュニケーションの問題と職人気質の問題で、「日本じゃないと無理だな」と。

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杉山 いつもは電子部品などの開発品が多く、初めての挑戦でした。

enmono 国内の工場の中でも、ミヨシさんにお願いされた理由はありますか?

石渡 他の会社さんに、「その数量だと金額的にミヨシさんの方がいいよ」と教えていただきました。見積ではなく相談程度ですが、私が考えている予算感で可能なものなのかというところの確認は、何社かさせていただいたのです。

杉山 石渡さんとはデザインフェスタの打ち上げでお会いした事があって、その時は名刺交換だけでしたよね。2012年の12月にRAPIROのお話があり、2013年の頭にデータを見せてもらいました。

enmono その時、このようなモデリングが出来ていたのでしょうか?

杉山 そうです。でも、これとは全然違います。

石渡 見た目で2パターン作って、どちらが良いかヒアリングしました。

enmono RAPIROの企画を聞いた時、どう感じましたか?

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杉山 「これはいける」と思いました。細かい部分のアドバイスだけで製造できるくらい、筐体設計の完成度が高かったです。玩具ではない、「プログラミングなどの学習ができる」というコンセプトも面白いと思いました。ただ、クラウドファンディングに掲載したことで製造にどれくらいの期間がかかるか、スピード感がどこまで保てるかという不安はありました。

石渡 量産にあたって設計を変更しなければならないのに、プロモーションや他の仕事もあったりして修正が遅れたり、RAPIROとは別の仕事も試作量産をミヨシさんにお願いしてしまいました。ミヨシさんでなければこの企画は実現しなかったです。

enmono クラウドファンディングで、どれくらい資金調達できました? Kickstarterのハードウェアカテゴリーの中では、日本から出して初めて成功した事例だそうですね。

石渡 Kickstarterは当時の為替で約1150万円、Makuakeは569万円です。

enmono 杉山さんは何がきっかけで、メーカーズのような人達とモノづくりをするようになったのですか?

杉山 以前から年に数回、個人で開発をしている方から「こういうモノをつくりたい」とホームページから問い合わせがあるのですが、アイデアはすごく良いのです。「もしかすると、世の中に出て活躍できるのでは」と思えるものは、私達の技術で協力できることがあれば一押ししたいと感じました。Resiinaの場合は、デザイナーズ集団のブランチさんと渋谷のヒカリエで展示した際、私が持っていたサンプルを「もう少し良い形にしないか」となって。企画や販売はブランチさんにやっていただきました。

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enmono 板チョコレートの形ですね。RとCの二種類ありますが。

杉山 Rは角R、CはC面の大きさを比較したサンプルです。デザイナーやエンジニアを目指す学生さんにも気軽に使っていただけるような商品です。受注生産ではないモノづくりは、これが初めてでした。

enmono こちらの基板も、かなり売れていると聞いています。

杉山 キビテクさんのビスケットボードという商品です。

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石渡 既存のブレッドボードは片側しか使えません。この商品は穴が貫通していて、両面から部品を挿すことができるのが良いですね。

杉山 隅にはレゴブロックに取り付けられる穴があります。ピンも多いですし細かくて、これもお話があった時に「大変そうだな」と思いました。

enmono 「メーカーズ」が流行言葉になっていて、初心者に近い方からの相談も増えてくると思いますが、どのような方だったら協力可能ですか?

杉山 私達も仕事としてやる以上は、売れて多くの人に使ってもらえるようになってほしいので、製造後の具体的なイメージがある方。また、そのアイデアがこれからの世の中に必要か。私が良い悪いを判断するというよりは、一緒にできるかどうかを判断します。石渡さんのようなコスト感覚も持っていてほしいです。

石渡 自分で調べられる部分は調べて、見積もある程度こちらで計算しました。

杉山 技術に自信がある会社さんの中には、一見さんを嫌うところもあると思います。「どうしてもここにお願いしたい」というところを見つけたら、誠意を持って、諦めずにアタックしてください。

enmono 今後、町工場とメーカーズが一層、連携していった方が良いと思われますか?

杉山 お互いの環境が全然違うのでいきなりは難しいかも知れませんが、ネットが流通している時代ですから、歩み寄っていけたらいいですね。作ったモノが最終的にはゴミになるのではなく、環境のことも考えて一緒にモノづくりができると嬉しいです。

石渡 RAPIROのモーターは中国製で、世界の工場が繋がって一つの製品が出来上がっています。日本の中だけでモノづくりをする時代ではなくなっていますから、世界の中で自分のポジションを把握する事が大事だと思っています。自分は何が出来て何が出来ないのか。もっとグローバルに、それぞれの特徴が組み合わさるとどのような活動が生まれるのかを考えていけると、面白いのではないでしょうか。

enmono ありがとうございました。

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▶対談動画

▶杉山さんFACEBOOK

https://www.facebook.com/kouji.sugiyama

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▶株式会社ミヨシWEBサイト

http://www.miyoshi-mf.co.jp/

▶機楽株式会社WEBサイト

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