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第28回MMS(2012/02/10対談)「イメージスケッチと寸分違わぬ試作車~格好悪いネクタイしてるくせに!」znug design,inc 根津孝太さん

本記事は2012年に対談したものです。情報はその当時のものですので、ご了承ください。

HPより引用

ものづくりにたずさわる人と人、ものづくりのプロセスとプロセスを「ツナグ」 znug design (ツナグデザイン) の「ツナグ」は、「人」と「しごと」の両方をつなぎたいという想いでつけています。分断された組織やプロセスをツナグことによりチームを活性化し、限られたリソーセスの中でのアウトプットを最大化します。

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根津さんは、千葉大学で工業デザインを学び、トヨタに入社された。代表作は、愛地球博のi-unitというパーソナルコミューターという一人乗りの移動ユニットである。サラリーマンではあったけれど、夏休みを通して製作に当って完成させた。その後、2005年に独立した。

「町工場から世界へ!」という想いをいつしか抱き、デザイン活動を続けている。

■ 電動ローライダー「zecOO(ゼクー)」

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スケッチを描き上げて、そのまま3Dモデルを作り、そのままの形を実現するべく一気に走り続けた。自分がデザインしたものを、作ってもらえる仲間を自分で探し出して、共に力を合わせて作るから、こういうことも可能なのである。意気投合するプロフェッショナルなパートナー同士は、お互いの専門領域の裏付けがある適当、とも言える、直感(根津さんによると右脳と左脳の統合感覚)によって以心伝心でものづくりが進められ、あっという間に実現化してしまう。このスピード感がマイクロモノづくりである。

どうしても実現したいという思いがあるから、自分にできないこともどんどん異分野のプロとコミュニケーションを取り、自身のプロフェッショナル領域と融合させて、実現化させる。思い込みとも言える具体的な思い、これが推進力となる。

zecOOのイメージスケッチをオートスタッフ末広の中村社長に送ったメールに対する返信に

”根津さん かっこいい! 完成しますよ。 未来を感じますね!やる気がもっと出ました! 頑張りましょう!寸法は後で教えて下さいね。 取り急ぎ。”

という熱い興奮の言葉が並んでいた。

これは、デザイナーの熱い思いがプロフェッショナルのパートナーに伝わったことが実感できた瞬間である。「デザイナーの出来る仕事ってそれじゃないの」という言葉にあるように、細かいことは後にして、想いが伝えられるということ、これがデザイナーの出来る仕事なのだと主張されている。

結果根津さんのイメージスケッチと寸分たがわぬzecOOが仕上がってくるのである。

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根津さんの分身ともいえる電動バイクzecOO

根津さんは自分がほんとに欲しい電動バイク、zecOOを作り上げた。これを作れば儲かるからという理由ではなく、もっと根源的で本当に自分が欲しいものをつくりたいという想いがあったからである。しかし、思い切り主観的でビジネスの合理性だけでは絶対に成立しない手法である。しかも思いを共有できるパートナーと巡りあえてである。頭で考えて論理的に整理しては実現できないものであるからこそ、感動するのだと思う。こういう部分をなくしているから大企業は元気が無いのではないだろうかというのが、enmonoがマイクロモノづくりを提唱し普及しようとしている理由である。

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お金では買えない価値というのは無数にある。等価交換では得られない喜び、貨幣経済が生み出される以前の世界ではそのような贈与経済の原理で動いていたらしい。古い懐かしいその価値観を、今の時代、そしてこれからの時代、もっともっと求められるのだろうと思う。モノづくりに手弁当で参加して、お金や自分の時間をつぎ込むことで、得られるものを求めて、いわゆる”MAKERS"たちが増えてくるはずである。

消費するライフスタイルから生産に関わるライフスタイルに転換してきている。そこでは、まず与えるからスタートする、贈与経済の概念に戻ってきているのだろうと思う。一周して元に戻って一つ階段を上がっている、そのような進化を遂げ始めているのだろう。マイクロモノづくりはその一助となる考え方である。ぜひ実践してみてほしい。

対談続編(2016年)

​対談動画

根津さんFACEBOOK

このストーリーは、enmonoの著書
マイクロモノづくりはじめよう
~「やりたい! 」をビジネスにする産業論~

に詳しく書かれています。

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