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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【3月20日㈬~3月26日㈫】

ベルリン国際映画祭出張、大阪アジアン映画祭出張、ナゴヤキネマ・ノイさん開館日の“カール・テオドア・ドライヤー セレクション vol. 2”初日立ち会い、横浜フランス映画祭に伴って開催されたフレンチ・フィルム・マーケットへの参加…と、ネタに事欠かなかった2月3月でしたが、ここへ来てピタッとイベントが無くなってしまいました。…だからと言って、暇にしているワケではありません。現在社内では5月3日に公開を控えたミセス・クルナスvs.ジョージ・W・ブッシュ』の宣伝仕込みの真っ最中。今週末には、アンドレアス・ドレーゼン監督とのオンライン・インタビューも行わるので、宣伝スタッフはその準備に追われています。

一方、8月に公開する次の配給作品の準備も始まりました。情報解禁前ゆえ具体的なことが書けないのが心苦しいのですが、この8月公開作がとにかく“スペシャル”な作品なので(何が“スペシャル“なのかも、まだ書けなくて申し訳ありません!)、邦題にしろ、ビジュアルデザインにしろ、予告編にしろ、どう差し出したら未来のお客さんに一番響くのか、皆で知恵を絞ってウンウン唸っています。

先ずは邦題なのですが、奇をてらわず、でもオリジナリティがあって、耳に残って、見た目も印象に残って、覚えやすくて、大作感というか風格、品格があって、そしてもちろん作品の内容を端的に伝えていて…。出来れば文学性も漂ったりしたら良いな、などと贅沢なことを考えていると、なかなか決定打が思い浮かびません。

何かヒントになる単語は無いだろうか?と、大型書店に出かけて、映画の内容に関連したジャンルの書棚に並ぶ書籍のタイトルを片っ端から見て行って使えそうな単語をメモしたり、類語辞典をめくって引っかかってくる単語を抜き出したり(昨年の配給作『セールス・ガールの考現学』の“考現学“は、まさに類語辞典をパラパラめくっていて目に止まった単語でした)、地道な(?)“言葉集め“をしたりしています。そうしているうちに、突然“降りてくる“ことがあるのですが、まだ“降りて”きません…。デッドラインがヒタヒタと迫っています。

邦題を決める時の“参考書”。30年前の物なので、新しく生まれた言葉は含まれません。マズイ?

デザインビジュアルに関しては、今回はカッコいい系で行こうと思っていて、“カール・テオドア・ドライヤー ~”『ノスタルジア 4K修復版』のデザインを手がけた成瀬慧さんにオファーしてご快諾頂き、先日打ち合わせを行いました。海外から届いた画像データを見ながら、「これをメインにしたらどうだろう?」、「いや、思い切ってこっちを使ったら面白いかも」と意見を出し合って大まかな方向性を決めました。ここからがデザイナーさんの腕の見せどころ。何種類かのラフ案を出して頂くのですが、出来上がってくるラフ案の中には「なるほど」と思わせるものもあれば、「おっ!こう来たか!」という予期せぬアプローチのものもあったりするので、そこをどう取捨選択して、腹を括る(覚悟を決める)のかが、宣伝プロデュースの過程での最初の悩みどころ。いわば作り込み作業の最初のクライマックスです。

そして予告篇。今回は“スペシャルな作品“ゆえ、通常は2~3か月前に上映劇場でお披露目する本予告に先行して、“特報“とも言うべき短めの予告を制作して、早めのタイミングで告知をスタートさせようと考えています。が、それ、今日思いついたので(笑)、お忙しい予告篇ディレクター氏にとってはスケジュールがタイト過ぎ。ん~、海外版の良い塩梅に短い予告があれば、それを踏襲して手間を省けるのだが…ということで、youtubeで検索して、1分で上手くまとまっている本国版の特報を見つけました。これならテキストを日本語に差し替えるだけで行けちゃうかも!早ければゴールデンウィーク中にお披露目出来るよう、突貫工事で制作頑張ります!

“スペシャル感“を醸し出すためにはどうしたら良いか?と考えていて、手っ取り早い方法を考えつきました。それは“ザジフィルムズ 35周年記念作品”と謳っちゃうこと。5年毎の周年イヤーにオリジナルのイラストカレンダーを作っていることは、“Histoire De Zazie Films“や、当通信でも触れていますが、○○周年を一般のお客様向けに謳ったことは過去に一度もありません。

でも実は“隠れ周年記念作品“はちゃんとあって(笑)、20周年の年には社名の由来であるところの『地下鉄のザジ』をリバイバル公開、25周年には当時個人的にハマっていた趣味のマラソンをモチーフにしたオランダ映画『人生はマラソンだ!』を公開、30周年にはアニエス・ヴァルダ監督の遺作『アニエスによるヴァルダ』を公開しました。しかし、それはチラシにもHPにも謳わない、あくまで“わが心の“周年作品でした。が、今回は堂々と“35周年記念作品“と入れてしまおうか、と企んでいます。それを謳ったところで、一体何人の方が、「じゃあ観てみようか」と思って下さるのかは定かではありませんが(全国に10人前後はいらっしゃるのではないかと思っているのですが、実際のところは定かではありません…)。

創立記念作品で真っ先に思い浮かぶのは、東宝創立50周年記念作品『幻の湖』…。やっぱ周年を謳うのはちょっと迷います…(笑)。

※今週のTOP画像は、ミセス・クルナスvs.ジョージ・W・ブッシュ』から。“スペシャル”な作品の情報解禁はゴールデンウィークの辺りを予定していますので、今しばらくお待ちくださいね!


texte de daisuke SHIMURA


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