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イベントレポート〜『顧客の琴線に触れる-SaaSビジネスの価値訴求』を開催しました!

2021年11月30日、ZENFORCE主催のウェビナー『顧客の琴線に触れる-Saasビジネスの価値訴求』と題して、バーチャルオフィスツール 「oVice」の外部CMOを務める菅原 健一氏と、「ZENFORCE Sales Academy」のパートナー講師である向井 俊介氏にご登壇いただく対談イベントを開催いたしました。

お二人の対談の様子をこちらのレポートにてご紹介します!

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登壇者

菅原 健一氏

  • oVice株式会社 社外CMO

  • 株式会社Moonshot CEO

  • 株式会社Appify Technologies 社外CVO

向井 俊介氏

  • ウェルディレクション合同会社 CEO 

  • 元 App Annie Japan 代表

  • ZENFORCE講師


それでは、イベントの様子をご覧ください!

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イベント会場 oViceにて

向井:SaaSビジネスの価値訴求と言うテーマに関して、そもそもすがけんさんの中では「価値」をどのように定義していますか?

菅原:僕はマーケティング歴10年ほどですが、よく「価値、付加価値」といった言葉を耳にします。ですが「価値」と言う言葉を定義した人はいませんでした。

なので、僕がMoonshotと言うアドバイザリーの会社を創った際に、25個くらいの言葉の定義を決めました。その中で「価値」は「相手の変化量」という定義に決めたんですよね。

向井:そうですよね。結構前からすがけんさんそのようにおっしゃっていて、そのキーワードは僕の中でも腹落ちしかなかったです。

そこに多少、尾ひれはひれをつけて「将来における顧客の変化量」と言うように時間軸を加えて、伝えさせてもらっています。

菅原:いいですね。

向井:顧客の変化量、自分たちの価値は何なのかということをもう少し具体的に議論して行きましょうみたいなことを促した場合、どれぐらい議論を重ねると自分たちの会社やビジネスの価値っていうものの姿って見えてくるものですか?

菅原:1番わかりやすいのはBtoCのライザップです。ライザップってこれぐらい変化しますという変化量をいっているじゃないですか。

彼らの事業そのものがそうなっていて、1番わかりやすいと思うんですよね。うなだれたおっちゃんがもうピカピカのムキムキになってすごい笑顔みたいな。あれがやっぱり変化量としてはわかりやすいんだと思います。

向井:ライザップの、例えば痩せるとかではなくて、ライフスタイルも含めた人生そのものが大きくアップデートしているというような変化量を伝えていこうというのは、ライザップ的な価値の定義だと思ったんですよね。

でも、「価値の変化量」と言われ、自分たちのビジネスに置き換えた時に、何の変化量をどうするのかっていうところを考えていただきたいなって言うのが、僕が営業のアドバイザーをする中でアプローチしていることです。ビジネスをやっていらっしゃる方に「相手の変化量だよ」と伝えたときに、どう議論を進めば解像度が上がるんでしょうか。

菅原:例えば、皆さんのサービスで仮にBtoBだったとして、100件お客さんがいますと。でも100件お客さんがいても喜んでくれているお客さんと、まさに解約しそうなお客さんっているわけじゃないですか。

同じサービスなのに、あるお客さんはやめるなんて考えられないぐらい自社のサービスが大好きで、あるお客さんだとすぐ辞めたくなるぐらいこのサービスに価値はないのか、変化量が違うっていうところが面白いところです。

それが平均的にうまくいっている会社っていうのが、いわゆるプロダクトマーケットフィットしている会社ですよね。自社のサービスとマーケットが合致してるから、マーケットの成長に合わせて自社が伸びていくっていう考え方になるんです。

なので最も満足しているお客さんは誰で、なぜなのかっていうのがすごく大事になると思います。

向井:いやあ、まさに。結局答えってお客さんが持っているじゃないですか。 なので、お客さんがその答えを持っているなら、お客さんに聞きに行く、という非常にシンプルな行動をすることが僕の中では自分たちの価値の解像度上げていくときに、とても重要かつ、手っ取り早い方法だと思っていたんですよ。

クライアントにこのインタビューしに行くっていうことを自分たちのアクティビティや、to doの中に入れておられない人たちが、少なくとも僕の周りにはとても多いんですよ。精神的なハードルなんですかね?

菅原:精神的なハードルとあと、僕はダイソンの社長も勤めてた和田浩子さんにいくつか教えてもらったことがあるんですけれど、やはり彼女もいろんな会社行くと、真っ先に顧客のことが知りたい、 アンケート取りましょう、お客さんに聞きに行きましょうって言います。しかし、やっぱ大抵の会社はいや、もううちはお客さんのこと充分分かってますって必ず言うんです。

本当にそうだと思います。営業は営業で、私たちはお客さんに合っているんだからお客さんのことをわかってますって言っているし。 マーケはマーケでアンケートを取ってるからわかってますって言うし。

でも取り方が違ったり、聞き方が違うと全く変わるじゃないですか。今ってコーチングというか、お客さんが自ら話すスタイルのセールスになってきていると思うんですけれど、そういう風にならないとお客の声って聞こえないんですよね。

営業が売ってやったと思っていると、絶対に聞こえないじゃないですか。なぜなら、お客さんを馬鹿だと思っちゃってるんでそれだとまったくわからない。

向井さんのこの前よりもおっとりした感じも僕好きなんだけど。 なんかそれには多分秘訣があると思うんですよね。現に今日も僕がこうやっていっぱい喋っちゃうし(笑)

向井:おっとりしてるのはあれですよ。朝からしゃべくりたおしているので(笑) 若干、アイドル状態です。

では話を戻させていただきます。
価値は相手の変化量だっていうところで、お客さんが1番知ってるので、もし既存のお客さんがいれば、その方々とのインタビューの取り方次第で、自分たちの価値っていうのはどんどん言語化できるよっていうところが1個ありました。
すがけんさんって、oViceの外部CMOと言う立場じゃないですか。今oViceで何やってるんですか?

菅原:ジョンさんっていう経営者がかなりヴィジョナリーなんですよね。僕はそれが好きで入ったんですけれど。
oViceにおいての僕の仕事はマーケティング的にジョンさんのビジョンを体現する、 形にして行く仕事ですね。

向井:もうちょっと具体的に教えてもらっていいですかね。

菅原:例えば11月であれば、忘年会シーズンが来るので忘年会のマーケティングキャンペーンをやるとか。 来年になると今度はスペースの方ですね。Office spaceをどうやって展開するかっていう。

その経営者が100リアルに出勤しろとか100バーチャルに出勤しろってもう言えない時代になっちゃったじゃないですか。

向井:強制力がない、と。そうですよね。

菅原:お子さんがいて見てなきゃいけないから家にいたい人もいれば、騒がしいから外でやりたいって言う人もいるしとかっていうふうに、やっぱり働く人の自由度っていうのはすごく求められるようになってきていて。と言うぐらいのコンセプトがぽんってくるので、マーケティングキャンペーンに落としたりっていうところまでをやっています。

向井:すごくビジョナリーな、ストーリーなりメッセージなりを翻訳する、 いろんな人たちに分かりやすい形にして届けるっていうところをやっておられると。

菅原:まさに。広く告げる部分は広告の仕事なのでそこをやっていくのですが、やはり経営者でこんなにヴィジョナリーでコンセプトが浮かぶ人って少ないじゃないですか。

「売り上げがいかない、どうすればいいんだ?」っていう人は多いですけれど、それがなぜで、自分たちはどこへ向かっているのかというのを説明できる経営者なので、本当に素晴らしいなあと。

向井:とはいえ、伸びがすごいじゃないですかこれって?すがけんさん入る前からグーっと伸びていたとは思うんですけど、日本でプロダクトローンチしてから今に至るまで、ぐっと伸びていく時の特に初期のフェーズってoViceって何していたんですか?

菅原:そうですね。oViceはやはりテレワークで伸びたんですよね。

向井:コロナ禍の?リモートワークとかテレワークで?

菅原:そうですそうです。なんか第1波が始まったら伸び、第2波が始まったら伸び、っていう風なところの中に。

僕居なかったんでですけれど、当時ジョンさんがマーケも観ていたので、 マーケティング上で何をやったらもっと多くの人にoViceという選択肢を出せるのかっていうことをやり、問い合わせが増えていきました。

最近、うちもインサイドセールスができたんですが、ちょっと前まではマーケティングとCSしかいなくて、CSがセールスしていました。

向井:CSがセールス?

菅原:不思議でしょ?
リード獲得までは、マーケ。マーケと言っても広告いっぱい使うよりかは、どちらかというと時流にしっかりのれていて、でそこをCSがちゃんとセールスできていた。 CSがやっていたから、多分チャーンが低かったんじゃないかなと思います。

向井:うん。とは言えですよ。世の中もコロナ禍になり、オンラインにシフトしていて、商談とかミーティングするときにはズームとベルフェイスと、その他なんかWebExとかGoogle Meetとかそういういわゆるミーティング系のツールがバーッと自然発生的に広がったじゃないですか。

一方でoViceって僕の周りだけかもしれないし、僕個人だけかもしれないんですけど、全部がバーッと広がって伸びている時には、そんなに耳にする機会が多くなかったんですよね。

その中で、お客さんたちがoViceを見つけて使ってみていいじゃん!ってなるまでのこのジャーニー、特に見つけて使うっていうところまではマーケティング的に何やったんだろういうのがあります。

僕もフリートライアルやらせていただきましたが、きっかけが思い出せないんですよ。何してたんだろうっていう素朴な疑問、興味です。

菅原:oViceって 顧客満足度がすごく高いんですよ。 結局、お手本みたいな話ですけど、バイラルですよね。

ちょっと前にとったアンケートで、もちろん回答にバイアスが入っているとは思いますが「何で知ったんですか?」っていうのが、CMとかコンテンツとかではなく、クチコミと言うのが1番上位にきていて。
使っていて熱狂的なエヴァンジェリストさんがいらっしゃるって感じですかね?

向井:なるほどね。今の話、BtoBなんだけれど相手にしているのって個人ですよね。それが広がって部署としてチームとして会社として組織として契約しましょう、みたいな動きに昇華させるっていうアプローチをとっておられるということじゃないですか。

いわゆるそのSaaSビジネスを見たときに、結局会社と会社の取引とは言え、使うのって個人なんですよね。なのでoViceのアプローチって、ほかのサービスの企業さんにもいいベンチマークとして参考になるんじゃないかなと思います。

業務システムをSaaSにしていきましょうとか、紙だらけで大変でその辺をSaaSでうまくデジタル化しましょうみたいな領域の、いわゆる最近流行りのごく一般的なSaaSとoViceってマーケティングしに行くときの大きな違いってどの辺にあると思いますか?

菅原:そうなんだよな。そこは本当おもしろいなあと思うんですけれど。 なんかね、SaaSの一般論あんまりoViceは無いんですよね。

向井:でもなんかすごく本質的だと思います。
結局、その使う人たちに歩み寄って、その方々が満足して、これいいよねってなって、結果的にBtoBの取引として増えているわけじゃないですか。 すごくなんかいい形ですよね。

菅原:そうですね。王道といえば王道ですよね。
やっぱりToBでもToCでも顧客満足度が1番重要で、顧客が何において満足してるのかっていうのが、ここでいう価値訴求の話だと思うんですね。 それがやっぱりあるっていうのは本当oViceの強いところです。

さっきの話で言うと、よくあるアカウントベースのマーケティングで決済権者を探し出して、その人に一撃で全体導入を決めるみたいなところはoViceはあんまり機転がなく、どちらかというと熱狂的に好きな方が企業の中に1人いらっしゃって、その方が使って、次の人に繋がるイメージですかね。

向井:逆に言うと、それがある意味oViceの戦略でもあるんですか?

菅原:戦略だったのかなあ。でもジョンさんは値段を上げたくないって言っていて。めちゃめちゃ安いんですよ。

向井: 今費用ってどれぐらいなんですか?

菅原:ひとり当たり月数100円なんです。

向井:なるほどね。それもあるんだろうな。

菅原:だから投資家からも上げろと言われ、僕らからも上げろと言われ、でも上げたくないって言う(笑)

向井:なるほど。ってなると、結構その経済合理性と言う観点で、偉い人たちの目から見たときにこれぐらいだったら、従業員の活性化に繋がる環境だという投資だと思えば、オフィスを解約してめちゃめちゃその固定費が浮くので、oViceを契約しようかみたいな意思決定で、取れそうな気がしますが、そういうアプローチはあんまりやってないんですか?

菅原:まさにそれはセールスの方がいっぱい居るのでやっていますが、いわゆるアップセル的なこと、入り口をエンタープライズから始めるっていうよりは、土地の広さは従業員数に比例して僕らの売り上げも、販売させていただくというか、貸している。土地の大きさによって値段は違うので。

そうすると当然、エンタープライズが良いんですけれど、最初からエンタープライズこんこんってノックしてなんかゴリゴリの営業マンが決めてくるみたいなスタイルというよりかは、部署に導入いただいたときに大きい会社さんであるから、アップセルの余地があって大きくなってるって感じですかね。

向井:投資家さんの理解がすごくある中で、その急速な成長そんなにその強く求められてなかったりするんですかね?

菅原:いやでも実際伸びてんですよね。

向井:それ結果的に伸びてるんですよね?

菅原:そうそう。 やっぱり民主的というか、一般の人からのムーブメントをジョンさんが大事にしてるって感じが、僕が会話しててもやっぱり受けますね。

向井:これ結構SaaSと言われるプロダクト営業職として扱っている人たち、もしくは事業責任者なり経営者の人たちから見ても、1つの狙っている市場とかマーケットに対して広めていくやり方として、このoViceのアプローチの仕方は参考に出来ますね。

菅原:面白いと思います。他はやんないと思うんですよね。

向井:やってないですよね。

菅原:価格弾力性が絶対低いんだからもっと値段を上げたらいいよ。もっとヘッドショットマーケティングで大口顧客にドアノックして、決めて来ようよみたいなのが普通ですよね。

向井:価格をあげようってすがけんさんも多分そう思うでしょうけれど。

菅原:スーパーシップの時は、100万円の広告売っていても100億円いくのに1万社受注しないといけないし、当時の会社は広告代理店をやっていたんですが、受注率5%ぐらいだったので、20倍、20万回提案しないといけませんでした。

それは会社に何百人もいないと無理ですよねということで、結果的には販売単価を10億円に上げて、僕が自ら経営者に会いに行って上場している企業さんにワンショット10億円で受注を決めてきて、100億円作るみたいなちょっとパワープレイをやってました。

あとはスマートニュースであれば、業界で1番広告のインプレッション単価が高いのは日経さんなんですが、日経さんの次ぐらいに高い値段でスマートニュースのトップ面を買ってもらうみたいなことをやっていました。

向井:スーパーシップ時代の、100万円の単価を10億円にするって普通の人では簡単に思いつかないと思うんですよ

ちょっと計算をすると、100万円で100億、無理じゃんっていうふうに思う人たちの方が世の中多いかな、と勝手ながら思っていますが、それを単価10億にすれば10件取りゃいいだけでしょ、と言う発想に持っていった発想の転換自体は考え続けることによって癖づいていくと思います。

とは言え、100万円を10億で売る時の思考のプロセスだったり、例えばすがけんさんが別の会社に行って同じようなことをやってほしいって言われた時に再現できるポイントを言語化するとしたらなんかありますか?

菅原:それは市場選定とやりきる力。市場選択で言うと、当時は広告業界だったので、広告業界って2兆円産業なんですよね。なので100億円なんか大した金額じゃないじゃないですか。

代理店広告としては電通さん、博報堂さん、サイバーエージェントさんと争って勝てるなんて思っていなくて、もしくは争い始めたら勝てるわけがなく、であれば500億円ぐらいまでだったらって毎年増やしてったんで、結局300億円までは僕やったんですけれど、500億円ぐらいまでは大手三社が気にする金額じゃないと言うのは、マーケットのサイズからも見えていました。

向井:2兆円ある中の100億200億300億って大したシェアじゃないじゃん、っていう絶対金額で見ないようにするっていうところは大事ですね。

菅原:そうですね。
レップってあるじゃないですか? なんでレップがあるかって知ってます?海外にレップって構造無いんですけれど。

メディアレップを作った人から聞いたんですが、代理店さんの年収って1500万とか2000万するんですよね。それでは売れないから割に合わなくて。 単価が安すぎてインターネットのことだからメディアレップって作ったんですって。

要は、博報堂として採用しちゃうと人件費が高すぎなのでメディアレップという会社を作って、人件費を安く採用できるかっていう時代だったんです。そこから考えていくと、むしろ安く売っても人件費がかかるし、高くても人件費はかかるんで、同じしかかからないですよ。だから100万円で売っても1億円とか10億円で売ってもかかる人件費って実はそんなに変わんないですよね。

向井:確かにそう言われるとそうですよね。

菅原:値段は1,000倍違うんですけれど、人件費は1000倍かかんないですよ。であれば、利益率考えると、高く売った方が良いみたいなことをちょっとファクトを組み合わせていくと、やっぱ当時のインターネット広告という業界においては高く売った方がいいし、1億円以上で売る代理店さんがいなかったんで、全社導入をするっていう10億円のパックがやっぱり飛ぶように売れたのはそれが理由だったと思います。

向井:なるほどね。人間の本能的にも心理的にもあるかもしれないですよね。いわゆるその安いものには何か裏がある。でもすげー高いものってなんかいいんじゃないかっていう。

菅原:はい。あと広告業は切り替えるだけなので、追加のお金がいらなかったんですよ。

向井:じゃあスイッチングコストはそんな高くない?

菅原:そうです。スイッチングだけなんで。うちでやると広告効果が高いですよ、他に分散して配置あのやるとデータがたまりません、やっていることは一緒です、どっちがいいですか?っていうだけだったんで。

向井:なるほどね。

菅原:理屈としてはめちゃめちゃシンプルでした。CMOとかに言っちゃうと「いや、もう抱えている代理店さんがあるんで」とかっていう話になりますが、経営者に行くとあんまり関係なくなるんで、本当に決済者の決済者に行くみたいなやり方でしたね。

向井: いわゆるその大手の企業さんの経営者の人に直接会いに行くって言うの簡単だけど、なかなか難しくないですか?大手の企業の経営者に当時会いに行くときの手段って、どんなふうにやっていたんですか?

菅原:いい質問ですね。向井さんの質問がまさに価値訴求の話で、例えば代理店のエピソードだったら、100万円とか1000万円をいろんな代理店に分散で投資して、合計10億円かかっているがデータが貯まらないと言う状態と、10億円で一括でうちに発注して一年間でちゃんとその10億円使ってデータたまったらそっちのほうがいいですよね。 っていうのって、僕らにとってじゃなくて、経営者にとってメリットがあるじゃないですか。

向井:それわかるんですよ。なんですけど、その話ができる状態に行くまでに、世の中の営業は苦労するんですよ。どうやったらその経営者とその話ができるんだろうか?

菅原:相手が得をすると言うことは、誰かが紹介してくれるわけですよ。

紹介してくれる人が紹介してくれない案件というのは、僕が向井さんに、トヨタの社長にあわせてくださいよと頼んだとするじゃないですか。会わせたくないですよね。何を売られるか分かんないですしね。メリットがあるのは明らかに僕じゃないですか。

でも僕たちが作った提案で、お客さんは得をするんですよ。そんないい話で向井さんは紹介したくないですか?っていう話になってくるんですよね。だから皆さん紹介で断られているときの大半の理由は紹介がだるいからなんですよ。

向井:本当。紹介する側にどれだけのこの手間とリスクがあるかっていうのを想像できない人たちは、まだまだそこの気遣いが。

菅原:残念ながらそれちょっと忙しいって言われたとか、連絡来なかったんだよねっていうのは、実は8割嘘だと思っていいと思います。

仲介の人が嫌だからなんですよ。メリットがないから、自分にも相手にも。営業のプレゼンを作るよりも、よっぽど紹介者のメリットとか、相手側のメリットをしっかり作るっていうのが価値訴求の話で。

だってライザップも100万円かかるかもしれないけど、あれがこう変わるっていう明確な価値訴求があるわけじゃないですか。そこをちゃんと作れたかどうかっていうのも、大きいんじゃないかなと思いますけどね。

向井:最後質問アジェンダに載ってないやつがあって聞きたいんですけれど。要はお客さんから見たときにすごくメリットがあるよねとすぐにわかるような話しと、すぐにわからないような話っていうのがあると思っているんですよ。ビジネス的な用語で言うと顕在化しているか、潜在化しているかっていうところ。

例えば、多くのSaaSの企業さんたちって、特定の業務領域ないしは特定の業種の特定業務にサービスを入れる事で、効率化しますよ、生産性上がりますよ、新しい価値が生まれますよっていうような価値訴求の手をとって、例えば広告打ったりとか、営業さんたちはそういった話をしてるわけなんですよ。

でも、それを本当にすぐに理解をして、この業務のこの部分がデジタル化するということは、関係する隣のシステムだったり、上流のシステムっていうところにも良い影響が及ぶだろうし、まさに該当業務に従事している人たちが減ると人材の流動性も社内的に生まれるので、積極的な配置転換とかも、人事戦略上取れるようになるとか、そういうふうに広げて自分達に必要だよねって思ってたことを気づかせてくれるようなコミュニケーションが必要なケースっていうのも、一時はアーリーアダプターとかアーリーマジョリティこうキャズムに落ちる前ぐらいまでは、そう言ったビジョナリーな話で顕在層取っていけると思うんですよ。

顕在層を取り終わった後って、あるのは知っていますが、自分にとってどれだけの価値があるのかメリットがあるのかを正確に理解できない、もしくは理解しようとしないような潜在層がボリュームゾーンとしてすごく多い印象なんですね。

ってなると、その紹介っていうパスもそうですし、お客さんとマーケティング上でのコミュニケーションをとる時に、伝えなきゃいけないメリットっていうものって変わっていくと思っています。そういった変わる形のその見極めポイントとか。

例えばその価値っていうのも変化量。 じゃあ何からどういうふうに変化するのかっていうのは、最初の初期の時のフェーズの伝え方と後半に行くに従っているのか伝え方って変わってくるものだと思っているんですけど、価値の形の変わり具合を売り手の会社として、どうコントロールしてマネジメントするのが良いのかっていう。ものすごいパッとした質問投げていいですか?(笑)

菅原:ありがとうございます。それは実際あるんですよね。
あと今向井さんの話でなかったのは金銭的なメリットですよね。

oViceだったらオフィスを解約するっていったときに、少なくとも不動産ベースの金銭的価値を出せるわけですよ。

定性的な価値ももちろん出せるわけじゃないですか。最初だったらどっちかって言うと、金銭的価値をこうやって切り変えましょうって当たると思うんですよね。向井さんの質問と、もうちょっと後の話では、単純にみんながやってるっていうことにどんどんなって行くと思います。

向井:そうなんですよ。みんなが少しずつ使い始めるようになった時に、その今まで通りの価値訴求のやり方が通用しなくなっているっていう状態を特にこのコミュニケーションにおいてどうやって乗り越えて行けばいいのか?

この辺りは結構多くのサービス企業さんはスタートアップの人たちをわりかし、どんどん今たくさん出てきておられるので、2年後、3年後、4年後、5年後ぐらいに今のテーマに合った当たってくるかなと思うんですよね。 それをちょっと今のうちからこう少し準備の1つとして覚えといてもらえるものが何かあったらいいなと思って質問させていただいた次第です。

菅原:そういう意味では、リテラシーと意欲が低い会社さんにだんだんになってきますよね。言ってることも難しくてわかんないし、意欲もないみたいな。

要は今のままがいいお客さんはどっちかって言うと、その説得のステップとして、このままこの問題を放置するとどうなるのかっていう風に伝えていかないといけないですよね。

向井:そうですよね。 ビジョナリーな話は最初のかなりアーリーのところでだいぶ使っていくことで伸びていくと思いますが、一定以上マーケットシェア取ってくると、周りが入れているにも関わらず入れていないって、必ず理由があると思うんですよね。

その理由は変わるのが面倒くさいし、今のままでいいじゃんっていうところが、なんか根っこにあるとしたら、これ、僕の中では結構そこでも攻めても攻めなくても良くないっていう感じなんですよ。

菅原:いや、攻めても攻めなくても良いし。
僕のセールスですごく好きなのは、1対1じゃなくて、あえて先方の会社のいろんな人のミーティングの前でプレゼンさせてもらって。全員が知っている状態を作った中で、この問題を放置すると自社にどれぐらいの損失が起きるのかっていうのを伝えるんですよね。

向井:イベントにクライアントさん登壇してもらって、こうバンバン話させるっていう場を作ったりするみたいなのもその1つですかね。

菅原:その1つですね。ですし、担当者さんはヒーローにするっていうよりかはどっちかっていうと問題がありますと。 問題を放置すると上手く行きませんと。

しかもこれは僕が言っているんじゃなくて、社会的なあの問題で、例えば僕と会わなくなっても、もうそれはもう変わらない事実なんです。

ここまでわかるとあとは担当者さんが放置すれば、自社の損失になるしという状態をまあ1対1だとその人がギュッと握りつぶしちゃうと無いんですけれど..

僕営業してすごく思ったのは、 2倍儲かりますよって言っても動かない人達っていっぱいいて、逆に現状のままいられませんよって言って重い腰を上げる方って実はすごく多いですよね。

あなたはずっとこうなると思ってるけれども、ちょっとこうなってますとで、なんならこれを使えばここまでは戻りますと。

だから、あなたはずっと安定なままですっていう話と、 2倍になりますっていう話があったとしたら、実際安定のままいきますを選ぶ方ってすごく多いんですよ。

向井:たしかに。なんかもうレイトマジョリティからラガードのフェーズに入ると、そういうストーリーのほうがよさそうな気がしますね。なんかすっきりしました。ありがとうございました。


参加者からの質問:0→1のフェーズにチャレンジしており、もう少しoViceさんの事例をお伺いさせていただきたいのですが、バイラル・口コミを増やすきっかけはどのように作れば良いでしょうか?

菅原:ぜひoViceをトライアルで体験していただきたいんですけど、何が起きるかっていうと、うちの本社をツアーと呼んでいて、うちの本社に来ることになります。

バーチャル空間上なので人がいっぱい働いていて、導入すると、こういうふうになるんだって分かるんですよね。当時であれば、そこにジョンさんがいて、ジョンさんが自ら新たに来た人に話しかけて、もう積極的に口説いていくわけですよ。

やっぱり直接話した方って顧客満足度が上がりますよね。 で、またいつか来てくれてて、ここが使いづらいんだよとか聞いてくださるわけですよ。なので、僕たちはお客さんの声が直接聞ける状態を常に持っているっていうのが、大きかったんじゃないかなと思います。

向井:ユーザーさんに徹底的に寄り添うっていうところがいかに大事か、お客さんを法人組織っていう風に見るのではなくて、人だっていう風に見ると、こういう活動ができますよね。

菅原:まさにそうですね。
もちろん非効率なところはいっぱいあると思うんですけれど、やっぱりそこってどっちをとるかで。
お客さん満足度をとると、ちゃんとお客さんが喜んでくれて、お客さんが喜んでくれるとお客様を紹介してくださったり、なんならoViceをいっぱい使おうって言って、もしかするとそのあと出世するかもしれないですよね。

向井:本当に今日のSaaSのビジネスやっていらっしゃる方々は、ヒント満載だったと僕は思いますよ。少なくとも僕は明日以降の自分の仕事に使わせていただこうと思います。

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すがけんさん・向井さんの対談イベント、いかがだったでしょうか?

たった1時間で完結するとは思えないほど濃い内容となりました。

ZENFORCEは、公式サイトもございますので、ぜひご覧くださいませ。

また今後のイベントに関しては公式Twitterでお知らせします。
ぜひフォローしてくださいね!


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