『身近な仏様』
菜根譚という人生の指南書があります。400年ほど前に中国で書かれた名著で、人との交わりや自然との調和、処世の道や心の修養などについて、簡潔で深い言葉で説いています。儒教、道教、仏教の三教の精髄を取り入れたその本は日本にも伝わり、多くの人々に愛読されてきました。
その中にはこんなお話があります。
「家庭の中にこそ一個の真の仏があり、日々の生活の中にこそ一種の真の道がある。まさに人の心が誠で気が和らぎ、穏やかな顔つきで優しい言葉を使い、そして父母兄弟の間で気持ちが互いに通じ合えば、正座をして息を整え、座禅して念を凝らすことよりも数万倍の効果があろう。 」
『家庭に個の真仏有り、日用に種の真道有り。人能く誠心和気、愉色婉言、父母兄弟の間をして、形骸両つながら釈け、意気交流れしめば、調息観心に勝ること万倍なり。(前集二一)』
仏様というと自分とはかけ離れた存在であり、幸せは遥か遠くにあるように感じられる時があります。
そんな時こそ身近な所に目を向ける時期なのかもしれません。そして菜根譚は、人生に悩んだ時に、正しい道に立ち戻らせてくれるとても素晴らしい本でもあります。
だからこそ国を超えて、時間を超えて、読み継がれて来たのだと思います。
沢山の素敵な言葉が書かれていますので、またご紹介させて頂きたいと思います。
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