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『バッファロー’66』 ラストのYESはGOOD。選曲は素晴らしいけれど、全体的に荒削り。

評価 ☆



あらすじ
1966年12月26日ニューヨーク州バッファローで生まれたビリー・ブランコ。彼は5年の刑期を終えて出所。街へ向かう途中でトイレを探すが、見つからない。イライラしたまま実家に電話をかけることになる。



『バッファロー’66』は1998年に公開された映画。ビンセント・ギャロが主演、監督、音楽、脚本を担当している。彼の出世作といっていい。低予算で作られているけれど、人気があるらしい。こういう前情報で『バッファロー'66』を観た。



結果的には「悪くはないけれど」という感じだ。確かにクリスティーナ・リッチが突然意味なく踊るシーン、ラストのYESの「sweetness」などは結構「おお!」と思う。けれど、各々のエピソードがあまりにもつまらない。



クリスティーナ・リッチもビンセント・ギャロもいわゆる個性派カップルとして描かれている。かっこいいとも綺麗とも思えない。男はすぐにキレるし、弱いものには強く当たるし、女はそんな男を優しいという。正直、僕にはよくわからない世界である。『シュート・ザ・ムーン』という映画があったが、これも同じような夫婦が登場して、こっちの方はもっとリアルで面白かった。



結局「説得力がない」ということだ。面白いかもしれないが、荒削り。才能を感じさせるけれど、その才能が本当の意味で開花するかどうかは別問題である。多分、これからの映画にかかっているんだろう。



でも、この映画にはさまざまな魅力がある。ミッキー・ローク、ロザンナ・アークエット、ジャン・マイケル・ヴィンセントが登場している。それだけで見る価値はある。わりと僕はこの3人が好きです。



音楽もいい。ラスト近くのストリップ劇場でのシーンは、イエスの「ハート・オブ・ザ・サンライズ」、クリスティーナ・リッチが踊るシーンはキング・クリムゾンの「ムーンチャイルド」。プログレファンでなくてもこの選曲にはちょっとオッときます。



この類のストーリーの映画は意外と多い。『シュート~』もそうだし、『トゥルー・ロマンス』、『地獄の逃避行』もそう。気になるひとは他の映画も観てください。



ビンセント・ギャロは俳優としてのキャリアもあって、絵画、ドローイング、写真なども手がけているらしい。僕は基本的にマルチタレントという人たちを信用しない。才能がいくらあっても、深くまで掘り下げるためには、ひとつに固執しなきゃできないと思っている。我慢するって大切なことですよね。



初出 「西参道シネマブログ」 2013-6-24



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