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幻の「火の鳥」14別巻解説します。

今回は (角川文庫) 火の鳥14 別巻をご紹介します。


あれ?火の鳥は全部で12編しかないのになぜ14巻があるのかと?
不思議ですよね

ちなみに13巻は真のエピソードではない
少女クラブ版のギリシャ、ローマ編が収録された別巻ですが…


この14巻はいったい何者なんだろうか?
結論から言うとめちゃくちゃ面白いです。


この動画見たら絶対欲しくなりますよ。マジで!
そんな魔性の火の鳥14巻の魅力を語りますので
ぜひ最後までお付き合いください

それでは解説動画スタートします。

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まずは火の鳥の全貌を知るために
火の鳥ガイドを用意しておりますので
ご覧になってない方はそちらをご覧になってから本編をご覧ください。


さてこの14巻ですが
2018/12/22に発売されたのでまだ新しい作品なんですね。

手塚先生が亡くなられて約30年後に発売されたこの別巻
一体なにが収録されているかというと
発表されなかった幻の火の鳥が収録されていたり
火の鳥の本質を手塚先生本人が語ったエッセイ風火の鳥であったり
角川さんとの対談コメントや映画の絵コンテだったり
非常に貴重な資料的なものがぎゅっと凝縮された1冊になっております。


まずは幻の火の鳥
雑誌『COM』に掲載された「望郷編」「乱世編」の初期原稿が収録されております。

ファンならご存じ
「望郷編」といえば連載中に休刊となり、その後は書き直しされたため
先に書いた52ページは未完のお蔵入りになった幻の火の鳥

しかも「羽衣編」と対になるはずの
「望郷編」が連載場所を「月刊マンガ少年」に移したことで
全く新しい構想になってしまい
公式では決して見ることのできない設定を拝めてしまうという
まさに未公開火の鳥


そして
「乱世編」は虫プロ倒産によりお蔵入りになった幻の火の鳥


すでに仕上がっていた冒頭部分
そしてペン入れ途中と下書き途中の後半部分が残ってしまい
しかも途中原稿が紛失しているという珍事の遺恨を残した
曰くの作品であります

この2編がなんとその時のままの状態で
いわゆるオリジナルのままの初期原稿が掲載されています。

下書きも原稿紛失したところも余すところなく掲載されております
もはやマニア的な作品ですが非常に貴重な資料といえます。



続いて
「火の鳥 休憩」
こちらも内容については別動画がありますのでぜひご覧になってください

たった6ページしかありませんが
そのわずかなページ数の中に火の鳥誕生の秘密が隠されています。
手塚先生本人が語るエッセイ風マンガになっており
火の鳥の正体について赤裸々に語っております。

普通のエピソードとは違いますが火の鳥にとっては極めて重要な作品です。
これだけでも一読の価値ありますので
ぜひご覧になってほしいです。


続いて
角川春樹さんと手塚先生との対談が掲載されております。
火の鳥は劇場版アニメとして角川映画を公開し
角川書店からも関連書籍を刊行、
その中で映画製作総指揮をした角川春樹さんとの対談になっております。

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この対談…ハンパじゃないです。
話してる内容がネジが3本も4本も外れているような異次元の会話なんで
めっちゃ貴重ですよ(笑)

これ普通の人が聞いたら絶対「???」ってなるくらい凄まじい会話です。
本物の火の鳥を見たことがあるとか
宇宙エネルギーがどうとか
オカルト全開のとんでも話になっています(笑)。マジで!
冷静におっさん2人がこんな話してたら絶対周りの人は引くって話を
真剣に語っているのが単純にスゴイ!

もうすごいとしか言いようがない内容になってますこれは。必見ですね。
そして先生がご存命であれば最後の作品であったろう火の鳥の現代編についても語っているのも興味深いです

死んでも描くという手塚先生に対し
死んだら書けませんよという角川さん

死ぬ前に一筆だけでも残すといった手塚先生は
もしかしたら何らかの形で現代編を残したのかもしれません
その現代編の構想はいかほどのものかぜひこの目で確かめてみてください。



続いて
「火の鳥2772コスモゾーン」のストーリーボードダイジェストですね

「火の鳥2772コスモゾーン」とは映画専用のオリジナルストーリー
手塚先生がこの映画製作において3000枚ものストーリーボードを描いたとされそのうちの69枚が公開されています。

手塚先生って信じられないくらいめちゃくちゃ多忙なんで
ストーリーボードって
手書きのちゃらちゃらって感じのラフかと思えば
度肝抜かれるくらいしっかり描かれたラフで
マジでビビリます。

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ビビるっていうか本当に信じられない。
普通にこのストーリーボード描くだけでも相当の労力を必要としますけど
なんなんですかねこの異次元感は?
この人って本当天才なんだなと改めて痛感するくらい強烈なインパクトを放っています。

このクオリティのものを連載を何本も抱えた状態で3000枚も書いたなんて
超人技をはるかに超えた、もはや人間の域を超えた変態です。変態!

修正跡がほとんど見えないのでおそらく一筆で一気に書き上げたんだと思われます。
あり得ないほどのスピードと正確性です

まぁ見てください
既存の価値観を破壊するくらい凄まじい原稿ですから!

これ見るだけでもこの本買う価値ありですよ、ほんと。

そしてこの後に手塚先生による
「火の鳥2772コスモゾーン」のインタビュー記事が掲載されています。
まさにコスモゾーン、宇宙エネルギーのことを淡々と語っております。
コスモゾーンこそ火の鳥ですからね。
火の鳥こそコスモゾーンです。
何いってるか
意味わかんない人はぜひ未来編を読んでみてくださいね。

そして
手塚先生はアニメ映画にはひとかたならぬ情熱を持っていましたから
この映画の魅力を思う存分語っております。
こちらも必見の内容になっております。


そして最後に
「火の鳥 オルタネイティブ」
こちらは火の鳥番外編として2つの作品が掲載されています。
ひとつはご存じ「ブラックジャック」
ブラックジャックのエピソードのひとつとして「不死鳥」というのがあり
それに火の鳥が登場します。
これぞ手塚作品の醍醐味ですよね

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火の鳥もブラックジャックも
人間の愚かさを描いた両作ですが
本作はブラックジャックとも火の鳥ともとれる作品になっています。

2つ目は
「ミュージカル版 火の鳥シノプシス」
シノプシスとはあらすじのことなんですが
1989年の2月に上演された作品のための書き下ろし原稿です

原稿用紙3枚のみで
マンガではないですが火の鳥の作品としては最後の作品になりました
その手書き原稿があますところなく掲載されております。
先生のなくなる直前の肉筆が見られるだけでも価値ある資料だと思います。


そしてなんと
この舞台の初日は1989年2月8日
そうです手塚先生が亡くなる前日なんですね

運命的といいますか、最後の作品の公開を見届けてから旅立たれたんだなと
勝手に解釈しております
こちらも非常に貴重な資料となっておりますので
掲載されているのは嬉しいですよね


以上、14巻の解説でしたが
いかがでしたか?この濃密さ
「火の鳥14 別巻」買うしかないでしょ。

ボクはね、こういうの結構好きなんでもうマストアイテムです。
エピソードさえ読めればいいって人には
まったく興味のない別巻ですけど
ファンなら間違いなく読んでおいて損はない一冊となっております。


というわけで今回は以上です

ありがとうございました。

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