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R_B < Part 6 (7/9) >


 手の甲を何度も叩かれ、敬は漸く催眠から覚めた。


「大丈夫か?」

「……見事に左半身が重いぜ」


 開始時は仰向けだったが、今は左半身を下にして横向きになっていた。催眠中に無意識に動いていたらしい。


「まだ起きるな、ダメージが予想よりも大きい」

「まあ実際に怪我が増えたワケじゃねぇけど」


 よっと小さく掛け声をかけて仰向けの体勢に戻る。未だ両目の焦点が合わないままぼんやりと天井を見つめ、敬は薄らと笑った……が、それもすぐに消える。


「……いやー参った」


 ややあって、彼は再び口を開いた。


「シンクロって、あー言う感じになるのか。思ってたのと全然違ってた」

「そうか」

「……お前、もしかして気付いてた?」

「何となく。確信は無かったが」


 “発信元”は、仁。もう間違いない。


「姿は?」

「見えてねぇ。寧ろ、アイツと五感を共有してた感じ。俺がアイツでアイツが俺、みたいな……かと言って憑依でも無ぇよな、やっぱシンクロなんだろなぁー」


 再び小さく、乾いた笑い。瞳には少しずつだが力が戻ってきている。
 暫くの沈黙の後、敬は自分が視たものを言葉にした。


「……腰と両脚の件は、アイツ単独の事故っぽい。原因は不明。もしかしたら俺達みてぇに“跳んだ”時の衝撃なのかもな。
 で、左腕のアレは……饗庭に刺されたらしい」

「饗庭だって?!」


 誠に衝撃が走る。流石に予想外だ。


「安心しろ、本人は無事みてぇだ。誰かが直ぐに助けに来てたし」

「……そうか」


 最悪の事態は回避出来たと言う事か。だが饗庭が彼を襲うなど……これが“事実”なら、黄丹の件で逆恨みをされたとしか思えなかった。


「饗庭は黄丹の手先だった……俺は最後まで気付けなかったんだ。俺と、解読班に回された芥の監視をしていた」

「成る程なー」


 それだけで、敬は大体の事情が飲み込めたらしい。


「元から粘着質で腰巾着なヤツだなーとは思ってたぜ。どうせ上手いこと黄丹に取り入ったつもりが、ガッツリ洗脳されて捨て石扱い、ってトコだろ」


[……そろそろ作戦の予測でもさせるんじゃないんですか?]


 あの時の、勝ち誇ったような饗庭の笑いが頭を掠める。自分がもっと冷静に対処していたら……もっと早くに彼の動きを察知出来ていれば。
 或いは、せめて自分が引き鉄を引けていれば、こんな因果を仁に背負わせてしまう事は無かった筈……。


「気にすんな。こんなモンに呑まれるんじゃねぇぞ」


 誠の沈黙を、敬は笑って吹き飛ばした。


「あーいうロクでもねぇヤツらは勝手に自滅していく、放っときゃ良い。お前らは芥を助けようって頑張ったし、それは正しい事だった。仁の生存確認も出来たし、これで次の読みにトライ出来る。違うか?」


 その言葉で、誠の表情も漸く和らいだ。


「ああ……そうだな」

「でさ、お前の催眠誘導と俺の先読みの掛け合わせ、コレかなりイイ感じだと思うぜ?俺1人でやるよりも“結果”に繋がれる感覚があった」


 すっかり回復したらしい敬は、再び掛け声をかけると跳ね起きた。


「単なる催眠じゃなくて催眠“誘導”ってトコがミソだろな!さっきも、先読みの道をお前が作ってくれてるって言うか、そんな印象が強かったし」

「互いの分野の掛け合わせが奏功している、か?」

「そーそー。だから後は“結果”を俺自身で設定出来たほうが“過程”も読み取りやすくなるんじゃねぇかな、とか思ったりすんだけど」


 どうだろ?と尋ねながら誠を楽な姿勢に戻してやる。


「其れは一理ある。自分で設定したほうが、自身が持つイメージと言葉の意味のズレが起こりにくくなるだろうから」

「やっぱな。そうすりゃお前も誘導に専念出来て尚よしって事か」

「多分。但し成果を急ぐな。過激な内容を設定をして身体への負担が限界を超えようものなら本末転倒だ」

「分かってる、無茶はしねぇよ。さっきはシンクロ舐めてたから驚いたけど、もう心構えも出来たから対策だって立てられる」


 聴き慣れた音楽が壁際から静かに流れてきた。消灯時間だ。


「じゃあ材料集まり次第、また試そうぜ。やっぱ、やるならこの時間帯だな」

「ああ。俺も明日からはリハビリだし、先生の論文の件も進めたい。夜のほうが互いに落ち着ける」

「そう言やお前がチェック頼まれた文献って、どんな?」

「一言で言えば、興味深い。すぐ出せるぞ、見るか?」


 言うなり件の機器を差し出してやると、敬は途端に笑顔を引っ込めてさっさと就寝の体勢に入った。


「いや、いらねー。どのみち俺じゃ分かんねぇし」

「なんだ、自分から訊いておいて」


 もう返事は無い。代わりに照明がパチンと落とされた。
 予想通りの反応に誠はくつくつと喉で笑う。それから今日の疲れを落とすようにひとつ大きく深呼吸をすると、眠りの波に身を沈めていった。


--------------


 誠のリハビリが始まって3日が経過した。
 1週間寝たきりになっていた彼の体力は想像以上に落ちていたようで、初日と昨日は夕食もそこそこに就寝していたが。


「お、今日は完食。しっかり起きれてるし、ちっとは慣れた感じ?」

「そうだな。やっと全身の倦怠感が抜けてきた」

「ソイツぁ何よりだ」


 シャワーで濡れた髪をタオルで拭いながら敬はソファに腰を下ろした。


「少し話しても?」

「ああ。材料が揃ってきたか?」

「いや、ソッチじゃねぇ。お前のだ」

「……俺の?」

「お前の。俺のケースは少しずつ進められそうだけど、お前が視たヴィジョンの解析がいっこも進んでねぇじゃん」


 成る程そうだな、と誠が頷く。


「まさか忘れてたとか言うなよ?」

「何も進展が無いから脇に置いているだけだ。解明したいとは思っている」

「そんなら良いけど……ただ、俺には方法が思いつかねぇんだ。
 俺がお前を催眠誘導するなんて無理な話だろ?かと言ってコレをお前だけに任せとくってのも、何て言うか……違う気がしててさ」


 彼の気掛かりが次第に見えてきた。


「この前の話だと相当シビアな状況もあったみてぇだし……万が一お前に何かあったりしたら、俺じゃフォロー出来ねぇ」

「確かに別のアプローチが必要だと俺も思う」


 自分の考えも、もう少し伝えておくべきだろう。誠は言葉を継ぐ。


「……ただ、今は手掛かりが無さすぎるんだ。あれから何も視てないし。だからもう少し……せめてヒントが掴めるまではお前の方を優先したい。出来るところから手をつけるしか無いと思ってる」

「視てねぇのか?」

「全く、な」

「……そっかぁー」


 シャツを着ると、敬は息を小さく吐いた。


「じゃあ仕方無ぇ」

「それでも聞いてくれて良かった。俺も確認したいところだったし」

「ま、噂をすりゃあ何かが動いてくれるかもしんねぇ。そこんトコロは大いなる存在とやらに期待しとくか」

「敬」


 そこで誠は小さく手を挙げる。


「其れだ。改めて教えてほしい……“大いなる存在”って、一体何なんだ?」

「あれ、言ってなかったっけか?」

「先生が言っていた、としか聞いてないぞ」

「そっか……っつっても、俺も分かってねぇんだけどさ」


 言って敬は苦笑した。


「センセイの話がインパクトあったから覚えてるって程度の事。でも聞いた時、変なんだけど何てぇのか……妙に安心したって言うか」

「安心……先生は何と?」

「『後は大いなる存在の導きのままに』って」


 少しの間。誠が小さく唸ったようだった。


「……流石、扇の理解者と言ったところか。彼のメッセージに通じるものがある」

「あー、『全ては何処かで繋がってる』ってヤツ」

「そう」

「世間で言う神みてぇなモンかな?」

「もっと根源的なものという印象もあるが、まあそんなところだろう……」


[……無理なら、せめて別世界の君に]


 再び、あの声が聞こえた気がした……あれも“共鳴”なのだろうか。


「……兎に角、今はお前の方が先だ。頑張って力を進化させてくれ」

「おぅ、有言実行すっぜ」

「そうしたら明日にでも2回目を」

「了解。せっかくだから今度は統のほうを試してみてぇな」


 よし、と敬は夕食のトレーを持って立ち上がった。


「じゃ、下げてくる」

「いつも悪いな」

「構わねぇよ」


 廊下に出れば、奥のエレベータホールの脇に下膳用のカートがまだ置いてあるのが小さく見えた。今日は食堂まで持って行かなくて良さそうだ。


「……ん?」


 ホールに着くなり、彼は違和感に包まれた。
 人気の無いこの時間、ホールの照明は半分ほど落とされている。
 その片隅で細い光の筋が伸びていた……見れば、一番奥のエレベータドアが僅かに開いている。
 ドアはそのまま、全く動く気配は無い。中のケージも停止したままだ。


(待機モードって感じでも無ぇけど……)


 ケージ内には人の気配を感じない。だが万が一誰かが中で倒れていたりでもしたらまずいと、敬はエレベータドアに手をかけた。

 その瞬間。


(え……?!)


 視界が暗転した。ケージ内のみならずエレベータホールの灯りも消え、彼は暗闇に投げ込まれる。

 間髪入れず足下の床が抜け身体が宙に浮いた。


「おい、ちょ、待て!」

「……敬君?!」


 無意識の叫びに呼応したかのように左腕を掴まれ、続いて聞き覚えのある声。
 気付けば、目の前に赭がいた……エレベータドアは閉じている。


「先生……どうして?」

「それはこっちの台詞ですよ。大丈夫ですか?」


 その声で漸く敬の意識は“現実”に切り替わった。支えてくれていた赭の手をそのまま借りて立ち上がる。


「もう大丈夫です。助かりました……なんか俺、今一瞬ぶっ飛んだみたいで」

「そうでしたか」


 敬の足元がふらついていない事を確かめてから手を離し、いつもの調子で一言。
 それ以上は何も尋ねなかった。


「先生は……休憩ですか」

「そんな所ですね。少し時間が出来たので君達の部屋へ寄らせて頂こうと思って降りて来たんです。誠君はどうですか?」

「今日は起きてます。だいぶリハビリも慣れてきたと言ってるし」

「それは何よりです。丁度良いタイミングですね」

「……何が?」


 赭の目尻に笑い皺が浮かんだ。


「ひとまず部屋へ戻りましょう」


--------------


[……違う世界で生きていても、あなたと統クン達は仲間。それは変わらない]


 夕焼けの色と、温かな声に包まれる。
 聞いた事の無い声……周囲を見渡せば、波間から立ち上がる人影。


[統は、無事に戻れたんだ]


 芥の声が木霊する。


[……悪くねーや、この色も]


 夕陽が海の彼方へ沈もうとしている。
 その空はまさに、彼の色。


--------------


 ……“僕”は死んだ。


(僕……?)

〈正確には『死ぬ事が出来た』……漸く、ね。
 僕は随分前……そう、生きてる頃から“ヒト”ではなかったけど。でも、彼のお陰で最期の最期に“ヒト”に戻れた。ヒトに戻って、解放された。最高の気分さ〉


 声のする方へと振り向く。すると誠にはどうやっても取り払えなかった、あの膜が目に入った。
 自分と異世界を隔てる、透明な膜。その向こうに居たのは……自分によく似た、あの人物。

 “異世界”の、彼。


「……やっと会えたね。初めまして」


 次元の仕切りを難なく通り抜け、彼は誠と正対した。


「こうして君と話せる時が来てとても嬉しいよ」


 その言葉と共に、以前感じた幸福感が蘇った。
 無限の底から湧いてくるような、或いは天上から降り注ぐような、快い感覚。

 これは、彼が感じていたものだったのか……。


「……君は、誰?」


 ゆらゆらと心地良い感覚に揺られながら誠は尋ねた。


「刈安 鷲……別世界の君“かもしれない者”さ」

「そう……」


 すんなり腑に落ちる。何も違和感を感じない。


「君が、誠君?」

「ああ。桑染 誠、初めまして……俺の名は、誰から?」

「君の仲間。山吹 芥……知ってるよね」

「……彼は、君の世界にも行ったのか」


 驚きを含んだ彼の声音にフフっと笑って、鷲は話を続ける。


「僕の世界で3つ目だ、って言ってたよ。
 もう一人、別の世界から精神だけでやってきた人もいた。最初は僕も驚いたけど……今は全てが納得出来る」


 誠にも、その人物が誰かはすぐに分かった。


「木賊 扇、だね。元々“この世界”の少年だ、彼の関係者から聞いた」

「そうだったんだ。彼に会えたのかい?やっぱり芥とそっくり?」

「……本人とは会えなかったが、記録が残っていた。とてもよく似ていた」

「僕と君みたいに?」

「そうだね」


 顔を見合わせて、2人は笑った。この時間がもっと続けば良いのにとすら思う。


「……こんな幸せな気分になれたのは、芥のお陰さ。彼には心から感謝している」

「俺もだ」

「君の心と存在を、救ってくれた?」

「……ああ」


 誠の返事を聞くと、鷲は今度は小さく微笑んだ。


「芥は君達に感謝していたよ。同時にとても心配していた。無事だったんだろうか、全員がいつか再会出来てほしい、ってね……僕も何か君達に出来る事があれば良いのにって思うけど」

「彼の事を教えてくれただけで十分だ、勇気を貰えた。後は自分達で頑張るさ」

「それは頼もしい……ああ、もうあまり時間が無いや。
 そうだ、正解だったかどうかは分からないけど、僕が扇と試した“方法”を遺していこう。何かのヒントにな……」


 そこで鷲の姿はノイズに包まれ、一瞬で掻き消えた。


「鷲?!」


 知らず、誠は手を伸ばす。弾みで指先が次元の膜に触れる……刹那、彼は眩い光に包まれた。


[……心拍微弱、出血が酷い。反応無し]

[可能性があるなら搬送しろ。後は向こうが判断する]


 光の洪水が薄れると、冷酷な白いベッドが視界に入った。其処に意識なく横たわっているのは、鷲だ……金属の骨格が露わになり、鈍く光っていた。
 それは、両脚……そして左腕も。


(これは……彼の記憶?)


[……本来エクスペリメンタルは対象外だが、お前以外の適任者が見当たらなくてな。次の管理者が決まるまで、エルテナ街27ハウスの主任援助者を任命する。佐久の監視は怠るな]

[……分かりました]


 承諾する鷲の声は固く、低かった。


[この、死に損ないが!]

〈……人の声があれ程の吐き気を催すなんて知らなかった。罵声は数え切れない程浴びせられた。
 勝手に“改造”をしたのは彼等だ。なのに死に損ないと揶揄され、一方で死ぬ事を許されなかった。理不尽な日々だったよ……〉


[芥……ここで僕たちを手伝ってほしいんだけど、どう?]

〈絶望的な毎日だった。自分を制御するのにも疲れて……そんな時、彼が現れたんだ……僕は、彼に賭けた〉


[自然の摂理から外れて生きなければならないのなら、せめて本人が望むものを……]

〈僕と僕の仲間を、この状況から解放させたい……そんな僕のエゴで芥を振り回したのに、彼はそんな僕を一言も責めなかったんだ。それどころかこんな僕を、同じヒトとして認めてくれた〉


[……君にだって生きる権利がある……もう誰にも死んでほしくない!]


 懐かしい芥の声が、誠の意識で木霊する。


〈僕の人生は、彼によって報われた。後は確実に幕を下ろすだけ……〉

[扇、お願いします]

[鷲……!!]


 それは芥の、切ない程の絶叫。


〈芥……本当に、ありがとう。
 そして……君は生きて。僕の分も〉


「……おい、誠」


 虚空に消え入る鷲の声に替わって、敬の声が耳に入る。
 薄らと目を開ければ一筋、涙が零れた。


「大丈夫だ……また煩くしたか?」

「いや、逆。こないだみてぇに微動だにしねぇから気になってさ」


 起こしちまって悪かったな、と敬は苦笑いした。
 時計は午前3時を指している。


「お前は、ずっと起きてたのか?」

「いや、寝てた。寝てたんだけど、ちょっと意味深なヤツを視たんだよなー。ソレ自体は短かったけど」

「そうか」


 小さく息をつき、誠が言葉を継いだ。


「俺もだ。しかも結構長かったし……以前視たものの意味が、分かった」

「お、マジか!」


 敬の瞳が輝く。


「センセイが言った通りだったな!流石、誠だぜ」

「流石なのは、お前の“引力”だろう」


 2人は顔を見合わせ、ニッと笑った。


--------------


(……何処まで行ったんだ?彼奴は)


 敬はトレーを下げに行ったまま5分以上戻って来なかった。
 往復でも2分とかからない筈だ……特に他へ立ち寄るとも言ってなかったし、一般患者用のフロアは既に閉まっている時間帯だった。


[……悪ぃ、待たせたな]

[こんばんは、誠君]


いよいよ誠が心配をし始めた頃、彼は漸く部屋に戻って来た。
赭を連れて。


[……先生?どうされたんですか]


 問いには敬が答える。


[丁度俺達の顔を見に来ようと思ってたんだってさ。で、エレベータんトコで意識がぶっ飛んだ俺を助けてくれた]

[……いきなり、そんな所でトランス状態に?]

[敬君は、仲間に“呼ばれた”ようですね]


 赭が会話に加わった。


[呼ばれた……どう言う意味ですか?]

[君達の仲間に、薄鈍君がいますよね?彼の髪は、赤みの強い長髪だと芥君から聞いた事があります]

[確かにその通りです。でも……]


 訝しむ誠に構わず、赭は敬に視線を移すとにっこり笑って語を継ぐ。


[先ほど私が君を発見した時、君の髪は一瞬、薄鈍君の色をしていました]

[は……?]


 2人は絶句し、互いに顔を見合わせた。


[先日、敬君はお兄さんとシンクロしたと言っていましたよね。きっと、そこから君達の距離は近づきつつあるのだと思います。絆の強さの成せる技ですね。特に敬君の“引き寄せる力”が強まっている印象を受けます]


 ひと息つくと、赭は誠に視線を戻した。


[誠君が視たものも、いずれ意味が分かるでしょう。間違い無く全ては繋がっているのですから]

[……そう願ってます]

[大丈夫。この調子なら、新たな手がかりも間もなく見つかると思いますよ]


 全ては繋がっている。
 2人の中で、其れは確信へと変わっていた。


「……そしたら早速、まとめてみるか」

「ああ。この時間なら邪魔も入らない」

「だよな。あ、コーヒー淹れる間だけ待ってくれ」

「了解」


 敬が薄く湯気の立つマグカップを持って戻ってくると、2人はすぐに未明のミーティングを開始した。


>>>Part 6 (8/9)


20221128

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