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なぜ、企業はあなたに高いコンサルフィーを払うのか? ~駆け出しコンサルタントが意識すべきこととは?~


給与が良く残業も少ない、はあるべき姿か?

コンサルティングファームは今や就職活動や転職活動における人気業界となっている。かつては、「給料は良いが、深夜(場合によっては朝)まで働く激務な業界」と言われ、入社する人もそこまで多くなかった。
それがここ数年で各ファームへの入社者数は激増している。背景には、DX系のプロジェクトを中心にコンサルティング需要が急拡大し、各社積極的に採用を強化していることや、大学生や若手社会人を中心に待遇が良く、かつ、自己成長につながる業界として他業界と比較して人気であることが挙げられる。加えて、昨今の働き方改革に伴う長時間労働の是正のパワーも働き、残業時間も少ないと来ている。今風に言えば、コスパが良い、ということだ。

さて、これがあるべき姿なのだろうか?

勿論、ここでは無理に長時間労働しろと言うつもりはない。また、クライアントのビジネスへ貢献をするといった高い志を持った人であれば良い。ただ、昨今コンサルティングファームに入社する、あるいは入社を考えている人は、果たしてこの意識がどこまであるだろうか?
「なぜ、企業はあなたに高いフィーをあなたに払うのか?」

あなたのフィーは何に払われている?

そもそも、自分自身にどの程度のコンサルティングフィーが支払われているか、まず、これを理解しているだろうか?流石に多くのコンサルタントは理解していると信じたいが、ジュニアの時には知らないケースもあるだろう。
では、次に、自分のフィーがわかったとして、「フィーに見合うパフォーマンスが出せているか?」ということを意識できている人はどれだけいるだろうか?流石にマネージャー以上の人間やその下であれば問題ないと思うが、ジュニアクラスになると目の前の膨大なタスクに追われそれどころではないかもしれない。
それでは、日々上司から振られる膨大なタスクを処理することが、フィーに見合うパフォーマンスなのだろうか?

キレイなスライドを作る、Excelを使いこなす、がコンサル?

勿論、ジュニアの時は、上司であるマネージャーの指示はほぼ絶対である。では、言われた通りにタスクをこなせばそれで良いのか?最近感じるモヤモヤとして、コンサル = キレイなスライドを作り、Excelを使いこなせる人、といった上っ面がフォーカスされがちで、それに関連する書籍や情報が巷に溢れかえっているが、個人的にコンサルタントが価値を発揮すべきところはそこではないはずだ。あくまで、キレイなスライドを作り、Excelを使いこなすのは、「顧客の意思決定」に貢献するための一手段・ツールであり、そこばかりがフォーカスされるのは、違和感がある。一方で、ジュニアの時はそういった見えやすい要素に飛びつきやすい。そして、キレイなスライドを作れ、Excelを使いこなせる = 自分はコンサルとしてイケていると勘違いする人が増産される。
果たして、これは本質的だろうか。

クライアントはコンサルタントに何を期待しているのか?

話は最初に戻るが、クライアントがあなたに高いコンサルフィーを支払うのは、一言でいえば、事業における意思決定への貢献、を期待するからである。ビジネスを進める上では、日々、様々な意思決定が存在する。それらの意思決定は簡単に決まるものもあれば、全く決められないものもある。しかし、有限な時間の中で何らかの判断を迫られている。そういった時に通常はクライアント内部で判断する訳だが、時として、コンサルタントなどの第三者の見解も踏まえて意思決定を行う。

(ちなみに、コンサル時代に読んだ言葉として深く刺さっているのは、フィールドマネジメントの並木さんが語られていた以下のエピソード)

創業者の並木裕太が、前職の外資戦略コンサルティングファームに在籍していたころクライアントであった日本の大手企業の幹部に、ある時こう言われました。
「ぼくが新規案件を実行するためのリソースとして、ステップ1は社内を探します。それができない時は、ステップ2として社外から経験者を探して採用します。それすらできない時に、だいぶ離れたステップ3としてコンサルを呼びます。あなたたちはそういう遠い存在なんですよ」と。

https://group-fm.com/service/strategy/stepzero/

少し脱線したが、高いコンサルフィーは、クライアントの意思決定や、それに紐づく変革(特に人や組織の要素が強いが)を期待されてのものであり、単にキレイなスライドを作ったり、それっぽいExcelシートを作ることを期待されている訳ではないのだ。
(稀にクライアントから、キレイなスライドを作ってほしい、Excelの管理シートを整備してほしい、などの依頼を受けることもあるが、本質的にはあるべき姿ではないし、その期待値を超えるパフォーマンスや貢献を積極的に狙うべきである。)

駆け出しコンサルとして、意識すべきこととは?

ここまで書いてきたが、最後に駆け出しコンサル(ここでは入社1-3年目程度のジュニアクラスを指す)は何を意識すべきか?ということを書いてまとめとしたい。
基本的に、コンサルタントはキレイなスライドを書くことが仕事ではないし、コスパ良く働く仕事、でもない。目の前で、日々何等かの意思決定に苦慮しているクライアントに寄り添い伴走する存在である。従って、本質的にはそこを目指すべきである。ただし、通常そういった役割はマネージャー以上のレイヤーが中心となる場合が多く、駆け出しコンサルタントの場合は雑務や膨大なタスクに忙殺されることも少なくないだろう。
そういったタスクに取り組む際も、単に素早く処理することだけを意識しないでほしい。タスクの背景にある論点や仮説、仮説に対するアプローチとしてなぜそのタスクなのか、そして、そのタスクで何ができると上司(となるマネージャー)や、その先にいるクライアントが喜ぶか?を意識して日々の業務に取り組んでほしい。(日々の業務はそういった論点・仮説設定を支える”足腰”を鍛える時期だと思ってほしい)
そういった姿勢で仕事に臨んでいると、時にクライアントに貢献できる機会が訪れる。そして、それが増えれば、自ずとポジションがあがり、クライアントの意思決定に密に貢献できるようになる。日々目の前の業務に忙殺されずに、大志を持ちながらクライアントワークに臨んでほしい。

参考書籍

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