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集団授業の予備校の「割りを食う」使い方

お世話になります。ドリームラーナーズの石原です。鳥取県倉吉市で進路指導と学習法指導の塾を運営しています。学習指導は中学生・高校生・大人、英語の指導は小学生から対応しています。LINEなどを活用して、遠隔地でも進路指導・学習指導に対応しています。

本日は、予備校で割りを食う通い方・使い方についてお話しします。

大前提として、朝から集団授業がある学校形式の予備校に通うことを前提としています。東進や代ゼミサテラインなどの映像授業系の予備校は今回の話に当てはまらないので注意してください。

ただ、結論はわかりやすいので先にお伝えします。

一部の例外をのぞいて、ほぼ大半の生徒は、授業についていける人(つまり、レベルが合っている人か余裕すぎる人)か、授業を程々に無視して自分で学習できる人しか伸びないです。

理由を説明します。

9ヶ月でやり直すにはあまりに短い

まず浪人生の時間の期限は、4月から数えて大体9ヶ月です。

その間、授業だけでなくその予習や復習に多くの時間を費やします。例えば週に60分の授業が3コマ程度であっても、予習復習に合計60分かかるのであれば、週3コマ、1ヶ月は4週間、前期と後期で合計8ヶ月、合計で192時間程度を消費するわけです。9ヶ月の間、目が覚めている時間が1日16時間だとして、4032時間です。週3コマ60分の授業とその予習復習に、目覚めている時間の実に5%程度を費やすわけです。レベルを吟味する必要があるのも理解いただけるでしょう。

そうした授業が週に何コマあるのですか? 21コマならば35%消費することになります。これだけ時間をかけるものなのに、現役の頃の授業と同じことをやる授業を、改めて受ける意味がありますか?せめて、入試に特化した効率の良い指導ができる授業を受けましょう。

また、その授業は大半が「座学」だと思いますが、一部アクティブラーニングを展開するような予備校もあると聞いていますのでそれについても言及します。

アクティブラーニングは実力が違うと無意味

アクティブラーニングで主体的な学びを!とかってやってますが、あれが(大学受験対策において)有効なのは

日本語力・論理力において、授業に参加している集団の均質性が高い

場合に限ります。日本語力・論理力の差が激しすぎる集団でアクティブラーニングをやっても、一番言語力と論理力に長けた人が、他の生徒を圧倒してしまいます。

言語力と論理力に長けた生徒が一番的確な発言をしますし、問題の解答に対する説明もうまくできます。普段自分一人だけでやっているのを他の人に説明して、それが伝わるかどうか検証できるため、その生徒にとってはとても役に立ちます。

他の人はそれを聞いて、なるほど、と思うわけですが、なぜそれを自力で説明できたのか、その思考過程まで完璧に再現するレベルでは説明できない(それができたらその人が教えた方が早い)ため、劣化コピーにしかなりません。

そうした思考回路がそもそもない人にとっては結構有用(思考回路そのものを真似しようとするから)なのですが、そこそこできるという自覚のある中途半端な人にとっては、聞く分にはわかってしまうので、あまり意味がないどころか、成績(点数)が似通っている奴がそういうレベルで物事を説明できるわけですから、自分でも頑張ればできるのではないかと、変に増長してしまいます。

また、言語力・論理力が低い生徒の場合は、そもそも言葉にできない、あるいは説明したいことを完全に説明できないまま発言してしまいます。そうで合っても、その断片的な発言から、論理力に長けた生徒が圧倒的な論理力から読み取ってしまって、頭使ってるの君だけ状態になります。ぶっちゃけ他の人は引き立て役に過ぎない、ということになってしまいます。

ここを見事にやってのける先生もいますが、ほとんどの先生は研究が進んでいるはずのアクティブラーニングの手法をアップデートせずに、思いつきでやってるだけなのでうまく行きません。

そうした場合には、結局、そもそもできるやつの一人勝ち状態になります。そいつだけが説明できるし、中途半端な説明からでも言いたいことを忖度して引き出せるわけだから、明らかにその人が目指すような難関大合格に必要な力なんですよね。

もしそうした授業があるなら、国文法の運用レベルからやり直して、言語力と論理力を磨いてから参加しましょう。

アクティブラーニングについては以上です。座学の話に戻ります。

基礎的すぎることを授業でやるのはもったいない

早期に仕上げてしまいたい英単語や熟語、英文法で最低限暗記すべき項目、数学の基礎問題定着、古文単語や文法・漢文句法の暗記などから入るような授業もありますが…

そんなの参考書や教科書を自力で読めるなら自分でやれるやろ!

と思います。浪人決まった3月にやれるやろ!と…。卒業旅行いってる場合ちゃうやろ!今年の浪人生は例のアレで集団で遊べないから、浪人決まったならさっさと英単語・英文法・古文単語・文法・漢文句法、1冊ずつ仕上げろ!

浪人した人に真っ先に必要なことは、自分に足りていないレベルの暗記項目や問題集をやり直すことです。

講師はそれを的確に指示してくれれば良いのですが、なぜか大量の課題を出す(しかもその出来や定着度を判断するような小テストがあるわけでもない)というマンパワーをかけずに講師が自己満足を得られるやり方を課してくる講師もいます。せめて課題をやる意味とか、レベル別の対応とかしてくれるなら良いのですが、これは先生によるとしか言えません。

どうしても問題集や参考書やりたくないってんなら、例のウイルスの騒ぎで、いろんなところがイキイキしながら無料公開で映像授業やAI教材も出しているから、そういうのをやろう!

難しすぎるのも毒(一部例外あり)

難しすぎる授業なら、その予習や復習が30分ずつで終わる保証もありません。それで何が得られるか考えたときに、基礎基本のレベルができていない生徒が、レベルの高すぎる授業を受けることほど割りの合わないことはありません。

例外が2パターンあって、「東大・京大数点落ちの生徒が東大・京大クラスに所属すること(上記の原因③で浪人した場合、ということ)」と「全く勉強したことがない人がまず学習の習慣をつけるために通うこと」です。

東大・京大数点落ち、というのはほとんどの場合、基礎的なことは一通りできています。あとはスピードが足りないだけなので、問題集繰り返したり知らない場所で成果を出す練習をしたりして、ひたすら練習していけば普通に受かるのですが、それだとなので、質の高い集団授業を受けて(物理だと苑田先生や為近先生など)、クラスメイトと議論しながら、大学でも通用するような思考力を鍛えるのが良いでしょう。

そしてまた、これから勉強しようかという人が、入門クラスでさえ多少難しくても習慣づけのために通うのは良いでしょう。周りが勉強していて焦るのも良いでしょう。強制的に勉強する雰囲気に行くわけですから…とは言いつつ、超基本の人ほど、参考書と問題集、つまり冊子中心で進めた方が明らかに早いです。無勉の人が勉強を始めたいと思うなら、授業を受けてる場合じゃありません。まず1ヶ月は英語なら英検3級レベルの話から始めましょう。

真面目「すぎる」のも毒

同様に、真面目に予習復習しすぎるのも割に合わない場合があります。よく見極めてください。わからないことは、時間をなるべく決めて取り組んだ上で、他のことを片付けてから、さらに追求しましょう。

こうした、要領の良さを磨くのも、浪人生活では必要です。現役時と同じようにやってたら成績が伸びない、それってつまり授業とか問題集が悪いのではなく、要領が悪いだけだった、ってのは普通にありえますよ。

半端な成績で浪人した人のほとんどは「授業をしっかり受けなかった」ではなく「授業をしっかり受けすぎた」ではないでしょうか? 胸に手を当ててみてください。本当に、「授業をしっかり受けてませんでした」か?一生懸命受けてたのではないですか? ひたすら時間のかかる予習もやっていたのではないですか?

なぜそんなに、予習や課題に時間がかかっていたのでしょう? レベルが合っていないから? あるいは、レベルに応じた課題になっていなかったから? 要領が悪かったから?

ここに浪人した原因が見えてきます。

浪人した原因のほとんどは「自習不足」

浪人した原因を考えてみます。

浪人した原因はいくつもあるでしょうが大体は以下の3つに集約されます。

①暗記すべき知識と典型問題解法の定着不足(インプット不足)
②それらをアウトプットする際の、形式対応不足(演習不足)
時の運(腹が痛い、極度の緊張で回答欄書き間違える、なども含む)

大体は①か②です。このため、浪人生は、なぜかそれを集団授業でやり直そう、というつもりだと思うのですが、集団授業では、時間の都合上、授業で行えるのは①か②のどちらかです。

①に特化した授業は②を自力でやろうとさせますし、②に特化した授業は①を生徒任せにします。また授業や教材のレベルによっては全く自分の不足部分と噛み合わないこともでてくるでしょう。

逆に言えば、①と②を両立できる授業というのは稀有であり、先生の自己満足になっていない授業を探すだけでも大変です。

予備校の講師の中には、授業外に覚えることまで丁寧に指示してあるような、分厚いテキストを作っている講師もいるでしょう。テキスト2冊(1学期・2学期)のみで全ての知識が入るように構成してあるものもあるでしょう。そうしたテキストを作成するということは、授業をただ受けるだけではダメで、授業外での努力を必要とすることに他なりません。むしろ好感がもてます。

はっきりいって、浪人生のほとんどは自分で、自分の知力のために手を動かすことが決定的に少ないので、浪人しています。その時間を取りましょう。具体的には、覚える作業をしたり、手を動かして演習しましょう。

演習をナビゲートすることの大事さは認識されつつある

大手塾でも、集団授業はやめてAI教材で演習させるわ!としてるところが出てきました。

具体的な事例としては、高1の学年末テストと高2の1学期中間テストでatama+導入の効果を確かめたところ、高1の学年末テストで、数I・IIが43点、数A・Bが51点だった生徒が、高2の5~6月の2カ月間でatama+で27時間学習したところ、高2の1学期中間テストで数I・IIが74点と31点アップ、数A・Bと82点と31点アップしたという。別の生徒では、中 3の学年末テストと高1の1学期中間テストでの点数比較で、数学が33点から68点と35点アップしたそうだ。こちらの生徒は、atama+での学習時間は高1の5~6月の2カ月間で29時間。

延々と説明聞くだけよりも、自分で手を動かした方が早い、というのは誰しもわかってくれると思うのに、なぜか、大学入試になると、授業を権威化して思考停止に陥っているようなところはありませんか?

もちろん優れた集団授業をできる先生はいます。いますが、常にそうした先生にアクセスできるとは限りません。そうしたコンテンツにアクセスできないのであれば、自力で参考書や問題集を読む努力をすることが学力向上に繋がるでしょう。

自分のレベルにあった授業でなければ、取る意味無し

結論はこれです。もし授業を受けたいのならば、最高に優れた先生の集団授業のみにするか、もしくは、自分に合ったレベルの授業から、高速でレベルをあげていける映像授業が最強であると思います。

大学受験では問題が解ければいいので、授業を受けることは、必ずしも必要なことではありません。勉強の弾みになるような、質の高い(レベルの高い、という意味ではなく、指導の上手な先生の)授業でなければ、自習でもしていた方がマシです。

さっさと基礎的な内容のインプットをおわらせて、本番レベルの問題集や参考書、および過去問を、徹底的に繰り返して説明可能になるまでやる時間を十分に取ることが絶対に必要です。

本日は以上です。


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