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『最も危険な遊戯』 大野雄二のサントラがかっこいい。TV番組「探偵物語」のベースになった作品。

評価 ☆☆



あらすじ
財界大物の誘拐事件が連続して発生する中、殺し屋である鳴海の元に東日グループ会長秘書から連絡が入る。誘拐された東日電機社長の南条を救い出してほしいとの依頼だった。会長の小日向によると、一連の誘拐事件は身代金目的ではなかった。



松田優作主演の中でも人気が高いのが『最も危険な遊戯』である。『ブラックレイン』もいい出来だとは思うが、主演ではありません。



みんなのイメージしている松田優作は、テレビドラマの『探偵物語』だろう。あれは、この『最も危険な遊戯』がベースになっている。テレビはその応用版のようなもの。松田優作も自分をカッコよく見せることに凝っている時期だったのかもしれない。



『最も危険な遊戯』は1978年に公開されている。松田優作主演で、監督は村川透、音楽は大野雄二である。妙に人懐っこく、同時に凄みがあるという二面性が出ている。その後、松田優作という俳優は、さまざまな顔を見せてくれた。それもまた楽しい。



ちなみに生前、僕はサイン会で松田優作さんと話をしました。話といっても「あのう。○○さんへ と書いていただきますか?」「○○さん? どう書くの? 」「ええと○の○のXのXです」「わかった」。サラサラ。「ありがとうございます」(握手を求める)「いえいえ」(握手をしてくれる)だけだけど。



十分にかっこよかった。隣では鈴木清順監督と大楠道代さんがいらっしゃいました。もちろんふたりにもサインしてもらった。ふふふ。さてこの映画はなんでしょう? 答えは簡単。『陽炎座』。『陽炎座』の松田優作はとても静かな佇まいの方でした。こういうのも悪くない。



『最も危険な遊戯』は、冴えない風体だが実は殺し屋の鳴海。彼が陰謀だと知っていながら危険な仕事を引き受ける。音楽は大野雄二。『ルパン三世』の音楽をずっと担当している。この頃の大野雄二は本当に素晴らしい仕事が多い。



脚本も良くできている。その後、シリーズ化されたことからも人気が高いのがよくわかる。それにしても松田優作、走り過ぎじゃないだろうか? と不安になるくらい走っている。ちょっと苦笑してしまった。ちなみにこの映画の後、『殺人遊戯』、『処刑遊戯』という計3作の遊戯シリーズが製作されている。もちろん鳴海昌平なんだけど。なんか残りの二本は違う気がするのは、私だけだろうか?



追記



遊戯シリーズを総括すると、ハードボイルドとアクションをリアリティな画面構築で見せるという意味では先駆的な作品だったといえる。ただし、現在からみると、リアルさよりも虚構性が際立つという意味では、プロレス界におけるUWFみたいな気がする。



この映画の持つリアリティは、村川透+松田優作という視点からのフィクションだったということだろう。だが、そのアプローチはその後、世界的な大ヒットアニメ『カウボーイビバップ』に引き継がれることになる。



松田優作は『カウボーイビバップ』を観たらなんていうんだろうな。「オレのマネをして、面白いか、お前ら」とでもいうのかな。それとも不敵に笑いながら、バーボンのロックでも飲んでいるかもしれない。



初出 「西参道シネマブログ」 2005-01-11



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