見出し画像

『ブルークリスマス』 タイトルの意味は憂鬱と関係ない。岡本喜八監督の体制批判と倉本聰脚本のUFOもの。

評価 ☆



あらすじ
世界中で頻繁にUFOが目撃されるようになった。しかも、UFOと遭遇した人々の血が青くなるという怪現象が起こる。報道担当の南はこのニュースを流そうとしたが、政府から圧力がかかり、左遷される。政府は異星人たちへの脅威を感じて、増加する青い血の人々への迫害計画を企てていたのだ。



ずっと観たかったけれど、観る機会がない映画ってあります。そういうのは初恋とか、あこがれた女性、昔好きだった女の子に似ている。長い年月が経ち、実際に会うと「会わない方が良かったのかも」と思うことが多い。



ひさしぶりに同窓会の通知が来ると、ちょっと悩む。年を取るとなかなか会うのが難しくなる。自分の年を取った姿を見せるも勇気がいるし、相手の年老いた姿を見るのもつらい。



映画の場合、相手(つまり映画)が年を取らないからいいかなと思って観るけれど、妙に時代遅れの出来事が気になったり、思い描いていたイメージと全然違う映画だったりして幻滅することも多い。『ブルークリスマス』もそういう映画だった。『ブルークリスマス』は1978年公開の映画。監督は岡本喜八。出演は勝野洋、竹下景子。脚本が倉本聰。



UFOを観ると血の色が変わるという設定である。だいたい血が青くなったら、顔色とか唇とかも青くなるだろうし、遠くから見てもすぐにわかるはずだ。そういう前提は、まぁいいんだけど、映画としては人間の差別意識とか、政府の謀略とか、国家とは何かという問題に言及していた。倉本聰の脚本である。彼のUFO好きが高じて書かれた作品みたいだ。



岡本喜八監督作品は『近頃なぜかチャールストン』とか『肉弾』みたいなほうがいい気がする。倉本聰はすごい脚本家だけど、どこか「?」となるところがある。舞台とかテレビとかの方が向いているのかもしれない。



かなり「面白い」っていう人が多い映画だ。ある程度評価はされているみたいだが。僕はなんかしっくりこなかった。設定に無理がありすぎるし、ラストも微妙。



岡本喜八監督と倉本聰脚本の組み合わせが悪かったのかもしれない。



追記



何度か観たけれど、やっぱり微妙な映画である。なんというか。テーマと内容がケンカしているみたいな感じである。岡本喜八ファンも不満、倉本聰ファンも不満て感じだ。こういう映画が撮影されただけでも昭和というのはよい時代だったのかもしれない。



初出 「西参道シネマブログ」 2006-01-09



ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?