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『ミッション:インポッシブル2』 バイクチェイスのシーンは圧巻。ジョン・ウーの前に運動方程式は成立しない。

評価 ☆☆☆



あらすじ
製薬会社の研究員であるネコルヴィッチ博士は「ディミトリ」という相手に「20時間以内にアトランタへ行くから同行してもらいたい」というビデオメッセージを送信した。また、そのメッセージの中にはキメラという単語が出てきていた。ディミトリとはIMF所属のスパイ、イーサン・ハントのことだった。



天才たちの考えることは極めてオリジナリティが高い。あんまり高すぎて、いったい何を考えているのかわからなくなることもある。2000年公開のジョン・ウー監督『ミッション:インポッシブル2』はまさにそんな作品だった。出演はトム・クルーズ、タンディ・ニュートンなど。



トム・クルーズが主演しているミッション・インポッシブルシリーズは嫌いじゃない。この映画は観るたびに特に「へえ~」と感心してしまう。



ところが、ネット上では評判が良くない。多くが「ストーリーが破綻してるから」という。確かにそうかもしれない。でも、そんなにストーリーって大切なのかな? じゃあ、宇宙空間でも音が聞こえるソープオペラはどうなる? 黒澤明の映画だってウソだらけでしょ?



『ミッション:インポッシブル2』を非難する多くのひとは映画に精通してないんじゃないかな、とも思う。いっぱい映画を観ていると、山のように理不尽なシーンが出てくる。映画はリアルではなく、リアリティを求めるものだ、ということを思い知らされる。



『ミッション:インポッシブル2』は体感する映画と考えても良いかもしれない。ジョン・ウー監督の手にかかれると万有引力の法則は地上から消え失せ、運動方程式は完全に否定される。ニュートンもアインシュタインもガリレオも存在しないのだ。だけど面白い。勘違いしないで欲しい。ジョン・ウーは、ストーリー性を求めてはいないがテーマ性を否定しているわけではない。



この映画には人間の表と裏の物語としての「愛と裏切り」が描かれている。愛と裏切りは戦いである、裏切りは炎によって本当に浄化されるものなのか? がテーマらしい。それは理想としての平和=鳩の願いと重なる。このあたりの分析はまた今度したいけど、面白い考察である。



ついでに。トム・クルーズは製作つまりお金を出している。だからカッコ良く描かれている。当たり前である。しかし、それを非難する人もいる。多分、これらの批判に対してジョン・ウーは笑っているだろう。「カッコ良ければそれでいいじゃないか」ってね。だって映画なんだから。



初出 「西参道シネマブログ」 2012-01-02



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