酒蔵探訪地獄コース
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酒蔵探訪地獄コース

 「オゴゴゴゴーッ!」前方を走っていた選手が、遂に限界に達したようで、へたり込んで全力で嘔吐している。内臓全てを吐き出さんとせんばかりの勢いだ。俺はなるべく目をやらないようにして脇を通過する。貰いゲロは真っ平御免だ。

 2018年10月、酒処灘五郷は蔵開きの時期を迎えていた。例年開催の各酒蔵を巡る企画は20周年を迎え、西宮・今津郷の協力を得ることで初の灘五郷全域での開催が決定した。そこで企画されたのが、酒蔵耐久マラソンである。
 各酒蔵をマラソンで回るという単純な企画だが、参加選手は訪れた酒蔵で大杯に注がれた銘酒を呑まなければならない。酒蔵は全13か所。つまり、あらゆる鉄人レースを凌駕する危険な競争となる。
 当初、参加者が集まるか不安視されたものの、優勝賞品の半切桶入り日本酒に惹かれた酒狂達が集結、レースは無事開幕した。

 「浜福鶴!これで魚崎郷は抜けた!」空蔵を満たした杯を空け、俺は叫んだ。

(続く)


ここから先は逆噴射小説大賞とは関係ありません。

 酒蔵探訪地獄コースは実在しませんが、灘の酒蔵探訪自体は企画として存在し、スタンプラリーや蔵開きイベントが開催されています。詳しくは下記の画像から説明PDFが読めます。神戸にお立ち寄りの際にはぜひマラソンしてみてください。


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