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【手塚治虫】過去最高レベル容赦なしの暴露本!

今回はこちらの本をご紹介します。

もうねタイトルのつけ方がセンス抜群!
間違いなく「タイトルで買い」でしょ。コレは!
本記事は読まなくていいので即ポチるレベルです。

語る必要がないくらいタイトルがすべてを表していますけど
一応補足しておきますと
水木しげる先生の次女・水木悦子さん、
赤塚不二夫先生の長女・赤塚りえ子さん、
手塚治虫先生の長女・手塚るみ子さん

の鼎談集となっております

漫画界の巨匠たちの姿が描かれた書籍はたくさんありますけど
ここまで痛快な本はそうないですよ
巨匠たちの変態ぶりを堪能できる最高の1冊になっております。


本書まえがきの手塚るみ子さんの一文が本書を的確に表現しています。


「娘というのは遠慮なく父親を裸にします」

もうこれに尽きます。

それはもう残酷なほどに
超大御所漫画家ともあろう方々がボロクソ書かれているのですが
それがどんな毒舌であっても、そこには最高の愛に満ち溢れているんです
だから全然読んでいて嫌な気持ちになりません。

父の姿を娘たちが語っているというところがいいんです。
マジで巨匠をここまで素っ裸にできるのか娘しかいないでしょうね
奥さんじゃダメなんです。
娘だから最高にイイ仕上がりになっています。


異性という立場で思春期を迎えた
女子会的なノリの会談形式なのも非常に良い味出してます。
神様だとか巨匠だとかそんな忖度一切ありません!
ルール無用の爆弾発言がめちゃくちゃ気持ちいいです

文字だけでも十分に愛情が伝わってくる
そして父親の娘に対しての愛情も伝わってくる

これほどまでに愛情に満ちた「暴露本」はないですね
超あったかい本です

最後には娘から見たおすすめの漫画も紹介しており
こちらは後半にご紹介しますのでぜひ最後までご覧ください。


興味深いのはお三方ともに
小さい頃お父さんが何をやっているかに全く興味がなかったこと。
「だってただの父親だもん」
そう、そう、そうなんてノリ
そりゃあそうですよね。どんな偉人であっても本人たちからしたら
「ただのオヤジ」なんですもんね。

だけどみんな父親の仕事に携わるようになってから必死に読み返し
そしてみんな作品の中に父親を探したんですって…。
これは非常に興味深い。

赤塚りえ子さんは「レッツラゴン」に父を見たと言います。
マジで!これ一番爆発している作品ですからね(笑)
それもすごいことですけど
偉人の娘でいるという一般家庭とは違う父親との絶妙の距離感。
大人になってから初めて父の偉大さに気づくということも
親がスゴイあるあるのようです。


それぞれのエピソードもぶっ飛びエピソード満載で
水木悦子さんのお姉さんは
「ブラックジャック」「リボンの騎士」の大ファンだったそうです。
…というより手塚治虫の大ファンだったそう

出版社に言えば(手塚治虫の単行本)貰えたかもしれないけど
「そんなの言えない」として自分のお小遣いで買っていたとか
そして本人の悦子さんは「キャンディキャンディ」のファン(笑)

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「お父ちゃんの漫画には未来がない、手塚マンガには未来がある」って
言ったら水木先生は「これが現実なんだ!おれは現実を描いているんだ」とすごい剣幕で怒られたらしい(笑)

確かに「総員玉砕せよ!」なんかは絶望的な気持ちになりますからね
(思春期の女の子に水木作品は確かにしんどいかも…笑)


赤塚先生のところは
タブーが全くない家庭でまさに漫画のような家庭だったそうです。
でもさすがに「まんがNO,1」で赤塚先生のヌード写真を見たのは
ショックだったそうです

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何がショックって母親と違う女性と写っていたのがショックみたい
とにかく遊ぶことに夢中の人で
ドッグフード食べたり、母じゃない下着姿の女の人がベッドで寝ていたり
それが当たり前だったから大人になってそれが普通じゃないって気づいたそうです(笑)
赤塚りえ子さんが小さい頃に覚えていた言葉は
「シンジュク、サケ、オンナ」だったとぶっ飛んだエピソードを暴露しています。

赤塚先生ってほんとにすごくてまだまだあるんですよ
ポコチンの先っちょに絵をかいてそれを腹話術みたいに話すんですって
そして「お前はなぁオレのポコチンの先っちょから出てきたんだぞ~」って突然言い出すらしい。
はっきり言ってこんなオヤジ嫌ですよ(笑)

さらに赤塚先生は手塚るみ子(手塚治虫長女)さんに
「じゃあるみちゃん、これからホテル行こっか」って誘われたエピソードも暴露してます。

いや~もうね、
赤塚先生の壊れっぷりが凄まじいです。

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手塚先生も
いろんなエピソードがあるんですけど
娘同士の「エロ」についての話があって、そこでるみ子さんが
手塚のエロは、女性のエロではなく生物体としてのエロ、
女性という異性のエロさじゃないんですよね。
生物としての営みにすごくエロを感じて人とは性的興奮のベクトルが違う(笑)

なんて事も言ってます。
これは手塚先生本人も言っておられることで良く理解されていたんですね。

…でも銀座の大人のオモチャ屋でソフトビニール製の変な人形を買ってきたとか、娘には分からない謎行動も暴露しています。
手塚先生これ…ダッチワイフですよね。
「やけっぱち」の参考にされたんですかね。

一方赤塚先生は超破天荒でそこらじゅうのお姉ちゃんに手を出していたけど
マンガ上では赤塚作品のエロは小学生の感覚に近い、乾いているし湿気がないからエロがあっても全然エロくない

水木先生は書こうと思って一生懸命書いてはいるんだけど…
というね、娘から見た父のエロスについてのコメントも面白かったです。

他にも
いっぱい面白エピソード満載なのでぜひ読んでみてほしいと思います。



そして最後に
「巨匠と言えど名前だけを知っていて
作品を知らない人がほとんどだという現状について」

手塚るみ子さんは
一番メジャーな作品が一番手塚の本質を見えにくくしていると語ってます
代表作以外の作品を読んで知ってほしいと語るのは全員一致。

一作品だけを見てその作家を判断してしまうのは残念…
マイナーだけど実はすごく今の子供たちにも通じるテーマを持っている
そういう作品を読んでもらうアプローチをしたいと仰っておられます。

まさしくボクもそう思います。
このチャンネルを立ち上げたのも結構それに近いものがあって
「めちゃくちゃ面白いのに誰も知らないなら紹介してみよう」ってところがキッカケにあるのでこの気持ちはすごい分かりますね。

そして赤塚りえ子さんは
お尻にロウソクを入れて後ろ向きに裸で雪の中を歩く、
そんな絶滅危惧種を忘れてほしくない
…と父譲りのコメントを残しております(笑)

そして
最初のうちは父の「こういうところをあまり見せたくないな」
思っていたけど亡くなってからはすべてが肯定できた。
もう何も隠すことはない
カウンターでウンコしようとしたり
それも全部、赤塚不二夫、赤塚不二夫のすべてを知ってほしい…と。
現実が「バカボン」そのままで「レッツラゴン」みたいだった
と語る赤塚りえ子さん。

今では
3人とも親の偉業を受け継ぐ形でお仕事をされ
傍から見ると親の七光りで継いでいる印象があるかもしれませんが
決してそんなことはなく偉大な父だからこその悩み、そして責任を感じ
自らの意志で愛情を持って父の仕事を引き継いでいることが良くわかる1冊になっています。


最後に
「娘が選ぶ父の傑作短編」をご紹介いたします。

まずは水木悦子さんが選ぶ水木作品はこちら
「猫」
猫好きとして知られる水木先生らしいチョイスです。
人間対猫のブラックな押し問答が繰り広げられる哲学的短編
シュールなんですよね。


そして赤塚作品はこちら
「レッツラゴン」REMIX
これは赤塚作品の中でも相当にぶっ飛んでいる作品です、
まさに赤塚不二夫と言える作品、娘が赤塚不二夫のすべてを見てほしいというのも納得のショイスだと思います。


そして手塚作品はこちら
「ペックスばんざい」
娘がチョイスした作品は手塚作品の中でも超絶にぶっ飛んだ作品です
マイナーな傑作を知ってほしいという言葉の意味が良く分かります。
それこそ手塚治虫のメジャー作品しか知らない方は真の手塚ワールドを見て
膝から下が砕け散るかもしれませんよ(笑)

ほんとうに手塚作品というのは
皆さんがご存じのメジャー作品以外のマイナー作品で面白い傑作が唸るほどあります。
「何コレ?」っていう驚くべき作品が数多く残してきている作家でもありますのでぜひ真の手塚治虫の変態的魅力を堪能して欲しいと思います。


以上
ぜひこの赤裸々なガールズトークが炸裂した1冊読んでみてくださいね。
本当に愛情の詰まった暴露本ですので
巨匠たちの変態ぶりを堪能できる1冊になっております。

最後までご覧くださりありがとうございます。


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