『パリのめぐり逢い』 フランシス・レイの音楽が印象的。ルルーシュ的ヌーヴェルバーグは『男と女』の発展形。
評価 ☆
あらすじ
フランスTV業界でトップクラスの人気を誇る中年男性リポーターのロベール。彼は妻のカトリーヌとの冷えた関係を続けていた。単調な日常生活の繰返しに飽き、若い女性たちと時折楽しんでいたのだ。そんなある日、モデルをしながらソルボンヌ大学に通う若い娘と出会い、聡明で美しい女性と親密になっていく。
思い出す映画ばかりを取り上げているが、見直すことすら難しくなった映画が増えてきている。この映画のサントラをたまたま見つけたので紹介したい。
『パリのめぐり逢い』は、1967年に公開されたクロード・ルルーシュ監督の作品。出演はイブ・モンタン、キャンディス・バーゲン、アニー・ジラルドなど。
クロード・ルルーシュ監督の、ヒット作『男と女』の次の作品。音楽はもちろんフランシス・レイ。メロディもテンポも雰囲気も『男と女』に似ているが、こっちのほうがメロウな感じ。話は三角関係。あんまりカメラが良くなくて雑なような気がした。
それもそのはず、手持ちカメラによる撮影。ブレがドキュメンタリーのようだった。そこに音楽がのせられている。ストーリーよりも、映像と音楽に赴きが置かれている。その意味で『男と女』で行われた手法をさらに発展させたもの。いわば、クロード・ルルーシュ的なヌーヴェルバーグ。
ストーリーは不倫もの。しかも登場人物たちはそれぞれの浮気を知っている。そんな中で全員がどうなっていくだろうか、みたいな感じ。観た当時、10代だった僕にそんなことを実感しろというのも無理な話だった。しかも、いまの日本でそんな話なんて、本当に言語道断ってことになるんだろう。
自分が若い頃は、多分、大人になったら映画の中のイブ・モンタンみたいに結婚後も若い女の人と恋に落ちたりするんだろうな、なんて思ったりもした。ま、現実にはなかなか難しいことがわかる。
実際に年を取っても全然そんなチャンスは現れない。『男と女』の時も書いたんだけど、アヌーク・エーメみたいな女性は僕の前になかなか出てこない。困ったものだ。困らないか。
大人による大人のための映画。こういう映画をいま観たいと思っても観られないですね。こんな大人の映画はどこに消えてしまったんでしょう。
『男と女』が好きなひと、クロード・ルルーシュ監督が好きなひとであれば観ても損はない。ただし、ストーリーよりも映像中心なので意外と退屈かもしれない。
追記
フランス語を最近ちょこちょこ学んでいる。原題の「vivre pour vivre」は生きるために生活する。生活するために生きる。というような意味らしい。まぁ、わかんなくもないけど。単なる語呂合わせですね。
初出 「西参道シネマブログ」 2006-06-22
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