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進路指導の基本

お世話になります。ドリームラーナーズの石原です。鳥取県倉吉市で進路指導と学習法指導の塾を運営しています。学習指導は中学生・高校生・大人、英語の指導は小学生から対応しています。LINEなどを活用して、遠隔地でも進路指導・学習指導に対応しています。

今日は、「進路指導」についてのお話です。

進路はどのようにして決めるのか?

身も蓋もない言い方をすると、進路を決めるスタートラインは次の3通りぐらいしかありません。

①思い込み・勘
②家業以外の親の押しつけ
③家業の継承

本当に、身も蓋もないですね。今日は「基本」なので、①がある程度ある人を想定した話をします。何も決められない、という人もとりあえず読んでもらえば先に何が待っているかぐらいはわかります。

進路決定は「思い込み・勘」からスタートで良い

そもそも、これで決める人が大半です。

ほとんどの人は、あまり自分の進路に関心や疑問を持たず、大学入試のゲーム性(勉強している人にとってはやりこみ大会、勉強してない人にとってはガチャとかクジ)に惹かれつつも中身には惹かれていないので適当に勉強しているのです。

しかし、この思い込みが全ての始まりなのです。次に述べる、いろいろな要素を考えるきっかけになるからです。実はここの制約が、進路決定にはとても重要ですが、あまり目を向けないばかりか、空気ばかり読んでしまうポイントなので、よく注意して欲しいです。

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進路を決定する「勘」以外の重要な要素=制約

幅広い情報から何かを決定する場合に必要なのは「制約」です。制約は何タイプかに別れますが、共通の性質を持つものもあります。

「制約」と聞くと、とても嫌な感じがします。「自由を制限される」からでしょうか? しかし、人間は本来そこまで自由ではありません。なりたいと思えば何者にでもなれるわけではありません、なれる可能性はありますが、可能性は、必ずなれる、という約束ではありません。

あたりまですが、人間は万能ではないので、自分ができる範囲内のことしか、できません。自分がどういう制約があるのかを洗い出すことは、こうした自己決定の範囲を適切な中に絞り、自分ができることの範囲にフォーカスしていくことで成果(例えば、入試の結果)につながります。

さて、代表的な制約を羅列します。

A.ない、あるいは足りないと困るタイプの制約
(あればあるほど制約が消えていく)

①家庭の収入
②現在の成績・学力

①例えば、家庭の収入によっては、実家から通える国公立大学、という制約がかかる場合もあるでしょう。もちろん、その大学にある学部でやれる学習内容が、やりたいことと一致しているならそれが良いと思います。

②成績に関しても同様ですが、今後の成績・学力については努力でなんとかなる部分ですから、どんどん勉強していって欲しいと思います。

注意:学力が高ければ高いほど、周りを気にして行きたい大学に行けないとか、学校の先生がなぜか地元の医学科を進めてくるなど、逆に制約になってくる場合もあります。

B.あればあるほど制約になるもの
(全くないと決めづらい)

①親の意見
②自分の希望する進路や資格
③進学したい「地域」や「具体的な場所」
④学習内容以外の具体的な欲望:一人暮らしがしたい、特定のアルバイトがしたい、投資がしたい、起業してみたい、など
⑤学習内容以外の具体的な「したくないこと」:県外に出たくない、勉強したくない

①親の意見は基本的には邪魔でしょうが、参考になる場合もあります。強権的な場合には、第三者(祖父祖母・親戚など)を介入させる様にすると少しは緩和される場合があります。度がすぎる(親の関心外の進路を提示すると殴られる、など)場合には、警察やDV対応の窓口に相談に行きましょう。

②自分の希望する進路や資格、③進学したい「地域」や「具体的な場所」、この辺りを進路決定の要素として挙げる高校生は多いです。

しかし、実は④⑤の様な具体的な「欲望」「したくないこと」こそが大事な決定に繋がる場合が多いです。

④これを意識する人はとても多いです。演劇関係の活動を続けて行きたい人は、そういうことが盛んな大学や地域に行きたいでしょうし、音楽やスポーツでも同様の理由で大学選びに繋がることが多いでしょう。他にも、起業や投資を志向する人にとっては都会が良い、といった選び方があります。

それに対して⑤は結構無視されがちです。「親から離れたい=親といたくない」とか「県外に出たくない」など「したくない」欲望は、進路選択の様な「積極的選択」に相応しくないと思ってしまうのか、なかなか出ません。ここをなるべく無視しない様にして欲しいです。

制約を解消する対抗策

以上の制約に対して、これらの制約をある程度解消してくれるものもあります。

①奨学金(特に、給付型)
②寮(生活コストの低減)

①あまり詳しくは触れませんが、特定資格・特定職業、特に医療系で多いですが、特定条件を満たせば(主に地元企業や病院等への勤務)、結果として給付になる奨学金が充実している場合があります。

例として地元である鳥取県の制度を上げさせてもらいます。

特定地域・職業においてある期間従事した場合に、指定された無利子の奨学金が最大半額助成される、という制度です。

他にも、たくさんの病院を抱える医療法人では、医療従事者確保のために、卒業後の特定期間の勤務を約束すれば、毎月数万円を給付できる(勤務しなかった場合は貸与となる)制度を設計しているところもあります。

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制約・対抗策を徹底的に書き出す

以上の様に、自分がどういう制約を抱えているのか、制約を解消する手段はないのか、と書き出してみると、具体的な志望先の候補も決まってくるでしょう。

制約がない、と素朴に行ってしまう人は数多くいますが、例えば「親元から離れたくない」「県外に出たいわけじゃない」という素直な気持ちも進路決定においては制約にあたります。B-⑤「したくないこと」ですね。

結構な人が勘違いしていますが、「したい」だけではなく、「したくない」も立派な進路選びの基準です。もちろん、全ての「したい」および「したくない」を満たすことはできないかもしれませんが、それは仕方ありません。

もちろん、状況の変化に応じてこの制約は変わってきますから、定期的に書き出していくことが必要です。納得のいく進路決定には、自己研究と共に、自分の持つ環境を分析することが必要なのです。

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