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アナフィラキシーを体験した話

 新型コロナワクチンの副反応として度々話題に出されるアナフィラキシーだが、過去に一度体験したことがあるので、当時の記憶をまとめておくことにした。

当時の記憶

 10年程前のある日、家で彼女と一緒に晩御飯を作り、食べていたところ、急に吐き気がして、トイレに駆け込んだ。

 何が起きているのかわからなかったので、すぐに食事に戻った。しかし、また5分程で再度、トイレに駆け込んで嘔吐した。

さすがに、食べているものの中に、体が受け付けていないものがあるとわかった。

(何だろう!?体調悪いのかな!?俺だけ!?なんで彼女は平気!?)


間もなく異変が。顔や体に発疹がでてきたのだ。目も痒くなってきた。喉にも違和感があった。

彼女「大丈夫?ヤバいんじゃない?」

俺 「ちょっとだけだから、大丈夫でしょ。この前、親父も鯖かなんか食ったときに発疹出て、少ししたら消えたって言ってた。何か他のもの食べようかな」


じわじわと発疹の数は増え、その一つ一つも大きくなってきた。もともと喘息持ちだったからか、気管支炎にもなってきているのがわかった。

彼女「大丈夫?ヤバくない?救急行ったほうがいいんじゃない?」

俺 「行った方がいいかなぁ。一時的で、大丈夫な気もするんだけどなー。どうしようかなー」


症状は、どんどん悪化していた。
彼女が、近くの救急を受け付けている病院を探してくれたので、そこへ向かった。(杉並区某所)病院についた頃には、顔はボコボコで、呼吸は酷い喘息の発作のようだった。


 このときの顔は写真に撮ってあるが、ひどすぎてお見せることができない。ウィル・スミス主演の映画「HITCH」内で、エビの食物アレルギーが発症したシーンがあるが、まさにそんな感じだった。


 病院に着いた。院内は、受付の照明だけで薄暗かった。医師がまだ来ていないらしく、待合室で待つことになった。その間もどんどん症状は悪化し、刻々と苦しさは増していた。

(ヤバい!苦しい!!このまま気管支が狭まっていったら息できなくて倒れる可能性あるぞ!)


しばらくして、医師が到着した。動きづらそうな程、太っていた。デフォルトで息遣いが荒そうだ。
 昔、凄く太った息遣いが荒い歯医者に、汗だくの素手で治療された恐怖が頭をよぎった。

急に呼ばれて不機嫌なのか、面倒くさそうな表情をしていた。

医師「どうされましたー?」

俺 「(ゼーゼー)た、たぶん(ゴホッ)、食物アレルギー(ゴホッ)だと思うんですけど、ごはん食べてたら(ゼー)、きゅ、急に症状出てきました。(ゼーゼー)」

医師「あー、アレルギーだねー。点滴出すねー、発疹とかは数日で消えると思うよ」


なんとも軽い感じではあったが、そんなことはどうでも良かった。応対してくれただけでありがたい。とにかく早く点滴打って、呼吸を楽にしたかった。

看護士「点滴打つのでこちらどうぞー」

別の部屋に案内された。

(ん?ここ?)

 部屋にはベットが一応あったが、雑多な倉庫のようだった。今までそんな部屋で処置された経験がなかったから少し不安を覚えたが、それどこではなかった。とにかく早く点滴を始めたかった。

どういうわけか、点滴や注射を打つときの腕を置く台がなかった。

(普段、どうしているんだ?)

というわけで、ベットに片膝を立てて座り、その膝の上に破れたクッションを置いて、その上に腕を伸ばして点滴するという生涯で一度であろう経験をした。サバイバルだ。

(こんなことある!?ヤバいとこ来た!?でも、点滴にはかえられない!)

ベティちゃんのクッションだった。
脳裏に焼き付いている。

一向に呼吸は楽にならない。ふと、腕を見たらものすごく腫れていた。点滴の針が血管に刺さっていなかったのだ。看護士を呼んだ。

看護士「あー、動いたでしょー」

(微動だにしてないよ!!!)

今度は手の甲で点滴を始めた。徐々に呼吸が楽になってきて安堵した。看護士は、「また後で来まーす」と言って部屋を後にした。


と、思ったら、半身戻して一言。

看護士「あのー…、もしかして、ボクサーの方とかですか?」

俺  「違います!!!!!!」

(なにも聞いていないのか!?ゼーゼー喘鳴あるのに、ボコボコ顔だけでボクサー!?わざわざ戻って聞くほど気になってたの、それ!?俺はなんの点滴を打っているんだ!?大丈夫か!?)

 色々な疑問がよぎったが、自分の置かれている状況がおかしすぎて、自然と笑いが出てきた。呼吸困難ながら彼女と一緒に笑った。

大変な出来事だったが、今となっては彼女(現在の妻)との思い出の一つだ。


要因

 おそらく料理に使った小麦粉にダニがいたのではないかと推測している。当時、開封した小麦粉でもそのまま常温で保存していたためにダニが繁殖していたのだろう。使い残しの小麦粉は、必ず冷蔵庫で保管だ。


副反応への対処

外れてもいいからとにかく早めに動くべき。怪しいと思ったらすぐに行動。

 彼女と一緒だったこと、救急を進めてくれたことで大事には至らなかったが、一人で一時的なもので大丈夫だろうと高をくくっていたら大変なことになっていただろう。

副反応の症状・重さ・速度は人によって異なる。死に至る場合もあるから絶対に甘く見てはいけない。

発症した症状: 全身の発疹、気管支炎、頭痛、吐き気



(参考) 新型コロナワクチンでアナフィラキシーが起こる確率は低い。

新型コロナウィルスのワクチンによるアナフィラキシーについて

ワクチン接種開始から6月27日までで、ファイザー社ワクチンで0.04%(39,218,786回接種中15,991例)、モデルナ社ワクチンで0.02%(959,165回接種中191例)の頻度で副反応の疑いの報告がなされた。

上記内、アナフィラキシーについては、ファイザー社ワクチンで1,632件(100万回接種あたり42件)が報告され、うち289件(100万回接種あたり7件)が専門家によりアナフィラキシーと評価された。

モデルナ社ワクチンで14件(100万回接種あたり14.6件)が報告され、うち1件(100万回接種あたり1件)が専門家によりアナフィラキシーと評価された。

※ 令和3年7月7日開催の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会による報告

 アナフィラキシーには迅速な処置が必要だが、接種会場では対処可能な体制を整えている。対処すれば命に別状ないが、自分で判断することは難しいので、少しでも調子が悪いと感じたらすぐに申し出でるべきである。

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