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『オールド・ボーイ』 原作は日本の漫画。暗い題材ばかりが目につく。後味は極めて悪い。

評価 ☆☆



あらすじ
韓国の某企業の社員オ。なんのとりえもない彼は、ある晩、酒に酔って警察に連行された。友人ジュファンが迎えに来てくれたことで、釈放された。彼はこの日誕生日だった娘ヨニに電話をかける。彼はヨニのために小さな天使の羽根を買っていた。



韓国映画に関してコメントを言えるほど、僕は韓国の作品を観ていない。『シュリ』は観た。悪くない。嫌いじゃない。そこで前々から観たいと思っていた2003年公開の『オールド・ボーイ』に挑戦した。内容もよく知らないし監督のパク・チャヌクも知らなかった。出演はチェ・ミンシク、カン・ヘジョンなど。



原作は日本の漫画。原作は土屋ガロン(作)と嶺岸信明(画)による「ルーズ戦記 オールド・ボーイ」だという。面白いかどうかは微妙なところだが、後味の悪さはここ数年でなかったほどのインパクトだった。



暴力シーンや血しぶきが好きな人におすすめだろう。ストーリーの展開は途中からわかってしまうし、思わせぶりな演出が鼻につく。映像にも品位が感じられないけど。



この映画が面白いからといって、日本の漫画のクオリティが高いという短絡的な話にはならない。最近の日本の漫画やアニメが好きじゃないので、特にそう思うのかもしれない。



15年間監禁されて、わけもわからず解放されたというプロットは興味深いかもしれないけれど、器がいくら綺麗だってラーメンが美味しいわけではない。設定は面白くても内容が勝負ってところはある。



かといって、つまらないわけでもない。言葉による暴力、復讐の無意味さ、監禁、セックス、暴力、薬物そして孤独、家族の分断など、現代的なテーマは感じられる。描き方もヘビーだが魅力もある。



ただし、この映画には希望がまったくない。希望がない映画は時として苦しいだけ。苦しい現実を体験している人が息抜きに映画館にやってきて、2時間近くを映画の世界で楽しむのにカタルシスがなくて本当にいいのか。デヴィット・リンチの『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』ですらカタルシスがあったというのに。



観客は行き場を失い、途方に暮れる。幻想であっても人は希望を欲しがるもの。それはセンチメンタルだろうか? 希望があればさらに絶望が色濃くなると思うんだけど。



そのことがわかっていない。この映画には、その意味で希望がない。それは映画的なあるいは物語的な深みを失わせることになっている。



初出 「西参道シネマブログ」 2006-04-03



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