電話して、確認して、エクセルを作る。の繰り返しに終止符を

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こんにちは。私たちZenportは、国境のない経済、世界中の人々が繋がる未来を実現したい。そんな思いで、貿易業務が抱える課題にアプローチし、プロセスをシンプルに最適化するクラウド型のサプライチェーンマネジメントツール「Zenport」を提供しています。

お客様から「Zenportって物流業者(何者)なの?」「何ができるの?」「今あるシステムはどうなるの?」「取引先全員と一緒に使わないといけないの?」といった質問を、よくいただききます。

今回の記事では、そのような質問に対してお答えしながら「Zenportのサービス」と「それらを実現できる理由」について、ご説明させていただきます。

月に何百通の書類を受渡ししていますか?

みなさんは貿易業務でどれくらいのメール、電話、エクセルなどのやりとりを行なっているか想像がつくでしょうか?もちろん取引によって異なりますが、月に何百通もの書類を受渡しすることは特別なことではありません。そこでは、大量のメール、エクセル、PDFファイル、電話が飛び交っています。しかし取引先やチーム間で、システムがつながっているということはそうそうありませんから、企業間でこうしたコミュニケーションを取るのには多くの労力がかかります。

必要な情報を手に入れるためには電話やメールをする必要がありますし、ファイルや書類を受領・確認したあと、修正を依頼する必要もあるかもしれません。内容によっては、入手した情報から自分でエクセルを作り、自分が持っている情報とつなぎ合わせ、今何がどうなっているのかを把握する、という繰り返しがあります。そうしたことは全て手作業です。日々の業務の中で繰り返し起こる、この終わらない手作業は、時間だけでなく人々から生産性をも奪っています。

Zenportは、貿易業務におけるこうした企業間コミュニケーションの手作業から解放するBtoBプラットフォームです。「企業間コミュニケーション」に特化し、企業間の業務やシステムの間をつなぐことに徹することで、インターネットやSNSがこれだけ普及した現代で「ありそうでなかった」ことを実現します。裏を返しますと、フォワーディングなどの物流業務を行ったり、基幹システムを代替することはZenportのサービスの対象ではありません。

終わらない「手作業」からの解放

このようなZenportの現時点での最も一般的なご利用方法は、社内外の関係者と、船積書類や、船積みや通関情報、メッセージなどをまとめて共有、管理いただくことです。

特にアパレルなど多品種を扱う業種では、一回の船積みで膨大な通関書類が発生します。各仕入先ごとの、B/L、Invoice、Packing Listなどの書類に加え、商品ごとの絵型や材質、織り/編みなどの製品情報が必要になります。輸入者は、各仕入先から受取る書類に、絵型やその他の輸入者の手元にある情報をつけて、船積みごとにまとめ通関業者に送ります。

これがどのくらい大変なのかといいますと、こうしたケースを想像いただけると、多少ご理解いただけるのではないかと思います。

まず、一人の方が、船積みを同時並行で10件/月進めており、それに関係する仕入先が10社程度、商品が数十から数百あると想定します。そうしますと、単純計算で、10船積み×10仕入先の100セットの書類が必要になります。さらに、この100セットのそれぞれにB/L、Invoice、Packing Listなどの書類があり、加えて10品番程度の商品の、絵型、材質などの製品情報を加える必要があります。そうなると、100セット×10品番ののべ1,000品番の書類などを用意することになります。したがい、数百通程度の書類を扱うということが珍しいことではないことはご理解いただけるかと思います。また通関業者さんも複数いるケースも多いので、その10件の船積みは別々の会社の別々の担当者とやり取りする必要もあります。

このやりとりの中では、書類に訂正が必要になったり、ある一部分の書類の発行が遅れ、そのほかのものだけ先に送るといったことも発生しますし、「この書類が揃っていません」「〇〇を修正しました」など、電話やメール、SNSなどでやりとりが必要になります。通関業者が複数いるケースでは、様々な人から別々のメールが届き、結果、「どのメールが、どの書類が最新か分からない」という点を全て紐解いていかなければなりません。

多くの場合、こうした書類のやり取りは、メールやFAXで行われ、これを送る輸入者にも、これを受取る通関業者にも多大な負担がかかっています。

Zenportはこうした書類やメッセージ、そして船積み情報を、それぞれの船積みに紐付けて管理することができます。誰かが書類をアップロードすると、その通知がメールで届き、そのメールにあるボタンをクリックするとその船積みの詳細画面に飛ぶ、といった具合です。これがZenportをご利用頂く際の一般的なご利用方法の例です。

さらに、船積みと発注の情報をつないで見える化していますので、発注ごとの納期や数量、発注残などといった情報を整理し、輸入者・輸出者・物流会社の間で誰でも管理・保管・更新・共有して、煩雑な確認作業や帳票作成を3割程度削減することができます。

しかし、このようにお使いいただくと聞いただけでは、「発注、船積みや商品の情報は誰がどのように入力するのか?」、「お客さん毎に取引条件が違うのに、誰しもが自由に使えるコミュニケーションを行えるのか?」、「同じプラットフォームを使うなんて、何十社も関係者がいる中で合意が取るのは難しい」というご指摘もあろうかと思います。

このため、これを実現する上で、Zenportは貿易におけるコミュニケーションを「標準化」してきました。

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本当に必要なのは数百項目だけ

Zenportは1%の最も重要なデータを抽出することで、コミュニケーションを標準化しています。「標準化」とは、皆が共通で使うことができる、シンプルな構造を作ることです。

一方で、企業間の取引はそれぞれが多種多様です。また、コミュニケーションは上記のように非常に複雑です。

しかし、100社を超える企業様へのインタビューの結果、Zenportは、貿易業務を行う上で必要な情報は「取引情報のわずか1%」だということに気づきました。この1%の情報があれば、貿易サプライチェーン上の関係者同士のコミュニケーションは成り立ちます。

この1%というのは、輸入者、輸出者、物流会社それぞれがみなさんお持ちの基幹システムで取り扱うデータ項目数の約1%であるという意味です。一概には言えませんが、基幹システムには少なくとも1万件程度のデータ項目があるかと思います。しかし、貿易における企業間のコミュニケーションでは、数百件程度の項目数がカバーされていれば、発注から輸送までの業務を進めることができます。

さらにこの1%の中の主要な項目は、基幹データと連携し自動的に取り込み、一部のデータはZenportがお客様の業務に合わせて自動的に生成します。また対象データを1%程度に絞り込むことで、基幹データの連携を非常に軽くすることが可能になりました。

条件の違うそれぞれの取引先とのコミュニケーションを標準化する、取引データをシステムに入力すると言ったら不可能に聞こえますが、本当に必要不可欠な情報を1%まで絞り込み厳選し、その多くもシステム連携でき、自動生成する、と説明されたら、実現可能かもしれない…と思えてこないでしょうか。

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情報をつなぎ合わせるキット

とはいえ、たった1%のデータしか扱わないのであれば本当は貿易業務は簡単なのではないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

もうひとつの貿易業務における課題は、”情報が分散していること”です。言い換えると、関係者が全員で共有・把握しなければならない情報を、異なる人たちが別々に持っている、ということです。このため、多くの書類のメールや電話、SNSを通じたやり取りが生じ、一つ一つのコミュニケーションがどの取引に結びついているかを整理するのが非常に難しくなります。

Zenportは、それらの断片的な情報を結びつけるキットになっており、Zenportへ情報を流し込むと、自動的に情報が結びつきます。つまり、データを統合しています。

データの統合と聞くと、とても大きな話に聞こえるかもしれませんが、実は非常にシンプルです。つまり、発注から納品までのプロセスで、「何がいくつ注文され(A)、何がいくつ出荷され(B)、いつの輸送便で届く( C)」という、異なる人が別々に持っている断片的な情報を、すべてまとめて(ABC)見られるようにするということです。

輸入者には、船積みのスケジュールや、最終的に出荷される商品の数量などの情報が必要です。そのため輸出者からそうした情報をエクセルファイルで共有してもらい、そのファイルを自社の発注情報と結び付けなければなりません。

また、このABCそれぞれに必ず書類と、それに関係するメールやSNSでのメッセージのやり取りがありますが、こうした情報も、メールに添付されていたり、手元のエクセルにあったり、WeChatなどのSNSにあったり、基幹システムに入っていたり、電話で聞いたメモに入っていたり、と散在しています。

こうした書類を共有フォルダに保管する、紙に出力して紙のファイルを作る、メールやSNSを整理する、手書きで但し書きをつける、こうしたことも「データの結びつけ」にあたります。そしてこうしたデータを結び付け作業には、年間一人当たり約500時間かかっています。

Zenportではすでにデータが結びついていますので、それぞれの関係者が情報を更新してゆくと、それぞれの発注に対する商品、コンテナ、船積みの仕方、船便のスケジュールの現状などが紐づいた形で表示されます。度々起こるデータ統合作業のために、他社へ連絡をとりデータの共有を依頼、その後自社のデータと統合するといった煩雑な作業を行うことはもうなくなります。

さらにZenportは、このようにリアルタイムで全体像を把握するだけでなく、全体像のなかの一つ一つのアイテムに書類を添付し、メッセージのやりとりを行えるため、個別のアイテムに対する質問や申し送り事項の共有なども簡単に行うことができます。

Zenportを見れば全体像がどうなっているのか、ものがいつ届くのかをリアルタイムで確認でき、それに関係する書類もメッセージもすべて一元管理できるということです。

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取引の見取り図が、はたらき方を変える

Zenportはこの1%の最も重要な項目を厳選して取引の見取り図をつくり、お客様の基幹システムからデータを頂いて流し込むことで、データや書類、メッセージのやりとりなどのすべてをこの見取り図に紐付けて集約することを可能にしました。これにより、お客様が、今までバラバラだった情報を手探りで探すようなことはなくなり、一つのプラットフォームで全ての必要な情報を管理できるようになります。

また、このプラットフォームは全員で更新していく台帳のようなものなので、これまで行っていた共有ファイルや関係者への個別のエクセルファイルの送付は不要になります。各企業様で使っている基幹システムへも連携しますので、基幹データについては個別ファイルの更新も不要です。その他、アップデートされた箇所はすぐ通知されるため、「どこで何がどうなっているかわからない」ということもなくなります。

Zenportへ流し込むデータを厳選し極力シンプルにすることで、異なる部署、企業の間をつなぎやすくし、コミュニケーションと業務フローの標準化を叶えます。

現在は、業務の効率化にとどまらず、リモートワークでの書類の受渡でお使いいただいたり、税関の事後調査を見据えた電子帳簿法対応でご検討いただいているケースも増えています。

いかがでしたでしょうか。まとめると以下のようになります。
・Zenportは、企業間コミュニケーションの手作業から解放するBtoBプラットフォーム
・Zenportは、データ数百項目だけで散在する情報をつなぎ合わせるキット
業務効率化のみならず、リモートワーク、電帳法対応でのご利用も増加

とはいえ、決まり切った形に全ての取引を落とし込めるわけではありません。企業様ごとに欲しい情報、機能が異なるのも当然のことです。Zenportは個別のお取引に合わせていくつかの「標準化したカスタマイズ機能」もご用意しております。また、お客様からご要望をうかがい、ご利用方法のご提案をさせていただいたり、ご利用方法自体の改善に共に取り組ませていただく、またご要望を製品に反映するなど、単なる「標準化」に甘んじることなく継続的にご提供価値を向上できるよう努力しております。

この記事が、Zenportのサービスについて理解して頂くきっかけとなれば幸いです。


株式会社Zenport
株式会社Zenportの提供するサービス”Zenport”は、貿易サプライチェーンで発生する複雑なコミュニケーション業務を50%削減するオープンプラットフォームです。貿易サプライチェーンでは、輸入者、輸出者、物流業者など多様な関係者間でエクセル、メール、電話のやり取りが日常的かつ大量に発生しています。しかしこれまでは、主に限られた企業間の高額かつクローズドな連結システムでしかこれを解決できませんでした。
Zenportは独自の標準データ構造とインターフェースで、多様な関係者間でオープンかつ柔軟にご利用頂けるクラウドソフトを開発いたしました。これによりより多くの企業様に貿易サプライチェーンを速く機動的に運用いただき、在庫や生産の最適化を実現いただけます。
https://zenport.io/


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