うつ病 ルッキズム カウンターカルチャーの根底にあるもの

 人神思想は直観的に正しいと思う。ただニーチェやドストエフスキーを引いて「神が死んで人間が神になる」とか言っても中二病としか思われない。うってつけの言葉があった。「完璧主義」が問題だと思う。

 僕は完璧主義者だったと思う。「全てを知りたい」という思いから読書をしまくっているし、「言葉を全部忘れたい」という思いから瞑想をしているので、まだ完璧主義かもしれない。
 完璧主義者はうつ病になりやすいというのは有名だ。現に僕もうつ病になった。成績や模試の点数も凄い気にしていたし、自分の体調も不安だった。「完璧でなければならない」という信念は、確実に人を不幸にする。「完璧」など絶対に、あり得ないから。絶対にあり得ない。

 僕の子どもの頃より、100倍ぐらいルッキズムが酷くなっている気がする。要因はいろいろあるだろうが、完璧主義も根底にある気がする。「なぜ醜形恐怖なの?」と聞いた時に「自分は頭も良くて学歴もあるのに顔だけが足りなくて完璧じゃない」と言われたことがある。中島義道の本に出てくる女子大生が「自分は決してブスじゃないけれど、絶世の美女じゃないことが耐えられない」と言っていた。自分が主人公でないのがあり得ない。

 何が完璧主義を招くのかというと「有限性」の自覚がないことじゃないかと思う。現代社会は、病、老い、死、を徹底的に隠蔽する。ないフリ、「否認」をする。病院、老人ホーム、葬儀屋といったものに、見たくないものを押し込む。お釈迦様のエピソードを思い出してしまう。
 王である父は、釈迦が出家しないように、快楽だけを与えて息子を育てる。なに不自由ない生活をしていた釈迦だが、お忍びで城を出た時に、病人、老人、死体を見て、出家を決意する。
 現代人も、病人や老人や死体を見る機会がない。「そんなに顔の美しさを求めて、老いたらどうするの?」と聞いたことがあるが「30になる前に死ぬ」と言われた。「見ないように」している。否認している。社会と個人が結託して、「苦しみ」を隠蔽している。

 薄っぺらいヒューマニズムが問題だと思う。「自然を畏れる」みたいな感覚が一切ないのがヤバいんじゃないか。松本人志が象徴的なように「権力を使ったセクハラ、パワハラ」の告発が増えた。自然も神も仏も誰も自分の上に置きたくない。

 嫌なことって絶対に避けられない。僕も10回ぐらい手術したし、親は死ぬし、手帳2級だし、老いるし、おじさん扱いされて嫌われるし、不細工だし、嫌なことばっかりだけど、全部修行だと思ったらいいんじゃないか。僕は仏教徒だから、そう思うようにしている。ネガティブな感情を見つめて、受け入れることが修行だ。
 

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