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「70歳のサバイバル発明家”が開発した太陽光発電装置 製品化に向けクラウドファンディングをスタート」 サバイバル発明家 野下剛志さん

本記事は2016年に対談したものです。情報はその当時のものですので、ご了承ください。

●enmonoとの出会い

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enmono三木 はい、ということで第134回マイクロモノづくりストリーミング本日も始まりました。皆さんお元気ですか!? 本日はサバイバル発明家の野下さんのところへお邪魔しまして、今取り組まれています「ベランダdeソーラー」という太陽光発電装置について色々と伺っていきたいと思います。野下さん、本日はよろしくお願いします。

野下 よろしくお願いします。

三木 野下さんと我々の出会いは何年前くらいでしたっけ?

野下 一昨年(2014年)の11月か12月。

三木 セミナーの方に来ていただいたんですよね。どういうきっかけで?

野下 zenschoolの発表会があるということで誘いを受けて行ったのがきっかけです。

三木 その時どういう感覚を得ましたか?

野下 みんなどうやってこのプロジェクトを支援/応援してやろうかという気持ちが出ていたので、「あ、これはいいな」と感じました。

三木 野下さんがどういう人生を歩まれてきたのか、簡単にご紹介願えますか?

野下 私はとにかく直行型で。あまり先を考えない形で今まで来たもんですから、かなり無駄な回り道をしています。正職にしてもアルバイトにしても随分たくさん、人以上にやっています。

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三木 すごくいい身体をされてますが、鍛えるのはいつからやってらっしゃるんですか?

野下 これはもう古いです。空手やってる時くらいから。一時10年ほど休んだけど、またやり直して。

三木 ボディビル?

野下 ウェイトトレーニングのボディメイキングです。

三木 今も現役で?

野下 現役でやってます。週2回~3回。1回あたり2時間~3時間やります。

三木 こういうのやるんですか?(ベンチプレスのゼスチャー)

野下 スクワットからベンチプレスから色々やります。もう高校生大学生には絶対負けないくらい。

三木 70歳にしてこの身体でございます。

野下 それは、普通にやればこうなります。根気よくやれば。

三木 関節とか故障しないですか?

野下 ギリギリまでやります。今まで故障したことは何回もあります。

三木 腰とかは?

野下 腰もあります。だから注意します。もうわかるから。例えばピクッと来たらもうやめる。絶対やめる。という風に症状がわかるから、その前にやめちゃいます。随分それで何ヶ月もできないというのがあったから。反省して。だから長くやれるのかもわからないです。

三木 今回はソーラーパネル発電なんですけども、こういう発明はいつ頃から取り組まれてるんですか?

野下 30歳前後からですね。

三木 そういうのは昔から趣味で?

野下 趣味というよりは考えるのが好きなのかもしれない。考えて、どうやって自分の欲しいものを作るか、そういうプロセスが好きなのかと。今回のベランダdeソーラーも自分が欲しい、集合住宅でなんとかして環境に優しい電力を少しでも使ってテレビを見たいと、そういうことから始まった。

●「ベランダdeソーラー」で緊急時にも安心な非常用電源を

三木 ちょうど今ベランダdeソーラーという名前が出たので、実物で簡単に説明をしていただきたいと思います。

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野下 集合住宅では「ソーラーパネルをつけたい」となると色々問題があります。大家さんや組合が外観上の問題でつけるなとか、台風が来た時に飛んだらどうするんだと、そういう形で非常に制約があると聞きました。それじゃウチもこれをつける時に言われるなと思って、それを回避する方法を色々考えたんです。
野下 外に出していて文句を言われたら見えなくすればいい。こういう形にしたら(スライダーでパネルをベランダの内側に引っこませた)下から見たらなにがあるかわからない。土台しか見えない。これで固定すればいいわけです。それでもお日様はかかるので。

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三木 もうちょっと強めに(集光)したい場合は前に出せば……。

野下 こうすればいいんです(エクステンションフレームからパネル支持腕を伸ばし、パネルをベランダの外側に出す)。影がなかったら同じような太陽光が内側にも来ますので、外側に出さなくてもいいんですけど。台風が来るとわかった時にどうするか。こうして……(パネル支持腕を元に戻しパネルをベランダの内側に引っこませて、ボルトを緩めている)。

三木 なんか外れる感じになってるんですか?

enmono宇都宮 まだ試作品でワンタッチではないです。

野下 これで脚を下ろすと、もう家の中に収納されてしまいます(ベランダ内側に折りたたまれた状態)。

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野下 これのいいところは掃除がしやすい。屋根に置いた場合は掃除ができないです。あとは満月の日などは(パネルを水平にすると)ナイトテーブルになります。ここにワインとか食事とかフルーツとか置いて、満月を眺めて。本当にいいものです。

三木 ナイトテーブル好きですね。

野下 これは冗談で言ったんだけどみんなあまりにも反応がいいので。

三木 フルーツを置いてワインを飲むと。

野下 こうするのは簡単だから、緩めて2~3分でこう言う形になるので。

三木 この辺(可動部分)は改良されるつもりですか?

野下 ここはもう次の製図はできていますので。これは動作実証モデルです。もっとスムーズに、もっと頑丈に、もっとかっこよくなります。

三木 わかりました。ありがとうございます。実際に今回クラウドファンディングでやっているモデルはこのパネルより大きいんでしたっけ?

野下 ええ、これは50ワットです。今度のやつは2倍の100ワットです。

三木 100ワットの太陽光パネルでどのくらいの充電ができるんですか?

野下 それはよく聞かれるんですけど、天気は晴れたり曇ったり雨になります。だから定量を示すことが難しいですが、発電した電気はシステムの中のバッテリーに充電します。これは非常にでかいバッテリーです。100アンペア/hというのは魚釣りの電動モーター、ボートに使われているようなものです。
野下 ちなみに100ボルトのインバーターで32インチのLCDのテレビを動かしたら28時間動きました。ほかの会社のデータでは500リッターの5ドア冷蔵庫が35時間動いたというデータがあります。ということで停電になってもそれだけ動けば次の再給電(電気が戻ってくる)まで充分使えるということです。

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野下 それからこれはMPPTといって非常に高機能な充電器を使ってるんです。普通のPWL充電器っていうのは充電可能な電圧域が決まっていて、例えば天候悪化などで発電量が足りずに電圧が落ちると充電してくれません。
野下 ところがMPPTっていうのは電圧が落ちてもブーストしてくれるんです。なので朝PWLだったら充電状態にならない時でも、MPPTは充電してくれるんです。

三木 高機能なバッテリーなんですね。

野下 こちらは家庭の中に入れるインバーターです。これも特殊なインバーターです。(ACケーブルを持って)こちらはコンセントに入れます。それから本体にあるコンセントは冷蔵庫やテレビから挿します。こうして充電してきたバッテリーは直流がこのインバーターに入ります。ここから100ボルトが出ます。
野下 それで特殊な回路なんですが、これは電力使用時にソーラー発電を優先します。だから昼間ガンガンやってる時はソーラー発電を使う。冷蔵庫とテレビを同時に使っている場合は電力量が足りなくなることがあります。そういう時はこっちのバッテリーを使います。
野下 バッテリーが80%くらいに落ちたら今度は自動的にコンセント(家庭の通常電源)に切り換えます。なぜ切り換えるかと言ったら、これは停電の時に使えなければ意味がないんです。停電の時に空っぽでないように80%で切り換えます。

三木 停電の時はどういう風に使えばいいんですか?

野下 停電の時はこれだけです(インバーターのダイヤルを回す)。この設定で3時間使えます。もしくは完全にここまで回してしまえば、バッテリーがなくなるまで使えます。

三木 停電時に自動切り替えになるようにしなかったのは理由があるんですか?

野下 自動切り替えにはコストがかかります。それから意識がなくなっちゃいますから(設定可能だということを忘れてしまう、という意味だと思われます)。停電なんて滅多にありませんから、自動機能にお金を使うことはないと思います。それよりもほかの機能にお金をかける方が。

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三木 今回のクラウドファンディングではこの倍の大きさのパネルと取り付け金具と……。

野下 バッテリーとバッテリーボックスとMPPTの充電器とインバーター、あとはケーブルがつきます。

三木 取り付けをやっていただけるバージョンと、無しバージョンがあるんですよね。

野下 無しがあります。関東一円だったら私が行って取りつけます。ですから2時間くらいで、お客様はなにも手を汚さずに設置完了となります。

三木 取りつけていただけるのがいくらでしたっけ?

野下 158,000円ですが、クラウドファンディングではそれより安くします。事前予約で。

※ クラウドファンディングでは先行注文割引となり、
遠隔地等 ベランダdeソーラー 一式(取付はご自身で。マニュアル/指導あり) ¥108,000。
関東一円 ベランダdeソーラー 一式(取付まで込み)で¥126,000。
上記¥158,000は取付込みの市販価格。

三木 かなりガッチリしたバッテリーなのでかなり安心感がありますね。

野下 この前のフェアで色々な人に聞いたけども、値段が安いっていうんですよ。

三木 バッテリーの性能が高いと思っているのかもしれないですね。

野下 MPPTもご存じの方はこれだけで5~6万するとわかりますから。

宇都宮 パネルも大きいやつですもんね。

野下 それとなんといってもこの取り付け金具。これはどこにもない。物干し台のフェンスにでも、どんな形の形式でも合うように設計しました。

三木 なるほど、楽しみですね。このベランダdeソーラーという名前はどういうところから思いつかれたんですか?

野下 なんでしょうね。ひょんと思いついて。ベランダでソーラーつけられればいいなと。じゃあ「で」の字は英文字の「de」でいけるんじゃないか。かっこいいんじゃないか。読みやすいし、そのものだし。ということでそれにしました。

三木 この製品を思いつかれたきっかけはあるんですか?

野下 前から欲しかったですね。zenschoolの前から、私は電動アシスト自転車でトレーラーを牽いてました。その後ろ側のトレーラーの方にソーラーパネルをつけて、走行中充電して夜はテレビを見たりパソコンやったりという形でやってましたから、ソーラーに対してものすごく、どこでも使ってみたい、欲しいという気持ちがあったんです。結構ワクワクするんですよ。今日はお日様がよく出ていて充電してくれるなと、なんか得した気持ちもありますし、環境に優しいものを使いたいという気持ちもあります。

三木 これはなにか特許みたいなのは取られているんですか?

野下 去年の7月に特許を申請しました。

三木 じゃあ安心ですね。

野下 はい。

三木 ありがとうございました。では戻っていただいて……。

●実物をご覧になりたい方はぜひ秘密基地まで

三木 今日お邪魔している場所なんですが、ここはどういうような場所なんでしょうか?

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野下 これは私の秘密倉庫、隠れ家です。

三木 どういう隠れ家なんですか?

野下 一生の想い出の品物というかガラクタが詰まっています。どこになにがあるかわからないくらいゴチャゴチャあります。いずれ始末しなくちゃならないものもたくさんあるし、ここでベランダdeソーラーも開発しました。

三木 じゃあここで量産もやるつもりですか?

野下 はい。充分です。さっき言ったトレーラーもここで組み立てました。

三木 ベランダdeソーラーの実物をご覧になりたい方はぜひこちらの方まで。

宇都宮 秘密基地なのでなかなか辿り着けないかもしれません(笑)。野下さんにちゃんと道順聞かないと。

三木 ぜひこちらの方までお越しいただければと思います。

三木 ベランダdeソーラーを量産するにあたり、どういうことが今課題になっていますか? 技術的な課題ですとか。

野下 技術的な課題は全部クリアしました。あとは専門家に量産品を作るにあたっての注意とか、ここはこうした方がいいといったアドバイスを受けて、もっと洗練されたものになればいいと思います。

三木 製品の完成度を上げるということですね。

野下 そうです。使う人が家庭の奥さんだから、そこに対してフレンドリーなデザインにもできればいいかなと思います。

三木 あとは電気なんとかの認証みたいのも申請取得するというのは――。

野下 皆さんから支援していただいたお金は、家庭用電気機器の安全性に対する試験というか認証がありますので、それに対する支払いに充てたいと思います。

●70歳とは思えない肉体のサバイバル発明家

三木 我々は勝手に野下さんのことをサバイバル発明家とお呼びしているんですが、そのサバイバル発明家という名前はいかがですか?

野下 最初はびっくりしました。だけど、相手に対するインパクトが強烈なので。

宇都宮 名刺を出すと……。

野下 必ず言ってきます。「サバイバル発明家……なんですか?」と。ですから使わせていただくことにしました。

野下 宇都宮さんからサバイバル発明家という肩書きをつけたらどうかと言われたので名刺に入れたんですけど、今ではちょっと気に入ってます。インパクトがあって相手の中に残るなということで。

宇都宮 実際サバイバル活動っていうのは関心がおありなんですよね。

野下 ものすごくあります。

三木 どういうところでサバイバル活動されているんですか?

野下 アウトドア。最低限のものしかないところで、どうやって工夫して生きていくか、生活していくかということを考えるのが面白いです。(必要なものを)忘れてきたらなにかで都合する。ないところでほかのものを使う。それで生き延びる、というのは非常に面白いですね。自分は今まで経済的にも人生的にもサバイバルでやってきました。本当に人生サバイバルだと思います。

三木 野下さんを見ていると命さえあればなんとかなるんだなとわかるようになってきました。生きていればなんとかなる。そういう生き方が70歳の発明家を生んだと。

野下 70歳なんて言わないでください。僕はトレーニングジムへ行ったら、みんなから50歳か55歳くらいだって言われるので、「ああ、そう思ってください」と言ってます。20歳から30歳の頃は50歳なんて僕はとてつもなくオジイだと思っていた。

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三木 ちょうど年齢の話が出てしまったので、日本のほかの70歳の方々にエールをお願いしたいんですけど。

宇都宮 同級生に会うことはあるんですか?

野下 あります。みんな棺桶に片足突っこんでます。両足突っこんでる人もいるし。もう話すことは死ぬことと葬式の話とか。誰々が死んだとか病気の話しか出てこない。だから滅入っちゃいます。

宇都宮 発明の話をしたらいいんじゃないですか?

三木 私は今こんなの発明していますとかね。

野下 あまりピンとこないと思います。それよりもジムで若い子と話している方がもっと面白い。もっと話が合うし。みんな身体を見てリスペクトしてくれるし。顔と身体の釣り合いが合わないから、みんな僕に歳を聞く。顔はどう見ても60歳、だけど身体はどう見ても20~30歳。

三木 20~30歳(笑)。

野下 ええ。(同世代に向けて)言いたいことは長く続ければみんなこうなる。自分の歳は考えない方がいいかもわからない。この歳だからこういう形でやるっていう風に考えない方がいいかもしれない。

三木 継続が力。

野下 そうですね。

宇都宮 僕らも50歳――アラフィフなんで。でも同年代の人たちとなかなか話が合わないんですよね。

三木 はい、全然合いません。間違いないです。

野下 歳を言ってしまったらみんなステレオタイプで見るんですよ。70歳、こういうタイプ。もうよぼよぼでどうしようもない。そういう印象だから歳を言いたくない。

三木 でもプレスリリースしちゃいましたからね。

野下 ああ~。バレちゃったなぁ。

宇都宮 アレは嘘ですと。

野下 (笑)。

●日本のマイクロモノづくりの未来

三木 最後に皆さんにお伺いしている共通の質問があるんですが、野下さんが考える日本の○○の未来。○○の中は自分で入れていただいてもいいんですけど。発明でもいいですし。

宇都宮 サバイバルでもいいし。

野下 僕も……マイクロモノづくりかなぁ。自分で企画して自分で作って最終製品まで持っていく中で、相談したメーカー、町工場が意外と閉鎖的で、彼らはあんまりオープンマインドではないと感じました。確かに専門分野に対して深い見識は持っているんだけど、どうもそこから外れた切り口からは見られないというところがあるみたい。

野下 だからもう少し一般人の興味に近づいて、自分が欲しいものから始めてやってみた方がいいんじゃないかな。特別な技能っていうのは、お客さんにはわからない。お客さんは自分が欲しいものがそこにあるかどうかで見ている気がする。なぜそう考えたかというと、僕自身もこの前のフェアで色々説明している時に、それが出てしまったからです。

三木 どういうところが?

野下 「これはこういうところがあります」という形で説明したんだけど、よく考えたらお客さんの欲しいところから話をしなくちゃいけない。「これでどういうものが動かせますか」とか「どういう得がありますか」というところから話をしないと。

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野下 それとモノづくりするにあたって、相談できる仲間はものすごく大事です。

三木 zenschoolを受講して仲間はできましたか?

野下 できました。非常に助かりました。親身に考えていただいて。

宇都宮 野口さんとか。

野下 野口さんはもうありがたかった。

三木 あと我々とか。

野下 はい、本当に。友達に話してもピンとこない、わかってもらえない。当たり前の話だけども。こういうものを作りたいんだけど、という話をしても伝わらない。それに対するアドバイスもないし。そういうことでzenmonoでアドバイスをいただいて、なんとか形にして売るところまで持ってこられたのはすごいことです。去年の3月ですか、僕。

宇都宮 5月が発表会でした。

三木 そうか、じゃあ1年ちょっとくらいか。

野下 その時は影も形もなにもなかった。

三木 なにもないところからここまで来ました! イエス!

野下 イエス!

一同 (笑)

野下 なんにもなかったでしょう?

三木 影も形もございませんでした。動画を作るのもすごい苦労して。

野下 言いたくないけど、すべて初めてです。絵を描くのも初めて。CADも初めて。金ヤスリかけるのも初めて。穴開けも初めて。溶接するのも初めて。それを頼んだら高くなるから、お金がないとわかっているから、全部自分でやります。わからないところは教えてもらったり、ということで身につくものが多かったです。本当に。

三木 野下さんの「70歳のサバイバル発明家が産み出した太陽光発電装置 ベランダdeソーラー」こちら我々のクラウドファンディングで絶賛支援募集中ですので、ぜひzenmonoのサイトをご覧いただいてご支援いただければと思います。
三木 お話は尽きないのですがそろそろ時間の方が来てしまったので、これにて終了したいと思います。野下さん、今日はありがとうございました。

野下 ありがとうございました。

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