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『ちょうどよく生きる』

引き続き「菜根譚」から。
「国を憂え人のために勤めることは美徳である。だが、それも度を過ぎて身を苦しめるようになると、心の本性から外れ感情を喜ばせられなくなる。
また、あっさりとして物に執着しないというのは高尚な気風である。だが、それも度を過ぎて心がすっかり枯れてしまえば、人を救い物を利することはできなくなる。」
『憂勤は是れ美徳なり。太だ苦しめば則ち以て性に適い情を怡ばしむる無し。澹泊は是れ高風なり。太だ枯るれば則ち以て人を済い物を利する無し』(前集二九)
すごく人間味があって寄り添ってくれる言葉だなと感じます。
家族や友人の為にした方が良い、社会の為にした方が良い。それはもちろんですが、実際家族サービスを張り切ってみたり、ボランティア参加すると最初は良いのですが、続けていく中で苦しくなってきたり、しんどくなってきたりなってきたりすることはよくある事です。
でも”感情を喜ばせられなくなる”と感じたときは、すこし無理をしすぎているのかもしれません。
欲がなく、何にも執着しないのが一番です。でも不意にそれが無味乾燥したものに感じられる瞬間もあると思います。
もちろん人の為に生き、何にも執着しないのが最高の状態なのかもしれません。しかしそこに一足飛びに行こうとすると、苦しさしか感じません。
実際、階段を登る時と同じかもしれません。一段一段登っていけば、いけた筈のところが、気が急いて、一段とばし二段とばしで歩くと、最初はスイスイ行くようで心地いいかもしれませんが、段々息が上がって苦しくなって、結局足が止まってしまいます。
大切なのはやり過ぎることでもなく、それを避けて関わらないのでもなく、自分の丁度良いを見つけること。その丁度良いも、その時々によって変わります。
だからこそ自分と日々相談をしながら、ちょうどよく生きる。気がついたらきっと前に進めているのだと思います。
優しく悟された。そんな気持ちになる著者、洪自誠からの言葉でした。

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