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本棚のある生活
最近の自分は、どんな世界からも取り残されたように感じることが時たまあった。
自分の心情と一緒で散らかった家の中。
お皿やコップが至る所に置いてある。服は一応畳んではあるものの、ボックスには戻さず目のつく処に重なっている。この様子を母が見るといつも以上の癇癪を起こすことが目に見えた。そして至る所においてある「本がぎっしり詰め込まれた段ボール」
「私は今のこの部屋を変えなければ息が詰まって死ぬんだ!」
そういう考えが頭に浮かんだ。それからは早かった。計りもせず目の入った良さげな本棚を某通販サイトで購入。買ったのが深夜だったけど届いたのはその日の朝だった。届いた段ボールを食らいつく様に引き剥がし板とネジとで分ける。そこから2時間ほどで本棚は完成した。
途中作業している際に下の階に住んでいる大家さんからサンドイッチの差し入れがあった。まだ散らかっている部屋でからしマヨネーズがたっぷりぬられた手作りハムチーズサンドを口いっぱいに頬張りながらすきなように本を並べた。どんどん棚に埋まっていく本。比例して畳まれ少なくなっていく段ボール。
自分が納得するままで本を並び終えた。
同時進行で部屋の片付けをしていたので、気づいた頃には、部屋はまるで生まれ変わったかのような新鮮な空気を帯びて、さっぱりとしていた。
カーペットに横たわる。一面に茶色と黒と白が顔の部屋。茶色に枠どられた本たちだけがカラフルで、例えるならメイクの最後に塗るリップみたいな。そんな感じだなと思いながら眺めた。その日はとにかく嬉しい楽しいで一杯で、気づくと次の日の朝。
カーテンを開けると本棚と机がキラキラと輝いて見えた。
すっきりした家でご飯を食べ本棚の目の前で本を読み小説書きお絵描きをして、仕事をする。こんなに毎日が変わるなんて思っていなかった。
自分だけの部屋。自分が初めて1から作り上げた部屋。愛したら愛したぶん自分がすきになれる気がした。毎日を愛せる気がした。
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