見出し画像

#55 災害時の電力確保 02

今年も残り僅かとなりました、2023年のnote更新はこれが最後となります。今年も多くの介護施設の方とお会いすることができ、私自身も大変に刺激を受けることが出来ました。
来年度からのBCP策定義務化に向け、これから策定の施設ではまずは策定を、そして、策定が完了している施設では定着に向けた訓練等を進めていかれることと思われます。
災害や感染症といった「もしも」は起きてから準備をしたのでは間に合いません。どうか平時のうちに「もしも」への備えを万全に、そのための手段としてBCP策定・定着を進めていただければ幸いです。

●発電所、送電経路の脆弱性、自然災害発生時に停電の危険性

(1)火力発電所
化石燃料の多くは海外からの輸入であり、多くの発電所は沿岸地域に分布しており、津波や高潮の際に機能しなくなる可能性があります。

(2)水力発電所水力発電はダムや河川の高低差を利用して発電していますが、山間部からの電力の移送が必要であり、列度の高い地震や強度の強い風水害の発生により発電所および送電線に被害が及ぶ可能性が高く、極めて脆弱です。

(3)地震による停電の発生東日本大震災、熊本地震のような記録的な大地震発生時には、広い範囲で長期間にわたり停電することが予想されます。また、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震の際には、震源地の道南だけでなく、北海道全域で大規模停電(ブラックアウト)が発生しました。今後も、同様のメカニズムで全国各地でブラックアウトの危険性があります。

(4)台風による停電の発生2019年9月には、千葉市付近に上陸台風15号の影響により千葉県内の約64万戸が停電し、完全復旧まで19日を要しています。酷暑の中の長期の停電により熱中症などで8人の方がお亡くなりなっています。

●効果的な電源確保策は 

中東における紛争勃発による化石燃料の輸入中断や自然災害発生時に停電する可能性が極めて高い日本の脆弱な環境の中で、BCPの観点から皆さんはいかなる停電に対しても事業を継続する必要があります。ここで、効果的な対策について簡単に説明します。

(1)自家発電機
コストが安価で、必要時に電気が作り出せます。稼働に燃料が必要になり、燃料の管理がやや煩雑で、一酸化炭素や燃料臭が発生する欠点があります。

(2)蓄電池
燃料が不要であり、平常時に設置したままの状態で蓄電が可能です。コストがやや高価であり、電力を作り出す機能がないものが一般的です。

(3)その他の電源確保法
このほか、電気自動車(EV)による給電も候補として挙げられますが、火災発生時の対処が困難であることや、水没した場合に高額な修理コストがかかる等の欠点もあるようです。

いずれにしても、自施設にあった電源確保について、他人事として捉えるのではなく、どの施設様も停電被害の当事者になる可能性が極めて高いことを自覚して、介護事業継続のための対策を講じられることを望みます。 

それでは、皆様、どうぞよいお年をお迎えください。  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?