距離感って、むずかしい(前)
最近、職場のとある人に対して「この人距離感おかしいな」と思う機会があった。
その人は急激に距離を詰めてきた。
そしてある日、その人が私のパーソナルな領域まで踏み込んできたので、やんわりと拒否を示した。
(「近寄らないで!」とか言ったわけじゃない。やんわり、「あ、私は大丈夫なんで〜」ぐらいの対応だ)
すると、今までの接近戦が嘘のように、その人は私に寄り付かなくなった。
なのに、時折じとっ…とした目でこちらを見ていることに気がつく。
人との距離感って難しい、と考えて思い出した人がいる。
前の前の彼氏だ。
私は基本的に別れた人とは全く連絡を取らないが、彼だけは今でも関わりがある。
彼とは、私がまだ東京で会社員をしていた時に出会った。
彼は美容師で、初めて髪を切ったもらった日に連絡先を交換し、それから毎日のようにラインを送り合っていた。
彼は恐ろしい程に返信が早く、ちょこちょこ電話もかけてきた。
たまに私からの返信がおざなりになると、「その返事は適当すぎる!」と怒られた。
付き合ってすぐの頃、基本的にラインの通知をオフにしている私に
「通知はオンにしてほしい」
「もっと好きって言ってほしい」
とプンプンしながら言ってきた。
私は「しょうがないな〜」とか言いながらめちゃくちゃニヤけていた。
年下だし、イケメンだったので、可愛くてしゃーなかったのだ。
その距離感は、喧嘩をした日を境に、一気に変わる。
喧嘩のきっかけは、家に泊まる日程の思い違いだったか?
そんな亀裂が入るようなものではなかったと思うのだが、私は「私はここが悪かったやんね、気をつけるね。今度はこうしよう」と割と前向きに話し合えたをしているつもりだったのだが。
彼は私が解決案を出している最中、ずっと面倒くさそうだった。
そして、その日を境にラインの返信速度が一気に落ちた。
会ってもご飯だけ、それまでは散々家に行きたいと言ってくれていたのに。
彼から電話しようと言うことはなくなり、私から提案して電話しても、一向に盛り上がらず、彼は早く切りたそうだった。
彼の体調が悪くなった時には、心配だからお見舞いに行きたいことを伝えたが、断られた。
以前との対応の変化にびっくりした。
もう如実に好きではないとアピールされている気がして、これは私が辛くなるだけだな、と別れを提案した。
彼はすぐに賛同してくれた。
付き合った期間で言うと、わずか数ヶ月である。
それから1ヶ月後に、彼が相互フォローでなくなった私のインスタのストーリーに足跡を付けたことで連絡を取り合うようになり、また髪を切ってもらったりもした。
その後私は大阪の実家に戻り、物理的に彼と会うこと、彼に髪を切ってもらうことは難しくなった。
それからしばらく経ち、私が彼のインスタにコメントをしたことがきっかけで、頻繁に電話をするようになり、またもやラインの往復が始まった。
しかし、今度の彼の返信速度は遅かった。
2日置きぐらいに返事が来た。
いやいや、前との返信の差!!
私はイライラした。
次の日ぐらいならわかるが、返事が2日後に来る人とラインし続けるのって、だるくないですか?
しかもあまり中身のないことばかり…
(「職場の人とBBQしたよ〜」とか)
私のラインは日記帳か?
恋人でもないのに。
何度か往復を終わらせようとしたり、返信をスルーしたりしたのだが、それでも2日後に連絡は来た。
ある日、生理前の私はブチ切れた。
「用事がないなら、連絡するな!」と。
彼はすぐに「ごめん!もうあんまりラインしない!」と連絡してきて、2日置きのラインはなくなった。
とはいえ、たまに連絡は取る。
お互いのインスタに反応しあったり、何か用事がある時だけ。
要件が終われば、ささっと終わる連絡だ。
彼は以前
「今まで付き合って、長く続いたことがない」
「前の彼女には、私のこと好きなのかわからなくて辛いって振られた」
「メンヘラ製造機と言われたことがある」
と言っていたが、私は大いに納得した。
確かに、彼の連絡速度や態度はフラットじゃない。
その不均等さは、彼の中では整合性があるのかもしれないが、彼女側からすれば、「私のこと嫌いになったのかな」と思うのに十分な要素だった。
あとまあ、彼がイケメン美容師というのも、不安を煽る要素になっていたのだろう。
彼との付き合いは、何だかジェットコースターに乗っているような感覚に似ている。
人との距離感って、難しいよね。
私は上記のように、素敵な男の子から猛烈に距離を詰められるとそれを嬉しく感じ、彼が遠ざかると悲しがる、そういう恋愛ばかりしていた。
距離感が近い頃が最高に楽しい。
でも、ずっとは続かない。
どうして私の恋愛はいつも上手くいかないのだろう、と思っていたのだが、もしかすると、この近すぎる距離感が問題なのかもしれない。
もう一人思い出した人がいる、幼馴染の女の子だ。
中学生の頃、その子が大人びて素敵に見えたことから、私は「これが初恋か!?」と思った。(今思えば、恋ではない)
その子は肌が白くて、サラサラの髪は真っ黒で、純日本人的な美しさを持っていた。
頭も良くて、声も高くて綺麗で、スラッとした儚げな風貌をしている女の子だった。
その子とはしょっちゅう二人でいて、周りから「あの二人、付き合っているのでは?」と言われていた程だった。
休みの日にもずっとメールのやりとりをしていた。
(当時その子は携帯を持っていたが、私は持っていなかったため、PCからメールしてた)
他の人が話に入ってこられない程に、私達は二人だけの世界を作っていた。
それがある日、「拒絶された」と感じた。
どういう状況だったかわからないが、繋いだ手を振り解かれ、その子が他の子の元へ走っていったのだ。
その日から、その子は別の女の子と仲良くしようと必死だったし、私に対しても心なしか冷たくなった。
(完全に避けられたわけではなく、一緒にいるのに冷たい的な…)
でも、私はその子から離れなかった。
ずっと二人だけだったのが、数人を含む1つのグループになった。
グループでつるむのは楽しかった。
でも、私はアピールし続けた。
あなたが一番好きだと!!!!!
遠足のバスの席は隣がいい!だの、修学旅行は一緒の部屋がいい!だの、ごねにごねた。
その子に対し、何度も「何でこんな、私に対して態度悪いんや!」と思ったし、「もう友達やめてやる!」とも思ったが、どうしても、私はその子がずっと好きだった。
恋ではない、人として。
数年後にその子から、「あの頃は、親からの勉強の圧迫のストレスで当たってしまって、本当に申し訳なかった」と謝られた。
そして、「あの時にずっと仲良くしてくれてありがとう」「夏のせいは本当にいい奴」と言ってくれた。
その子とは今でも仲良しで、遊びに行くし、二人で何度も海外に行ったりした。
(フィジー旅行記に登場した、手先が器用な幼馴染とは、この子のことである)
人との距離は難しい。
近づきたい。
でも、近づきすぎたら拒絶された時に辛くなる。
近づくことこそが、愛情なのではないのか?
と、私はずっと思っていた。
今、相手が何を考えているのかわかるような、心が通じ合っているような関係。
そんな関係に憧れた。
しかし、それは違うと気がついたのが最近のことである。
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