20200301 無題

 先日、今年の初詣をようやっと済ませた。僕の住む街には中々に大きな天満宮が山の上に建立され、菅原道真公は数多の学徒の願いをお聞きになっている。
 真夜中、僕はそこへ訪れた。暗がりの石段を腰を痛めながら僕は踏みしめた。財嚢から摘み上げた銅貨幣を賽銭箱へ放り投げ、「何かありますように」と粗雑な願望も放り投げた。これからの生活で嘉すべきことがあれば、それは神の御技であり、僕は拝跪し滂沱の感涙で噎び泣く。もし災厄があれば、ニヒリズムを気取り「神は死んだ」と宣うだけである。
 僕が中等教育課程を過ごしていた時代まで、菅原道真公の御許には一軒のラブ・ホテルがあった。きっとそこで仕込まれた子種で完成した子供らは、聡明碩学となったに違いない。今頃、彼らはギフテッドと呼ばれていることだろう。この街の学力は下降の一途を辿っている。
 そこから更に少し下ると友人の家がある。いや、あった。僕が都会の最高学府に進学する頃、それが売りに出されているのを見た。彼の友人、Oとの思い出は多い。取り分け記憶に残っているのは、彼が核爆弾級の反抗期を抱えていたことだった。Oの家でテレビ・ゲームに興じていると、彼の母親が部屋の扉を開けた。俄にOは「キィヤェイアァェオォァァ!!!」と雄叫びを上げ、電動・エア・コッキング・ガンを手に取る。そして母親はソニック・ザ・ヘッジホッグに比肩する速度で扉を閉め、Oは閉じた扉に向かってシルヴェスター・スタローン顔負けに銃を乱射する。彼の部屋にはいつもBB弾が転がっていたし、壁には大穴が空いていた。懐かしき思い出ではあるが、今の彼の行方は杳として知れない。

映画観ます。